小豆島とオリーブの熱い関係性
オリーブの木@小豆島オリーブ公園
小豆島を初めて訪れたとき、一番驚いたのはオリーブの存在感です。小豆島と言えば、特産品のオリーブはあまりにも有名で、おそらく多くの人が「オリーブと言えば小豆島」、「小豆島と言えばオリーブ」とイメージできるのではないでしょうか。 僕自身もまったくそのとおりでしたが、島を訪れて改めて驚きます。行く先々、それこそあらゆる場所で「オリーブ」と名の付いたものだらけ!道の駅の名前、ホテルの名前、海水浴場も温泉も路線バスも商業施設も、みーんな「オリーブ○○」!さらにはオリーブにまつわるお土産も「一体何種類あるんだ!」と思ってしまうほどなのです。
ある程度「オリーブ」が目立つのだろうと思っていたものの、ここまでとは・・・。何やら小豆島とオリーブの熱い関係性を感じてしまいました。 そこで今回、小豆島とオリーブの関係について、少し調べてみました。
最初から「オリーブは小豆島」ではなかった!
日常生活でオリーブに接する機会があるとすれば、やはり食用だと思います。主にオリーブオイルを食用として用いることが多いのではないでしょうか。
オリーブの主産地である地中海沿岸の国々では、オリーブオイルは食用のほか、美容や薬用として使われてきました。土壌劣化が問題視されていた当時の痩せた土地でもたくましく育ったことから、人々はあらゆる角度から恩恵を受けていたと言われています。 事実、世界の総生産量のうち、98%が地中海産だそうです。地中海東部の中東・シリア生まれと考えられていますが、まさにこの地中海性の気候がオリーブの生育に適していたようで、地中海沿岸の国々に広まっていきました。オリーブの産地として有名なイタリアやスペインも地中海沿岸ですね。もはや地中海にとって、オリーブは無くてはならない存在と言えそうです。
そんなオリーブが、日本に根付き始めたのは江戸末期から明治初期の頃だそうです。
安土桃山時代(1574~1598年)
キリスト教伝道のため来日したフランシスコ派のポルトガル人神父によって、日本にオリーブが持ち込まれる。
文久2年(1862年)
将軍侍医・林洞海がフランスより輸入した苗木を横須賀に植える。
明治8年~12年(1875~1879年)
イタリアより輸入した苗木が結実に成功。その後、兵庫、和歌山、愛知、高知、長崎、鹿児島など各地で試作が行われる。
明治15年(1882年)
農商務省直轄の神戸オリーブ園にて、フランスより輸入された苗木がきっかけとなり、国内で始めてオリーブオイルの採取及びテーブルオリーブス加工が行われる。
(参照:香川県農業試験場「オリーブの起源と歴史」より)
以上のような歴史があるようです。ここで気になったのは、この時点では小豆島が一切絡んでいないという点。小豆島以外の場所で育った歴史もあり、最初からオリーブの産地として小豆島が選ばれていたわけではなさそうです。
小豆島でのみ、栽培に成功した!
小豆島オリーブ園(wikipedia「オリーブ」より)
では、そんなオリーブが小豆島に根付いた経緯は何なのでしょうか。
明治41年(1908年)、農商務省が三重、香川、鹿児島の3県を指定してアメリカから輸入した苗木で試作を始めたなかで、香川(小豆島)だけが栽培に成功した。
(引用:香川県農業試験場「オリーブの起源と歴史」より)
とあり、ここで初めて小豆島が登場します。それ以上の詳しいことはわかりませんが、当時の農商務省が挙げた「オリーブが育つと思われる候補地」の中に、小豆島が選ばれたことが最初のきっかけだと思われます。(余談ですが、輸入の苗が地中海ではなくアメリカから届いている点も面白いですね。)
なぜ、候補地として小豆島が選ばれたか。その理由も気になるところですが、詳しくはわかってません。しかし結果として、この実験により、小豆島だけがオリーブの栽培に成功。今日の発展に至っています。 資料を見れば、「(瀬戸内海の)地中海性に似た気候のおかげ」、「地元農家のたゆまぬ努力の結果」などと言われています。ただいくら気候条件が良くとも、通信手段もままならない当時、はるか海の向こうで育っていた木を突然島で育てるには、試行錯誤もあったはず。そうした見えない努力が実った先に、現在の小豆島があるわけですから、きっと文字だけでは語りきれていないドラマがある気がしてなりません。
先に「地中海にとってオリーブは無くてはならない存在」と述べましたが、今となっては小豆島にとってもオリーブは無くてはならない存在です。何かにつけて「オリーブ」と名が付き、お土産もオリーブにまつわる商品が主。そういった産業が、島民の雇用や地域活性に大きく貢献しているのは言うまでもないでしょう。 小豆島とオリーブの関係の今後に期待したいところです。
小豆島のマスコット
オリーブ王子「オリーブしまちゃん」
小豆島土産もオリーブ加工品ばかり。写真はオリーブチョコレート。
最終更新:
chocozai1652
我が家でも毎年小豆島のオリーブを購入して食べています。塩水に漬かっていて、ある程度塩抜きをしてから食べます。すごくさわやかに香っておいしいです。あれだけフレッシュなものが食べられるのは国産ならではでしょうね。「どの酒でも美味い」というのが素晴らしい!