【シリーズ・この人に聞く!第110回】「子どもは体を温めると頭がよくなる」著者 医学博士 川嶋朗さん

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体温を上げるだけで、脳と心が元気になる!こんなユニークで、毎日の生活に取り入れやすい提唱をされているのが今回ご登場頂く川嶋先生です。大人でも体を温めるのは健康になる近道。でも、子どもにとってはもっと効果が目に見えるいいことばかりがあるようです。自然治癒力を高める研究に取り組む川嶋先生に子どもが本来もつ力と、健康であり続ける秘訣をお話し頂きました。

川嶋 朗(かわしま あきら)

1957年東京都生まれ。医学博士。東京有明医療大学教授。1983年北海道大学医学部卒業後、東京女子医科大学入局。93年ハーバード大学医学大学院マサチューセッツ総合病院に留学。2003年、日本の大学病院初の統合医療施設、青山自然医療研究所クリニックを開設し、所長に就任。近代西洋医学と代替・相補・伝統医療を統合した医療を目指している。2014年より現職。東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門担当医を務める。著書に、『心もからだも「冷え」が万病のもと』(集英社)『医者が教える 人が死ぬときに後悔する34のリスト』(アスコム)『子どもは体を温めると頭がよくなる』(三笠書房)など話題作が多い。

子どもは体内で熱を作るエネルギー体。

――極論ですがいい得て妙!という感じの本のタイトルで、体を温めるとどれだけいいことがあるか、今日は具体的にお話しを伺います。この本には共感するフレーズがたくさん。『ストレスに強い心と体は、勉強のみならず、子どもがこれからの人生で出会う困難や障害を乗り越えていく力になるはず…』とあります。体を温めると心の持ち方まで変わるのですね?

子どもは体を温めると頭がよくなる(三笠書房)

子どもは体を温めると頭がよくなる(三笠書房)

心と体はつながっています。体温が下がると免疫力も下がるのです。やる気ホルモン、快楽ホルモン…など体の中で作りだす条件があって、化学合成をしています。酵素というたんぱく質はその触媒で、必要なものを作り、いらないものを壊す。また活性酸素を除去したり、壊れた遺伝子を修復する役割もあります。酵素は、温度とpHに規定されます。腎臓と肺が健康体であれば、誰しもpHは7.4という数値で血液は同じ条件にあります。
酵素は温度が上がるほど、反応速度が上がりますが、高すぎると変性します。38度から40度くらいが至適温度で、体表の温度は1度程度低いわけですから37度前後がもっともいい体温なのです。

――低体温と言われる子どもが増えています。体の冷えと心の冷えはつながっている…というくだりも、興味深く読ませて頂きました。

体が冷えれば心も冷えますし、心が冷えれば体も冷えます。病気も、どちらかが冷えると悪循環に陥ります。著書では心を元気にする4つの習慣も伝えています。冷たい飲食物をやめる習慣、38~40度のお風呂に長めにつかる習慣、お風呂から出たらすぐ寝る習慣、午前中に1日10分は歩く習慣…など、たった4つを習慣にするだけで変化があります。

――著書の中では「大人が子どもを叱る時、熱を与える」…という表現があります。これも定義としては「温める」で?気の力でしょうか。もしかして温めるために一番必要なのは「気」でしょうか。

そうです。子どもを叱れない親が増えているでしょう?憎くて叱る親はいません。叱るということは、愛情がなくてはできません。愛情というのは、不自由な生活をさせないという物質面ではなく、子どもと真剣に向き合う熱のことです。叱られた経験がないまま大人になると、鍛えられていないから脆い。叱ることはストレスに耐えられる強さを作っていることにもなります。

――大人と子どもの体温差についても言及されています。真冬でも半袖半ズボンの子どもが私たちの幼い頃いましたが、体は冷やさないほうがいいのでは?

子どもはエネルギーの塊です。親が自分の体感に合わせて、子どもにも同じような服装をさせようとするのは間違っています。本人が「寒い」というなら厚着をさせてもいいのですが、厚着の習慣を続けていると、自分の体で体温調節する訓練ができなくなってしまいます。自分の体で熱を作るようにしておくのが大切です。

子役として活躍した少年時代。

――川嶋先生が医師の道に進まれたきっかけは何でしたか?

