あの日、双葉町であったこと「実体験的地震対策」

iRyota25

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大きい地震があったら、必ず津波が来るって考えてください。そう思ってください。もう迷わず、高い所に行ってください。そして、決して戻らないでください。

今回の津波の被害に遭った人の中には「どんな津波が来るんだろう」って、海に見に行った人がみんな亡くなっています。
(会場に笑い声のようなざわつき。しかし、とくに福島では津波を見に行って巻き込まれた人の話をたくさん聞く。宮城や岩手では、家族を探しに海辺に戻ってという話がきわめて多い)

これっていうのが、実は恐ろしいことに習慣になっていたんです。津波が来ますよって津波警報とか注意報が出る。我々消防団も水門を閉めにとかで集まるんです。やがて津波が到達しましたという連絡も入る。「え、来たの?」って見ても10センチとか。ニュースでやってる津波の高さよりぜんぜん低いんです。ニュースで1メートルって言ってるとき、来るのは10センチ。そういうことが頻発していたんで、10メートルが来ますって言われた時に、

「なんだ、じゃあ1メートルか」

ってことになっちゃうわけです。それを見てみようって人が海に行って、実際に10メートルクラスの津波に呑まれていった。そういうことがあったのです。

大きな地震があったら、とにかく津波が来るものと思って逃げてください。それで津波が来なかったら、「来なくて良かったね」で済むわけです。逆に来るはずねえだろって見にいって来たら、終わりです。

こんな地震で津波なんか来ないよ、っていうような地震であっても「備えあれば憂いなし」って言葉があるように、逃げればいいじゃないの。人から笑われてもいいじゃないの。もしも実際に津波が来たら、逃げずにいたら呑まれて死んでしまってるよ、ってことなんです。

海沿いにいる方は山の方に登ったりして、そしてある程度の時間を山の上で過ごしてください。で、一発行ったからもう終わりってことではないのです。だいたい4発以上くると思って下さい。

ただこれは自分が経験した地震と津波であって、地震なんて同じものがまた来るものではないんで、東海地震だったらどうかは分からないです。東北の震災の時と違って第一波からデカいのが来るかもしれない。

だから大きな地震があったら、津波に備えて高い所を目指してください。山ならできるだけ高くへ。津波避難ビルなら5階以上。それが自分は一番の大事かなと思います。

ハザードマップや避難計画を鵜呑みにしないで!

今日持ってきたこれは浜松市のものなんですが、東日本大震災と同じ規模の地震が発生したと想定した場合、15メートルクラスの津波が来るでしょうと。学者さんが机上の理論で書いた想定です。しかし、自然というのは計算しきれない部分が必ずあります。だから、これを鵜呑みにしないでくださいってことです。このことをいつも強調しています。

もしかしたら20メートルクラスが来るかもしれない。30メートルクラスが来ない保証はない。机上の理論で計算された何メートルとかいうことよりも、大地震があったら大津波が来ると思っておくのが間違いないと思います。

たとえば浜松駅はだいたい海抜5メートルらしいんですね。そこに14メートルクラスが来ると、津波は間違いなく遠州灘から浜松駅まで来るなと自分は思っています。ある人は「大丈夫だよ、国道1号線がちょっと高くなっているから、あそこで止まるよ」と言います。「東海道新幹線の高架で何とかなるよ」と言う人もいます。何とかなるところとならないところってのがあると思うんです。隙間から勢いをつけて津波が噴き出すってところもあるでしょうし。

川を遡ると津波の到達距離は3倍近くになる

津波にはこんな特徴もあります。うちの双葉町の場合、津波はだいたい海岸から2.5キロから3キロくらいだっていうんです。だけどこれ、川だと8キロ先まで逆流しています。川の方が上るんです。

だから、大地震が来た後には、必ず川沿いを歩かないでください。津波が押し寄せて川の水位がいきなり高くなって、それも7キロ8キロ先まで遡るような勢いです。

川沿いには絶対に行かないでください。そのことも皆さん覚えておいていただきたいと思います。

(つづく)


書きおこしと編集●井上良太

 あの日、双葉町であったこと
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