【シリーズ・この人に聞く!第5回】假屋崎省吾さんが語る「美意識をもつ生きかた」

kodonara

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華道家として活躍するほか、TVや雑誌で独自の視点からハッキリと思いを伝えられるキャラクターとして人気の假屋崎省吾さん。今回取材させていただくために、著書を拝見して前勉強をするうちに、男気強く、確固とした信念をお持ちでユニークな素晴らしい方だと改めて感じました。最近はじめたダイエットが大成功され15キロも減量に成功。ちょっぴりスリムになって、以前よりお顔のラインがシャープになった假屋崎省吾さんに、幼少の頃からこれまで大切にされてきたこと、そして美意識についてお聞きしてみました。

假屋崎 省吾 (かりやざき しょうご)

華道家。1958年生まれ。東京出身。83年早稲田大学在学中に花の世界へ入門。92年スタジオリーフ設立。現在、假屋崎省吾花教室主宰。美輪明宏氏より「美をつむぎだす手を持つ人」と評され、繊細かつ大胆な作風と独特の色彩感覚には定評がある。クリントン前米大統領来日時や、天皇陛下御在位10年記念式典の花の総合プロデューサーなど、 内外のVIPからも高い評価を得る。受賞歴多数。
著書に、「花筺」「華道家 假屋崎省吾 華麗なる花ことば」(メディアファクトリー)、自叙伝「花を愛した男 假屋崎省吾」(阪急コミュニケーションズ)、「花・葉・器・自由自在」(角川書店)、「假屋崎省吾の花スタイル」(NHK出版)、「白雪姫」(新風舎)、「別冊太陽 花-假屋崎省吾の世界-」(平凡社)、「假屋崎省吾の華麗なるおもてなし」(ソニーマガジンズ)、「假屋崎省吾の百花繚乱」(講談社)、「假屋崎省吾の暮らしを楽しむ花レシピ」(NHK出版)、DVDに、「華道家 假屋崎省吾 TOKYOをいける」、「假屋崎省吾 花からはじまるライフスタイル」(ギャガ・コミュニケ-ションズ)他多数。
TBS「中居正広の金曜日のスマたちへ」、東山紀之氏 司会の日本テレビ「@サプリッ!」にレギュラー出演するなど、テレビ・雑誌・新聞など幅広い分野で活躍中。

 Shogo Kariyazaki 假屋崎省吾 オフィシャルサイト
www.kariyazaki.jp  

お花と音楽を愛する物静かな假屋崎少年を両親はいつも温かく見守って応援してくれた

――幼少の頃はどんなお子さんでしたか?

私はとてもおとなしくて内気で優等生タイプで、すぐ転んじゃうような弱々しい子どもでね。小学校から中学校へ上がるまでバイオリンを習っていたの。お花を育てたり、音楽の素晴らしさに触れるのが好きでした。でも、たとえ同年代の子と趣味が合わなくても、一人で静かに自分の世界にいることが全然苦痛ではありませんでした。

――物静かな子だったのですね。当時からお花が大好きだったのは何か理由がありますか。

うちの両親ともガーデニングや園芸が大好きだった影響をうけ、私も庭いじり、お花を育てることが好きでした。父は鹿児島県出身で公務員、母は長野県出身で専業主婦。今から50年ほども前の戦後すぐの話です。都内の棟割長屋という借家住まいで小さな庭でしたが、毎年桜、菖蒲(しょうぶ)、バラ、沈丁花(じんちょうげ)、紫陽花(あじさい)など、花をつける樹や、球根から育てる花などたくさんの種類の花に囲まれ、季節ごとに花を植えていました。父は寡黙で質実剛健なタイプ、母はいつも笑顔を絶やさずシューベルトを口ずさんでいる美しいものが好きな人でした。両親とも暇さえあれば庭に出て花の手入れをしていたので、幼い頃から花が身近にあったし好きになった。自分で品種改良の真似事みたいなこともし、結構本格的でした。

――親御さんは寡黙な假屋崎さんをどのように見守られていましたか?

