奇跡の一本松に並ぶ、観光資源を「食」の分野で!そんな思いに駆られた4人の「食の職人」によって仕上げられた「陸前高田ホタテとワカメの炙りしゃぶしゃぶ御膳」(略称ホタワカ御膳)。広田湾産ホタテとワカメ、震災後の陸前高田で育まれたブレンド米「たかたのゆめ」。陸前高田の海山の幸に徹底的にこだわった、岩手県初の「OMOTENASHIご当地グルメ」です。3月26日の発売開始から7月19日までに2,616食が提供されたとのこと。
話題のホタワカ御膳をキャピタル1000のレストラン「アゼリア」で実食しました。
テーブルに運ばれてきてびっくり
じゃじゃ~ん。注文からほどなくお待ちかねのホタワカ御膳が登場。白木の大きなお盆に載せられたその迫力に、一瞬息を呑んでしまいました。特に、しゃぶしゃぶ鍋と焼き網のダブルファイヤー、そしてホタワカ御膳を立体的に印象づける3段タワーが目を引きます。
三段タワーのトップに鎮座するのはホタテの刺身。
手前のバラの花造りはお刺身、奥の2切れは昆布〆です。味わい深いヒモも添えられていて見るからにおいしそう。ゴクリ…すぐにでも食べたいところですが、ご紹介を進めます。
タワーの2段目は炙り焼き用のホタテ、3段目はかき揚げです。合わせてホタテ4個を使用とレシピにありますが、見た目はもっともっと使われている感じ。山から海へと流れ注ぐミネラルのおかげで質の良いプランクトンが成育し、それを餌とするホタテもおいしく大きく育っていく(広田湾のカキやイシカゲガイなどがおいしいのも同じ理由です)。ホタワカ御膳の大きなホタテは、陸前高田の海の豊かの証明なのです。
にっこり幸せ、スペシャルなワカメしゃぶしゃぶ
ホタワカ御膳の右側に陣取っているのは、同じく広田湾の名産ワカメです。ワカメは雪解け水が流れ込むことでおいしくなると言われる食材。成長期である早春に北上山地からミネラル豊富な雪解け水が流れ込む広田湾は、おいしいワカメしか育ちようがないくらい、絶好の条件が揃ったロケーションです。
そんな広田湾産のワカメをしゃぶしゃぶで。さっと出汁を潜らせて、茶色いワカメが鮮やかな緑色に変わったところを頂きます。甘みと香りと食感のハーモニーはワカメの名産地ならではの楽しみ。ワカメのしゃぶしゃぶは地元では春の定番料理ですが、生のワカメが穫れる時期でなければ食べられませんでした。しかし、地元企業が鮮度と風味を保ったまま生ワカメを冷凍する技術を確立させてくれたおかげで、四季を通してワカメのしゃぶしゃぶが楽しめるようになったのだとか。
ワカメの葉の部分と茎の部分の食感の違いをお楽しみください。しゃぶしゃぶを楽しんだ後のスープは、高級海藻マツモの入ったホタテ汁のお椀に注ぎ足して頂くことで、お汁のバリエーションも味わえます。
幾通りもの甘みと旨みに唸るばかりのホタテづくし
いよいよホタワカ御膳の主役、広田湾産ホタテを頂きます。まずは花造りのホタテの刺身です。
甘い!どうしてこんなに甘いんだ!というくらい甘くてビックリです。そしてしっとり柔らかな食感。おいしいホタテが甘いことは、東北地方に数あるホタテの産地で教えられてきましたが、広田湾のホタテの甘さはトップクラスです。
続いて昆布〆に箸を進めてもっとビックリ。昆布で〆ているので食感にも締まりが出ています。甘いだけでも驚きだった刺身のホタテにさらに複雑なうまみが加わって、味わいに奥ゆきと広がりが感じられます。甘い刺身が産地で食べる獲れたての味だとするなら、こちらは高級料亭の味。職人の腕が作り上げた至高の一品と言ってもいいのでは。
そして2段目の炙りホタテです。本当にこれが1個なのかというくらい大きなホタテを4つ切りにしたものを焼き網で炙ります。ホタテにはあらかじめ火が通されているので、軽く炙るだけでOKとのこと。
網目の焦げ目がついたら頂きます。う〜ん、これは!
肉厚なホタテの大胆かつ繊細な食感(何を言っているか分かりませんが、火の通り具合で1切れのホタテの中に弾力や柔らかさのバラエティがあるのです)に言葉を失ってしまいます。
火を通すことでさらにうまみが凝縮されたホタテの炙りは、貝殻で焼いた貝焼きとはまるで別の食べ物です。この食感、このうまさ、食レポでお伝えするのは到底無理。ぜひ実食をおすすめします。
もうひとりの主役「たかたのゆめ」
ひと粒ひと粒がしっかりしていて、それでいてふっくらとしたご飯。「ホタワカ御膳」のネーミングには記されていませんが、紛れもなくもうひとりの主役は陸前高田のブランド米「たかたのゆめ」。津波の被害を受けた陸前高田で育まれてきた地域限定のお米です。すっきりとした味わいはどんな食材にも合うと高く評価されています(日本おにぎり協会の「おにぎりに適する食材」第1号にも選定されています)。
もちろん、ホタワカ御膳との愛称もばっちりです。お刺身にも炙りホタテにもワカメにも。そしてご飯に添えられたワカメの茎の佃煮との取り合わせも二重丸。おかずとご飯、おかずとご飯と食べ進めるうちにあっという間になくなって、思わずおかわりしてしまいました!
