近所に日本で2番目の巨木があった! ~来宮神社の大クス~

sKenji

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写真の巨木、静岡県・熱海市の来宮(きのみや)神社にあるクスノキである。なんと、幹回りは23.9m。環境庁(当時)が巨樹を調査した際に、日本で2番目の巨木(幹周り)として報告されている。先日、森や樹木を調べていると、自宅の近くにあることを知り、早速行ってきた。

来宮神社と大クスについて

1988年、環境庁(当時)が第4回自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査)として、「巨樹・巨木林調査」を行っている。その際に報告された日本で第二位の巨木が、来宮神社のクスノキである。

同神社のクスノキは、1933年に「阿豆佐和気神社(あずさわけじんじゃ)の大クス」として国指定の天然記念物に登録されている。現在ではこの名称よりも「来宮神社の大クス」と呼ばれることが多いようである。来宮神社及び大クスの由来について、熱海市協会のWEBサイトには下記のように記されている。

古くから来宮大明神と称し、熱海郷の地主の神であって来宮の地に鎮座し、 来福・縁起の神として古くから信仰されています。
おおよそ、今から1300年前、和銅三年六月十五日に熱海湾で漁夫が網をおろしていたとき、 御木像らしき物がこれに入ったので、不思議に思っていると、童子が現れ 『我こそは五十猛命である。この里に波の音の聞こえない七本の楠の洞があるからそこに私を祀りなさい。 しからば村人は勿論いり来るものも守護しよう。』と告げられ、 村民達が探し当てたのが、この熱海の西山の地でした。
(中略)
境内にそびえ立つ、全国二位の巨樹:樹齢二千年の大楠は、 幹を一回りすると一年寿命がのびると伝えられており、 この木の生命力にあやかり、長寿・病気平癒・健康祈願のお参りをする参拝者が後を絶ちません。
また、願い事のある人は、思うことを誰にも云わず一回りすると願い事がまとまる、とも言われています。

来宮神社(出典元:熱海市観光協会)

来宮神社の大クスへ!

来宮神社の鳥居

来宮神社の鳥居

6月上旬の日曜日。来宮神社に向かった。

神社はJR伊東線の来宮駅の出口から約250m、徒歩約3分ほどの距離にある。日本有数の巨木が駅の近くにあることに驚く。神社入口にあたる鳥居の前には高架橋があり、その上を東海道新幹線が走っている。しかし、緑が生い茂る境内に一歩足を踏み入れると、喧騒さを全く感じさせない。神社の脇には沢が流れており、新緑とあいまって清涼感を感じる。

神社の鳥居をくぐると右手に大木がある。これが来宮神社の大クスかと思いきや、違った。これは「第二の大クス」と呼ばれるクスノキであった。落雷ににより、幹の大部分が空洞となっているのだが、緑の葉を茂らせており、参道側から見るとそれを感じさせない。

鳥居から続く参道
鳥居から続く参道
第二の大クス。中心は空洞になっているが、参道から見る限りそれを感じさせない。驚くべき生命力である
第二の大クス。中心は空洞になっているが、参道から見る限りそれを感じさせない。驚くべき生命力である

鳥居から本殿までは100mほどの参道で結ばれており、途中には階段がある。

かつて来宮神社には7本のクスノキがあったが、120年前、漁業権をめぐる事件の訴訟費用捻出のために、そのうち5本が伐採されてしまったそうである。とはいえ、境内には樹齢が古そうな大木が残されており、神聖な雰囲気に包まれている。ちなみに来宮神社は、江戸末期までは「来宮」ではなく「木宮」という字だったらしい。キノミヤジンジャは全国に44社あり、熱海にある来宮神社はその総社となっている。

熱海鎮座の来宮神社は江戸末期まで『木宮明神』と称し、現在の『来宮』ではなく、『木宮』の字で古文書等記されております。また伊豆地方に『キノミヤ神社』という社は十数カ所あり、各社とも必ず千年以上の御神木があることから、『木』に宿る神々をお祀りする神社として崇敬を集め、古来生活文化に欠くことのできない木に感謝する信仰を有しておりました。

天然記念物 大楠 - 来宮神社

鳥居から続いている参道。階段上から撮影
鳥居から続いている参道。階段上から撮影
来宮神社の本殿。参道側から撮影
来宮神社の本殿。参道側から撮影
本殿。斜めから撮影
本殿。斜めから撮影
本殿の脇にある弁財天
本殿の脇にある弁財天
裏側から本殿と社務所を撮影
裏側から本殿と社務所を撮影
境内に大クス以外にも大木が生えている。写真の建物は社務所

境内に大クス以外にも大木が生えている。写真の建物は社務所

ご神木である「来宮神社の大クス」は、本殿裏手、境内の一番奥にある。木の前には小さなほこらと思われるものがある。すぐ脇には沢が流れており、水の音が涼しげである。大クスの周りは一周できるようになっている。一回りすると寿命が一年伸びるといわれていることもあり、訪れた人は反時計回りで歩いている。

大クスの太さを言葉で伝えるのは難しい。しかし、25mプールとほぼ同じと考えると、その大きさが伝わるかもしれない。

来宮神社の大クス。正面から撮影
来宮神社の大クス。正面から撮影
裏側から撮影
裏側から撮影
大クス。写真の右に沢が流れている
大クス。写真の右に沢が流れている
来宮神社の大クス
来宮神社の大クス
人と比べてみると、その大きさがわかる
人と比べてみると、その大きさがわかる

巨木の代名詞的な存在である屋久島の縄文杉が、幹周り16.2mと言われている。縄文杉と来宮神社の大クス。樹種の違い、いずれも畏怖すべき巨木であり単純に比較はできないものの、屋久島の巨木にも決してひけをとらない「来宮神社の大クス」。一見の価値がある巨樹である。

来宮神社の大クス

参考WEBサイト

 天然記念物 大楠 - 来宮神社
www.kinomiya.or.jp  

Text & Photo:sKenji

最終更新:

コメント(2

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  • O

    onagawa986

    最初の写真の存在感!発するオーラがハンパないですっ!!!
    パワースポットと呼べるくらいの場所ですね!素敵な場所!行ってみたい!
    全国二位の巨木が近所で自慢したくなっちゃいますね♪

    • S

      sKenji

      樹齢の古い巨木のオーラはすごいものがありますよね!
      数百年以上の気の遠くなるような時を過ごし、教科書に書かれれている歴史的事件や人物と同じ時代を生きていたというだけで、畏敬の念を感じます。

      話が少しそれてしまいますが、先日のサッカーワールドカップの日本代表戦。コートジボアールのドグロバ選手がまるで巨木のように感じました。

      来宮神社の大クス、パワースポットとしても、人気があるみたいですよ!
      機会があれば、ぜひ見に来てください!!