NHK連続ドラマで主役を務めた。中学1年の川嶋少年を讃える当時の雑誌記事。

NHK連続ドラマで主役を務めた。中学1年の川嶋少年を讃える当時の雑誌記事。

僕は治らない病気を2つ持っています。そのうち一つがきっかけになりました。足の痛くない日は一度もなくて、物心ついた時から、ここ(片方の脛を指して)が痛かったのです。あらゆる病院を回りましたが、どこへ行っても原因も病名もわからなかった。誰も診断を下せない、ならば自分が医師になって解き明かそう、と。後になって、腫瘍があることがわかりましたが、手術をして切除しようとすると歩行が困難になるリスクもあるので、そのままにしています。実は病院が大嫌いなんですよ、今も(笑)。

――病院嫌いのお医者さん(笑)。それにしても勉強面で優秀でないと医師にはなれないと思うのですが。何がお得意でしたか?

「行ってはいけない病院、間違いだらけの健康法」では、知っておきたい健康の常識が明らかに!!

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地理が大好きでした。飛行機に乗るとずっと地形を眺めています。それと、第一外国語の選択が英語ではなくフランス語でした。でもアメリカに留学をして、フランス語が通じなくて、英語を使うようになってずいぶん忘れてしまいました。小学校時代は特に勉強はしていませんでしたが、4年生頃に成績がよくなりましたね。必死に勉強するタイプではなく、なんとなく…という感じでした。

――習い事は何をされていたのですか?

習い事というよりも、実は、劇団に入れられて子役としてドラマ出演をしていた時代がありました。親がそういう世界が好きで、僕の意思に関係なく入れられたのが小学校に上がった頃です。当時の民放のドラマは、学校を休ませて撮影するような時代でした。僕は常に辞めたくて、親にそう言うと「主役を務めたら辞めてもいい」と。それで、中学1年生の時にNHKの連続ドラマで主役を務め、約束通りそれを最後に引退しました(笑)。

――とってもユニークな体験!セリフを覚えたり、現場での演技も勉強のうちでしたか?

立ち稽古をするとセリフは全部間違いなく覚えられる子役でした。今になってみると東大入るより難しい経験ができたこと、親に感謝はしています。でも当時は辞めたくて仕方なかった。中学では部活動もできませんでしたし、子役をやっていた7~8年間は他に習い事なんてできませんでしたから。

子どもの頃から病気や体の教育が必要。

――川嶋先生にはお二人息子さんがいらっしゃるそうですが、ご家庭ではどういう子育て方針で?

「自癒力 自分の力で病気を治す100の方法」では、人間のもつ自然治癒力を語る良書。

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何をやってもいいけれど、ウソをつくこと、ひとに迷惑をかけることは叱ります。僕が中高一貫教育の私立で育ってきたので、息子たちにもその良さを伝えられたら…と思って、二人とも中学受験を経て兄弟同じ学校へ。親は子どもに環境を用意することは大事ですが、そこからは子ども自身の選択。どんなに叱っても、親が味方であることを示すことも大切です。

――先生は「子どもの本来持つ力」について語ってらっしゃいますが、今の子どもたちに感じることはありますか。

親が、過保護だと思います。病気や体のことをもっと学校教育で取り入れてほしい。日本人は人任せが主流で、自分で自分の体を守ろうという感覚がない。子どもに言うより、親に伝えなくては…と思いますが、多少の負荷をかけて耐えられる心身を作っていってほしいですね。

――これまでもたくさん著書をお出しになっていますが、これから取り組まれたいテーマはどんなことですか?

日本の医療を変えていく活動です。医療費が掛かり過ぎですが、患者の意向など無視された「お任せ医療」。いってみれば子どものクレジットカードで親が借金をしながら医療費につぎ込んでいる。医者に掛からないようにするにはどうすればいいか?を考えないといけないと思います。たとえば、風邪を引いて医者に行っても治りません。糖尿病も管理ができれば怖くない病気です。一般市民が主体性をもって決めて、自分の死生観をもつこと。そういう意識改革による医療改革を目指しています。子どものための本を書くことは、病気にならないためにどうすればいいか?を知っておいてほしいからです。それから、西洋医学以外のことを学ぶ場も必要です。これは世界から10年以上遅れを取っています。今、統合医療か自然医療の専門の大学院を作る構想をもっており、数年後には実現している予定です。

――とても大きなテーマですね。個人的に皮膚に出る症状、アトピーについて知りたいのですが、体温をあげることでこうした症状も改善されるものですか?

改善されます。僕の持論ではステロイドを使う病気は、必ず治ります。自分の体でステロイドを必要な分だけ副腎で作れるようになればいいんです。体温が低くてはステロイドが十分には合成されません。

編集後記

――ありがとうございました!体が暖かいと心も温まる。その相関関係を論理的に解明してくださっているのが川嶋先生です。取材後、著書にサインと共に「病気は自分がつくるもの、治る治らないは自分次第」という一言を添えて頂き、とっても共感。健康は自分の手で作っていくもの。近い将来、医学を学ぶ新しい道を構築してくださることも楽しみにしています!

取材・文/マザール あべみちこ

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