好きなようにさせてくれました。あれしろ、これしろと全然口うるさく言わない両親でした。それどころか、私の才能を見越してくれて、好きなことを続ける私を応援してくれた。結局そういう大らかさが要因となったおかげで、今日の假屋崎省吾となったわけです。

親の考えを子どもに押し付けては駄目。好きな道を選択できるように手助けするのが役目

――バイオリンからピアノに転向されたのはいつ頃でしたか?ピアノは16年も続けられて、音大進学も考えられたと著書を拝見して知りましたが。

中学上がる頃にピアノを習うようになりました。本当に好きだったの。でも音大は小さい頃から英才教育を受けていないと合格できないし、プロのピアニストになれないなら、とあきらめたの。普通の大学に進学してからは、一切ピアノを触らなくなっちゃったわ。がむしゃらに花の道を突き進んできた。仕事も忙しくて時間の余裕もなくなってしまったしね。でも、44歳になって自分の中の柱のひとつとしてまた始めることにしました。人前では弾きませんよ。恥ずかしいので!自分だけの愉しみです。

――やはりお父さんとお母さんの子どもを見守る力は大きいですね。

そう。よく自分の子を観察してみることです。親の主義主張、夢、希望を子どもに押し付けないことが大切。押し付けると、子どもの心って歪むと思うんです。その子が好きなこと、やりたいことって、絶対あるはず。子どもといえど一人の人格です。その芽を摘み取ってしまうのは許されません。子どもは子ども、親は親。子どもが自分の道を見つけられるのを手助けをするのが、親の役目なんですから。

――小さい頃に体験されたどんなことによって、今の假屋崎さんを形作っているのでしょうか。

私はおっとりしたタイプで、家族の愛情も満たされていましたが、唯一不満だったのが「家」でした。美しいものが好きだったせいか、「どうしてうちはこんなボロいの!」とね(笑)。昭和30年代はどこも似たような家でしたけれど、その反動で「将来は宮殿みたいな美しい家に住むんだ!」と思い込んでいたものです(現在、青山に新居を建築中)。

――華道の世界の第一線でご活躍ですが、この先どんなことをしてゆきたいですか?

「華道家」という肩書きって、私が言い始めたら追随する人がでてきた。こういう立場になると、足を引っ張ったり、根も葉もないことを言いふらしたり、嫉妬する人もたくさんいるものです。でもね、私はそういうマイナス要素に絶対負けないの。「冗談じゃないわ!やってやろうじゃない!」なんて、燃えちゃうわけです。マイナスのエネルギーを全部プラスに転じるの。これは、尊敬する美輪明弘さんからの教えです。

――全国各地から700名余りの生徒さんが假屋崎さんの花教室に通われていると聞いています。

入学式があっても卒業式がないので、自由に通いたい方にお越しいただいています。ライフスタイルが変わって一旦疎遠になる方はいますが、辞めてしまう人はほとんどいない。それこそ香港やシンガポールからも遊びにきてくれる生徒さんがいるくらい。月に11日間開催し、各教室3時間弱の授業のため、参加されている生徒さん一人ひとりとお話をする時間が、ほんの数分しかないんです。それでも、普通は看板の先生って、毎回授業には参加せずにお弟子さんに任せてしまうのが常ですが、うちは生徒とコミュニケーションを大切にすることを徹底しています。それに、お花をいけるのは、単に技術だけでは駄目なんです。何が必要かって「美意識」。その真の意味を生徒さんにお教えしてゆきたいです。うちの教室は本当に良心的ですよ!

美意識とは誰の心にも潜在的にあるもの。自分の優れた点に気づいて輝いてほしい

――美意識は美しいものにたくさん触れたり、感じたりすることで、個々の心の中で生まれ育てるものですよね。では假屋崎さんにとって、男らしさ女らしさとはどんなことだと思いますか?

その人らしさ、ということですね。誰でも他にはない自分にしかない個性、才能というものがあるはずです。世の中には、自分でちゃんと見出すことができる人と、人から見出されて「ああ、自分はこういうところが優れている点なのだ」と気づく人の二種類いると思います。いずれにせよ、その気づいたことに磨きをかけて、より一層輝く自分でありたい、と思う人が素敵になっていくもの。自分に自信がもてなくて卑屈になっていると全然駄目。小学校、中学校でもそう。「こんなところが素敵だね」と褒めてくれる人がいれば、ある時コンプレックスが自信になる日がくると思うの。

――假屋崎さんも小さい頃、周囲の方にたくさん褒められましたか?

いいえ。母だけには「がんばったね」「天才だわ!」とよく褒めてくれましたけれど、他の大人にはちっとも(笑)。

――自信をもったのはいつ頃でしょう?

