【シリーズ・この人に聞く!第77回】弾く、叩く、吹く、歌う、語るを同時に操る型破りな音楽家 山本愛香さん

kodonara

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時にはクラシックピアニスト、時には太鼓叩き屋さん、時にはボディパーカッションインストラクター、時にはナレーター、時には…?!幾つもの顔を持ち、弾く!叩く!吹く!歌う!語る!を同時に操る、他に類を見ない型破りなスタイルを持つ、音楽家。ライブに行けば観客にボディパーカッションを指導し、全員参加で、スポーツのような爽快感と共に爆笑の渦へ。いろんな顔をもつ音楽家・山本愛香さんへ幼少期のお話しから現在の活動についてお聞きしました。

山本 愛香(やまもと あいか)

桐朋学園大学ピアノ科卒業後、秋山和慶、SINSKE、木村大、藤原道山、古澤巌、葉加瀬太郎、岡幸二郎、大平貴之、人間国宝・山本邦山 等各界のトップアーティストとのコラボレーションや、ユニット活動も活発に行っている。(和太鼓×ピアノの姉妹デュオ「ヤマモト万歳」、2人で20個以上の楽器を操るユニーク楽団「アラカルト」)
近年は、NHKラジオ「おとおばけの冒険」、舞台「ビューティフル・サンデイ(制作/東宝芸能・関西テレビ放送)」等に楽曲提供し演奏も行うなど、オリジナル楽曲にも定評があり、今夏、全曲オリジナル曲をおさめたピアノソロCDをリリース予定。また、演奏活動以外に、ピアノ、ボディパーカッションの指導、ワークショップも全国各地で行っている。桐朋学園大学附属子供のための音楽教室にて特別授業の講師も務める。山本愛香音楽教室「39ミュージック」主宰。

 山本 愛香 | Facebook
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サプライズ大好き一家で音楽に囲まれて育つ

――先日のライブもすごく刺激的で夢に出てきそうなくらい楽しかったです!まず最初に、愛香さんが幼少期どのようにお育ちになられたかをお聞かせいただけますか?

愛香さん(小2)と姉(小5)。祖母の田舎、石川輪島にて。いつもお揃いの服を着た仲良し姉妹。

愛香さん(小2)と姉(小5)。祖母の田舎、石川輪島にて。いつもお揃いの服を着た仲良し姉妹。

富山県小矢部市という自然に囲まれた土地で生まれ、小学1年生から和太鼓を叩き始めました。私の音楽の原点は、和太鼓。生まれ育った町内ではお祭りに和太鼓を叩くのが文化として根付いていたんです。小学4年生になると叩き始めるのですが、私の場合、3つ上の姉が4年生になった時に一緒にくっついて行き、1年生から練習に参加していました。和太鼓は練習場所と太鼓の数が限られるので、竹の筒を太鼓に見立てて練習したもので、その音も大好きでした。

――ライブでは「ヤマモト万歳」としてお姉様の綾乃さんとユニットでの演奏がお腹の底から揺さぶられて素晴らしかったです。二人姉妹は仲良しで?どんなご家庭でお育ちになった?

姉と私は性格がまるで逆。キーワードで表すと姉は大胆、まじめ、繊細。私はお茶目、自由、実は小心者…。母は音楽教室を主宰しておりまして、ピアノ、コーラス指導、手遊び歌を教えたりしています。父はグラフィックデザイナーでマジシャン(笑)。サプライズや愉快な事が大好きな一家で、誕生日や記念日に必ず何かしら仕掛けをしたり、家に友達が遊びに来ると父がサプライズでマジックを披露したりと、とても賑やかな家庭です。教育に関しては、ピアノ教師の母は「子どもがやりたいと自分で言うまでピアノを強制するのはやめよう」と考え、私は小学5年生からやっとピアノを始めました。親子だと甘えが出るので別の先生の元へ通いましたが、表現力や音楽的な事は母から学ぶ事も多かったです。

――今の愛香さんが、どうしてこんなにユニークなミュージシャンなのかわかるエピソードですね!子どもの希望を尊重してくれるお母様がいらして、音楽を楽しめるようになった?何かきっかけになったことはありますか?