左から、ワカメしゃぶしゃぶの生ワカメ、ホタテのかき揚げ、レタスとプチトマトの香の物。シャキシャキのレタスと甘~いプチトマトの香の物がまた絶品で、これまたご飯が進んでしまいます。まさに「ママカリ」的食材がてんこ盛りのホタワカ御膳なのです。
ホタテとワカメ、そしてたかたのゆめ、さらに地元の食材の数々を楽しんだ後は、デザートをどうぞ。この日、キャピタル1000のレストラン・アゼリアのランチに出されたのは、ヨーグルトとワカメに、おそらく地元・米崎リンゴのジュレを添えた一品。ワカメをデザートに?!と思う人もいるかもしれませんが、東北ではワカメを使ったスイーツは最近では定番。この日のデザートも、ヨーグルトとジュレの滑らかさと、ワカメのシャキシャキ感、キューブ状のリンゴのサクサク感のコラボがいい感じでした。
香の物とワカメを使ったデザートは、ホタワカ御膳を提供する各店が季節の食材をチョイスして独自のものを提供してくれるとのことです。
「気仙杉」の焼き印に込められた誇り
3段タワーとお盆には「気仙杉」の焼き印が記されています。気仙杉は岩手県南部でかつて伊達藩(仙台藩)領だった現在の気仙三市町(陸前高田市、大船渡市、住田町)の名を冠した特産の杉材のこと。
地元産へのこだわりが食器にまで徹底されているということは、もちろんあらゆる食材に地元産を用いていることの現れであり、地元産に対する愛情と誇りの象徴でもあるのです。(ちょっと見えにくい場所ですが、お盆の枠の外側には「いわての森林づくり・県民税が活用されております」とのシールも貼られています)
奇跡の一本杉に並ぶ、新しい「食の観光資源」。ぜひ陸前高田の自然と、陸前高田の人たちが丹青込めたホタワカ御膳を食べに、陸前高田にお越し下さい。
夏の祭りのシーズン、陸前高田に帰省してくる人も増える季節です。きっとホタワカ御膳を食べてふるさとの味とふるさとの愛情を再確認する人もたくさんいるのではないか。期待感がどんどんふくらむ「陸前高田ホタテとワカメの炙りしゃぶしゃぶ御膳」なのです。
「陸前高田ホタテとワカメの炙りしゃぶしゃぶ御膳」が食べられる珠玉のお店4軒
最後に「陸前高田ホタテとワカメの炙りしゃぶしゃぶ御膳」が食べられる4軒のお店の情報です。その前に、ホタワカ御膳をプロデュースしたヒロ中田氏(空飛ぶご当地グルメプロデューサー)がホタワカ御膳の公式ホームページに寄せた言葉をご紹介。
商品のコンセプトは「活ホタテは『炙り』『刺身』『かき揚げ』、ワカメは『しゃぶしゃぶ』『ごはん』『デザート』。活ホタテとワカメを使ったWファイヤー御膳。売り出し中のお米『たかたのゆめ』も使用!」です。この商品の参入障壁は高く、ホタテとワカメがある他地域でも絶対に真似できないでしょう。なぜでしょうか。それは、「食」で震災復興を成し遂げようとする、陸前高田の熱き男たち4人の気高い魂が宿っているからです。「奇跡の一本松」に並ぶ、新しい「食」の観光資源が、陸前高田市を元気にしてくれますように。
ホタワカ御膳に魂を込めた熱き4人の男たちのお店とは…
ホタワカ御膳が食べられる「陸丸」
住所:〒029-2205 岩手県陸前高田市高田町字大隅93-1
電話:0192-47-3653
営業時間:11:00~14:00(L.O13:30)
座席:26席
定休日:不定休
駐車場:40台
※提供はランチのみ。数量限定なので事前に電話で確認を!
ホタワカ御膳が食べられる「キャピタルホテル1000」
住所:〒029-2205 岩手県陸前高田市高田町字長砂60-1
電話:0192-55-3111
営業時間:11:00〜14:00(L.O13:30)
座席:40席
定休日:不定休
駐車場:40台
※提供はランチのみ
ホタワカ御膳が食べられる「カフェフードバーわいわい」
住所:〒029-2205 岩手県陸前高田市高田町字大隅93-1
電話:0192-47-4290
営業時間:11:00〜深夜0:00
座席:60席
定休日:不定休
駐車場:40台
ホタワカ御膳が食べられる「ホテル三陽」
住所:〒029-2204 岩手県陸前高田市気仙町字福伏155-6
電話:0192-55-3050
営業時間:宿泊者限定
座席:40席
定休日:不定休
駐車場:32台
※ 提供は宿泊者の夕食のみ。宿泊の2日前までにホタワカ御膳の夕食を要予約
最終更新:
kozaitsu
あぶってしゃぶしゃぶして刺身で!なんて贅沢なんだ!値段もお手ごろなので気仙沼へ行ったらぜひ食べにいきます!