やはり花と出会って自己表現できるようになって、この道で生きていくんだわ!と決めてからですね。私はお花で表現して、「感動した」「元気になった」と皆さんに言われるのがとても喜びなんです。『パワーをください!』とよく言われますが、『どうぞ私から好きなだけ奪い取っていってちょうだい!』と私は言います。でね、思うのは、自分がパワー与えることで、実は人にエネルギーを与えられていると思うのです。与え合っている、というのかしら。これ、すごく不思議なものですね。

――子育ても、そういうことかもしれません。親が子を育てているつもりで、本当は子どもに親も育てられていると思います。日々成長なんですね。では、いまどきの親子へエールをください。

親には「世間体を気にするな!」と言いたい。ヒトはヒト。自分は自分。変なところで同調したり、気にしたりするのはお止めなさい!と。自分らしさをちゃんと見つけてほしいですね。子どもは親の従属物ではありません。アクセサリーでもない。一つの人格がある。親の役目は、その子のことをきちんと観察して、才能を引き出す手助けをすること。子どもには「一人で生きているわけではない」ことをわかってほしいですね。周囲の人への気遣い、やさしさ、人間としてきちんとしたことをまずわきまえなさい。自分の好きなことを見つけたら、とことん追求しなさい。まずは何でも挑戦してみること。逃げずにぶつかって考えればまた次の道が切り拓かれると思います。

編集後記

――どうもありがとうございました!
エネルギッシュな假屋崎さんの源を知ることができて、とても楽しかったです。子どもの頃おっとりしていたのとは裏腹に、教室内での假屋崎さんはお師匠さんとして、キビキビとお弟子さんに指示を与えていらっしゃってカッコよかったです。その一方で気遣いを忘れない温かなお人柄が伝わってきました。健康にご留意され、ますますのご活躍をお祈りしております!子どもの習い事も気になるけれど、ママが假屋崎花教室に通って、真の美意識を学んでみてはいかがでしょう?? 気づきがたくさんあると思います。

取材・文/マザール あべみちこ

活動インフォメーション

●「住まいと暮らしのEXPO2006」
6月10日(土)、11日(日) 
東京ビックサイト 西4ホール・屋上展示場
10:00a.m.~5:00p.m. 
参加費無料
※会期中の6月11日(日)2:45p.m.から、トークショーを行います。 
お問合せ:Tel:0120-321-866(受付時間月~土(祝祭日除く)9:30a.m.~5:30p.m.)

●「特別対談『現代美術と花 杉浦康益と假屋崎省吾』 」
6月13日(火) 
菊池寛実記念 智美術館 レストラン ヴォワ・ラクテ
3:00p.m.~4:30p.m. 
料金10,000円(観覧料およびお茶とお菓子含む)
お問合せ:Tel:03-5733-5131

●「語り継がれる、新たな美の歴史 假屋崎省吾の世界展」
6月17日(土)~7月23日(日) 
酒田市美術館
9:00a.m.~5:00p.m.(入館は4:30p.m.まで、会期中は無休です)
料金 一般900円 高校・大学生450円 小・中学生250円
※期間中の6月17日(土)、18日(日)にサイン会を開催いたします。
11:00a.m. 1:00p.m. 3:00p.m.
お問合せ:Tel:0234-31-0095

●「フラワーデモンストレーション&ディナーショー~花と私と庄内と~」
6月17日(土)
ガーデンパレスみずほ
開場6:00p.m. 開演6:30p.m.
料金16,000円(料飲、税、サ込)
お問合せ:Tel:0234-23-8012

●「イングリッシュローズ“薔薇の祭典”假屋崎省吾と過ごす軽井沢」
6月22日(木)
軽井沢タリアセン
開演1:00p.m.
料金5,000円(スイーツ・ハーブティー付、軽井沢タリアセン入園料込)
定員100名
お問合せ:Tel:0267-46-6161

●「假屋崎省吾 フラワーデモンストレーション&トークショー」
6月25日(日) 
紀州南部ロイヤルホテル
受付11:30a.m. 食事12:00p.m. ショー2:00p.m.
料金 一般11,000円(ランチ・ワンドリンク付、サービス料、消費税込)
※ランチは、和食・洋食・中国料理よりお選びいただけます。
お問合せ:Tel:0739-72-5500

●「モーツアルト生誕250周年コンサート in 杉並」
6月30日(金) 
杉並公会堂大ホール
開場6:30p.m. 開演7:00p.m.
料金 S席5,500円 A席4,000円 B席2,500円(全席指定・税込)
お問合せ:Tel:03-3406-0895
※モーツアルトピアノ協奏曲 第20番 K.466 ニ短調より第2楽章にあわせてステージ上で花をいけます。

●<2006年三越 假屋崎省吾個展>
9月18日(月)~9月24日(日)
高松三越 
《デモ&トーク》 9月18日(月)、23日(土)
お問合せ:Tel:087-851-5151

10月3日(火)~10月9日(月・祝)
千葉三越 
《デモ&トーク》 10月3日(火)、8日(日)
お問合せ:Tel:043-224‐3131

●「華道家 假屋崎省吾の世界」(同時開催「假屋崎省吾花教室展」)
10月28日(土)~11月12日(日) 目黒雅叙園 昭和の保存建築・百段階段

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