海沿いから国道455線を内陸に向かって走っていくと、三陸鉄道小本駅を過ぎたあたりから雰囲気が変わってきた。道は小本川に沿っている。何度かゆるやかなカーブを曲がると、目の前に被災物の山。
大変な被害だということは聞いていた。支援で岩泉に入って、そのまま居続けている知人もいる。いやでもこれほどとは。東日本大震災と同じじゃないか。東日本大震災の被害が大きすぎるから岩泉まで手が回らないというのはどういうことか——。岩泉に来るまでに聞いていたことやいろいろな思念がいっぺんに湧いてきて、まじり合って、「あー」という声にしかならない。
あー、あー、としか声にならない。言葉が出てこない。
初めて思い出した言葉は「被災物」。ここに積み上げられているのはガレキではない。それぞれに生活とともにあった歴史を持つもの。じっと見つめていると、被災物の声が聞こえてくるようだ。
台風被害から7カ月以上が経過した。7カ月以上が経過したいま、こうして被災物が積み上げられている。5年前の東北の津波被災地を見ているような錯覚を感じる、
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