沖永良部島 - 昇竜洞にフーチャ、石灰岩が織り成す荒々しさと繊細さ(鹿児島・奄美群島)

shima

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気合いを入れずに景色を楽しむ島

 鹿児島新港より南へ500km弱、同じ県内ながらぐっと緯度が下がり、南国感が増してくるのが沖永良部島です。たとえるなら「ナイキのマーク」、肩さげのバッグ、ギターと言ったところでしょうか。東西に横長の島で、東から和泊町、知名町の2つの自治体から成ります。 隆起サンゴ礁でできた島のため、島の標高は低く、ほかの周辺離島と違ってハブが居ません。しかし、カタカナの多い地名や、暖かい気候などはほかの周辺離島とは変わらず、南国感は抜群!近隣の奄美大島や与論島、沖縄各島と比較すると、派手な観光地化はされていませんが、そのぶん快適で過ごしやすい島ではないでしょうか。

 島は球根栽培が盛ん。花が多く彩りも鮮やか。その一方で、沖永良部島の見どころである昇竜洞やフーチャといった、石灰岩が織り成す荒々しさと繊細さを兼ねた天然の芸術もぜひ見ておきたいところです。 加えて、島は全体的に水はけがよく、その石灰岩と赤土の土壌が野菜の生育にも良いためでしょうか。島でありながら、漁業よりも農業が盛んな印象があります。

 滞在時のおすすめは、気合を入れすぎずにその景色を楽しむこと。そこそこに広いですが起伏の少ない島なので、可能なら車やバイクでの移動が良いでしょう。  

沖永良部島の見どころ

※()内は属す自治体

景色を楽しむ

ワンジョビーチ(和泊町)

エメラルドブルーの海が広がり、海中にはテーブルサンゴや枝サンゴが生息。近くには石灰質の地形が生み出した洞窟や奇岩もあり、自然に抱かれている気分を楽しむことができるでしょう。人も少ないので、休憩しつつ、潮騒を楽しみながら読書でもしてみては。

フーチャ(和泊町)

島の北部にある、海食の進んだ隆起サンゴ礁です。例えようがないのが本音ですが、あえて言うなら、石灰岩でできた洞窟の上に立ち、洞窟の下に流れ込んで弾ける白波を上から覗き込むような場所。海食の影響でいびつな形となった石灰岩が圧巻で、波にあたることで四方八方に飛沫を巻き上げます。この周辺で時折強い波が当たると、遠目からでも飛沫が見えるほど!そして稀に、そんな波の中を懸命に泳ぐアカウミガメの姿も見かけたりします。

国頭小学校のガジュマル(和泊町)

一見すると、小学校の校庭にある何の変哲もない樹木ですが、近づいていくにつれ、その大きさを実感して圧倒されます。これは日本一の大きさを誇るガジュマルで、今や沖永良部島のシンボル。1898年(明治31年)に、国頭小学校の第1期生が植樹したもので、樹齢は既に100年を超えており、この木と共に島の子供たちが育ってきました。「新日本銘木百選」にも選定されています。

笠石海浜公園(海水浴場、キャンプ場、展望塔)(和泊町)

空港、和泊港からそれぞれ車で10分。シャワー・トイレ完備の海水浴場兼キャンプ場です。バーベキュー場のほか、野外ステージや展望塔もあり、いわゆる島の集会所。島のイベントなども多くがここで行われます。周囲は綺麗に区画され、たくさんの花々が咲いているため、家族で過ごすにも最適。

越山公園展望所(和泊町)

島のおよそ真ん中あたりに位置する高台の公園です。割と整備された公園ですが、笠石海浜公園と比べるとやや静か。面白い形のモニュメントが多く、景色を楽しんでのんびり過ごす場所です。

ウジジ浜公園(知名町)

公園内にある大きな帆船が印象的な公園です。これは1890年(明治23年)にカナダ船籍の「リジー・C・トゥルーブ号」が座礁した事故がきっかけ。生き残った10人弱の人々を手厚く介抱したことから、カナダとの良好な関係が始まった場所です。110年後の2000年9月にはウジジ浜公園が整備され、駐日カナダ大使と遭難した乗組員の遺族を招いた慰霊のイベントが行われました。

ジッキョヌホー(知名町)

知名町瀬利覚地区にある湧き水です。古くから人が住んだ歴史があるものの、水資源の確保が悩みの種だったかつての沖永良部島。数少ない水資源の確保ができる場所として、あらゆる場面で生活を支えてきた場所でもあります。水道が整備される昭和30年代まで、住民の命の源として活躍しました。今も、毎年7月には感謝の気持ちを込めたホー祭りが行われています。ちなみにジッキョヌホーとは「瀬利覚の川」の意。

屋子母海岸(知名町)

海が目の前に広がる海水浴場です。入り口には『常陸宮殿下、妃殿下「御清遊の地」(昭和49年7月14日)の碑』があります。周辺は岩が多く、海水浴場としては静かですが、西側が海に面しており、落陽を眺めるには最適な場所です。

昇竜洞(知名町)

こちらも島のシンボル的存在のひとつ。島を訪れたなら必ず見ておきたい、景観と規模は東洋一とも言われるほどの鍾乳洞です。水はけが良い地質ゆえ、島の深部にたまる地下水の一滴一滴がゆっくりと、サンゴの石灰岩を溶かします。こうして自然の流れに従って彫刻された銀白色の彫刻石が、知名町内の2km近い範囲にわたって広がっているのだとか。サンゴの海から生まれたと言う点では、本土で見られる鍾乳洞とはやや種類が異なるようです。県の天然記念物に指定されています。

自然と遊ぶ

フローラルパーク(知名町)

テニスコート、ゴルフ場、ゲートボール場などが備えられた公園です。周辺に高い建物もなく、地形に高低差も無いので、開放感が抜群。知名町民の憩いの場として機能しています。観光に疲れた際の休憩所として過ごしても良いかも知れません。

大山熱帯植物園、自然休養村(知名町)

知名町の大山にある、植物公園とその中にある展望台。植物公園と言えど、特に施設として機能しているというわけでなく、熱帯の植物が植えられた良い意味でゆる~い公園。レトロなコンクリート造りの展望台からの景色が気持ちいい場所です。その横には自然休養村があり、キャンプ場も備わっています。  

施設を楽しむ

和泊町歴史民俗資料館(和泊町)

島に古くから伝わる歴史や文化を保存し、展示する役割を担う資料館です。定期的に企画展やイベントが開催され、かつてよりの農村社会の伝承に努めます。

タラソおきのえらぶ(和泊町)

農村社会として知られる和泊町ですが、農作業が原因での疾病や、逆に運動不足による生活習慣病など、住民の健康は芳しくない様子。そうした健康問題の改善に一役買う想いを込め、「タラソテラピー(海洋療法)」をテーマに設立された保養施設です。プールやトリートメント体験、トレーニングなどの施設に分かれ、離島とは思えないほどに豪華な造りとなっています。

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