小3の時、地元で「童謡フェスティバル」というコンテストが催され、作詞・作曲部門で、最優秀賞を戴きました、それがなんとボディパーカッションの歌でした。今思えば、その時から繋がっていたんですね~。当時まだピアノを習っていなかったので音符も楽譜の書き方も分からず、私が歌ったメロディを母が楽譜に落としてくれたんです。小さい頃、歌うことも身体をならすことも好きだったので、そこから音楽大好き熱が続いているのかもしれません。

――ご家庭にアートと音楽に触れる環境がおありでラッキーでしたよね。音楽好きな少女に反抗期なんてありましたか?

ありました!反抗期にはよくトイレジャックして何時間もトイレに立て篭もって出なかったり(笑)。でも家に3つトイレがあったので、1つ占拠しても何もダメージを与えられなかったんですけれどね…。(笑)自分に目を向けて欲しかったんでしょうね。姉が写真を撮られているのに自分も写りたいがために遠くにいるのに変なポーズとかして被写体としてバッチリ意識したり…。(笑)とにかく目立ちたがり屋で、やんちゃな子どもでした。

失敗が大発見につながっている

――愛香さんご自身の演奏活動とは別に、子どもたちへ、ピアノ、ボディパーカッションの指導もされていますが、教えることで大切にされていらっしゃるのはどんなことですか?

春祭りにて、愛香さん4歳、姉7歳。太鼓を叩いた後、ご褒美のかき氷を頬張る姉妹。

春祭りにて、愛香さん4歳、姉7歳。太鼓を叩いた後、ご褒美のかき氷を頬張る姉妹。

先日ボディパーカッション教室でバケツを叩いて音を出す練習中に、バケツが3か所も割れてしまい。でも子どもたちがその割れ目にしゃもじを入れてこすってみたり、割れた個所をはじいてみたり、子どもたち自身で面白い音の発見を次々としました。レッスンでは演奏そのものを上手にするのはもちろんですが、音の発見も大切にしています。日常で偶然に生まれた音も楽しんでほしいなと。

――そういう音楽が本来もつ豊かさを伝えられるのは、愛香さんが幼少期に自然がいっぱいで食べ物もおいしい地方で暮らしてこられたから気づけることなのかもしれませんね。

小5のフィギュアスケート発表会。前列右から4番目の白リボンに白いふわふわ、白タイツの愛香さん。

小5のフィギュアスケート発表会。前列右から4番目の白リボンに白いふわふわ、白タイツの愛香さん。

そうですね、幼少期の影響が大きいかもしれません。両親は、野外レジャーやスポーツも色々とさせてくれましたし、毎月コンサートや美術館へ連れて行ってくれたりと、積極的にいいものに触れさせてくれました。有難いことです。様々な経験から、今の自分が創られていると思います。好奇心旺盛な子どもで何でもやりたがりでしたが、小学校の卒業文集で書いたのが「ピアニストになって姉と共演したい」という夢。それが今、ほぼ実現できています。嬉しい限りです。

――しゃかりきになって夢を実現するというより、自然の流れで夢が叶っているのは素敵なことですね。どんな努力をされてこられましたか?

小さい頃は練習が大嫌いで、ピアノの練習もしている振りが得意でした(笑)。単調な練習が好きではなかったので、楽譜の上に漫画を置いて、読みながら音を奏でたり…。(笑)私の習っていたピアノの先生はとても厳しくて「練習しないならもう来ないで結構です」と何度か母へ電話をしてきたくらい。ただ、初見でいろんな曲を弾くのが大好きで、パッと楽譜を見て曲の雰囲気を捉えることは得意でした。今は練習も好きになりましたが、努力はしていませんし、根性もありません(笑)。

――練習がお嫌いでも、ピアノや音楽そのものが嫌いなわけでなかったんですね。和太鼓やピアノの他にはどんな習い事をされていらしたんですか?

フィギュアスケートを小2から小5まで。これは姉がバレエ教室に通っていた時に、私がまだおむつをはいているくらい小さかったのですが、踊るのが大好きでバレエのポーズをまねて教室の端っこで踊っていたそうです。それで踊る要素もあるフィギュアスケートを習いたい…ということになって。習字、絵画教室などやりたいと望んだことはすべて通わせてもらいました。小さな頃、音楽だけではなく色々なジャンルに触れさせてもらった事で、今のスタイルができあがったのかな、と思います。

子どもが持つ発見力を親も知ってほしい

――実際に生徒さんをお持ちで教えていらしているお立場でもありますが、これから習い事を考える親へメッセージを頂けますか?

父の手作り帽子を被って小5の学習発表会で。小さい時から打楽器大好き、目立ちたがり屋全開!

父の手作り帽子を被って小5の学習発表会で。小さい時から打楽器大好き、目立ちたがり屋全開!

子どもが親の見えないところでやっている素晴らしい発見や良かったことをご両親へお話しするようにしています。ただ楽器演奏の感想だけではなく、その子の持っている感性を伝えたい。習い事を通して、普段ご家庭では見られないお子様の色んな面を知っていただきたいですね。

――音楽以外で大切にしているのは、どんな時間ですか?

初めてのピアノ発表会は小学4年生。「鏡よ鏡、世界で一番かわいいのはだぁれ?」

初めてのピアノ発表会は小学4年生。「鏡よ鏡、世界で一番かわいいのはだぁれ?」

自然を感じたり、アートに触れたり、お友達と会ったり、家族と話したり……全部大事ですが、食べることが大好きなので、「食」の時間も大切!(笑)。 富山の実家にたまに帰ると食事係として厨房を預かります。料理は全て創作料理。レシピ本は見ません。ある材料で、思いついた物を。

――それって愛香さんの創作活動とも通じていますね。では子どもたちへ伝えたいことは?

どんな物でも楽器になり、身体を叩くだけでも音楽が生まれます。日常のなかで日々発見してほしい。例えばトイレの換気扇が壊れてしまった音でさえ、楽しい音と感じるとそれだけで音楽になる。親にとっては行儀が悪いようなこと、お箸で茶碗を叩いて奏でる音ですら、子どもにとっては発見。あ、この音おもしろい!という“気付き” を大事にしてほしいですね。

――ボディパーカッションという音楽ジャンルって新しいですよね。これから愛香さんがご自身の音楽で取り組んでいかれたいこと、ビジョンをお聞かせください。

ボディパーカッションは小さい子どもからお年寄りの方までどなたでも体感できます。たとえ聴覚障害、視覚障害がある方でも音楽を楽しめる。身体で感じる音だからです。みなさんに、もっと単純に音楽を身近に感じ、日常に溢れる素晴らしい音をたくさん発見していただきたいなと思います。 誰もが、“音”を“楽しむ” 「音楽人」であってほしいなと思います。現在、友人と、詩&手話&歌&ボディパーカッションのコラボレーション曲を創作したり、姉とのユニット「ヤマモト万歳」でも、和太鼓&ボディパーカッション&詩の朗読、という新しい形でもボディパーカッションを取り組んでいます。まだまだ色んな可能性を見つけていきたいですね。
今現在、ピアノを習っていて、“音が苦(おんがく)” の子供たちもいるかもしれません。 “音学(おんがく)” はもちろん大事ですが、純粋に、“音楽(おんがく)” をもっともっと感じてほしい!その“音”“楽” の喜びを、これからも様々な形で日本中の子どもたちに伝えていけたらと思っています。

編集後記

――ありがとうございました!幼少期のお話を伺って、現在の愛香さん流の音楽につながったこと深く納得しました。とってもパワフルでありながら子どもたちを魅了する「歌のお姉さん」的かわいらしさも併せ持ち、いろんな楽器を駆使しつつお腹の底から元気が湧きあがってくる刺激的な音楽演奏。そして音楽と共に思わず体が動いてしまうスポーツのような楽しさ。この意外な組み合わせの音に心をワシワシ掴まれる人が、これからますます増えてしまいそう。7月26日にマザール主催で山本愛香指導のワークショップも開催します。笑いっぱなしの90分でダイエット効果もありそう?これはもう参加するしかないですよ!詳しくは活動予定をチェック。

取材・文/マザール あべみちこ

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