放射能に負けないコメ作り 第2回

iRyota25

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福島県いわき市大久町小久。福島第一原子力発電所から直線距離で30kmを少し越えるこの地域には、原発事故の直後からコメ作りの再生に取り組んできた人たちがいる。距離が近いにも関わらず空間線量は比較的低い。しかし農地にホットスポットがあるのは事実。原発事故の実害と風評被害にに戦っていくためには、作物の放射線量を低減するしかない。ほとんどの農家が消費者への直販を行ってきたという、美味しいコメ作りの先進地域の人々の、安心できる農業への挑戦をリポートする。

検体の取り方で放射線量は大きく変わる

日本の田園風景の象徴のような小久地区
日本の田園風景の象徴のような小久地区

自主的に検査した結果、恐れていたとおり同じ地域内で基準値を超える場所があることが判明した。

「この田んぼは4,500Bqくらいだったんですが、高い線量が出る場所があることが分かってきました。山が迫っている場所とか、海から続く谷筋が屈曲しているところとか。どういう場所で数値が高くなるか、だいたいの傾向も見えてきました。でも不思議なんですが、ほとんど同じ条件の田んぼでも、隣の田んぼで数値が大きく違う場合もあるんです。微妙な地形の影響もあるんだろうとか、水の流れの影響も当然あるだろうとか、一度自分たちで計ってみた結果、いろいろな疑問が湧いてくるんです。あれこれ理由を考えて、仮説みたいなのが立てられるようになる。でも仮説を確かめるには、条件を整理して細かく計っていくしかない」

当初の検査費用、1検体21,000円はあまりに高額だった。東京電力に費用負担してもらう考えもあったが、どれだけ負担してもらえるか、当時は不透明だった。佐藤さんたちはできるだけ低価格で検査してもらえるところを探しながら、自主検査を続けた。

数多くの検査を行ってきたいまとなっては当然に思えることでも、当初は測定結果に驚かされることもあった。そのひとつは検査用の土の取り方で結果が大きく異なることだ。

「セシウムなどの放射性物質は、空から降ってわけですから、地表近くにとどまっているかもしれない。あるいは雨などで土の中に浸透しているかもしれない。最初は分からないことだらけですから、表土だけ、表面から何センチとか深さごとにサンプルを取って計ってみたんですよ」

結果はセシウムのほとんどは表土にとどまっているというものだった。

「でも、行政の検査では土を深さ15センチくらい取っていって計っているんです。結果として、ほとんど放射性物質を含まない深いところの土も混ざるから、全体としては数値は低く出る。田んぼにする時には土を耕すからという理屈はわかるけど、これでは安心できませんよ」

放射能に負けない佐藤さんたちのコメ作りは、毎日連載でお届けしています。  

 【ぽたるページ】放射能に負けないコメ作り 第3回
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●TEXT+PHOTO:井上良太(株式会社ジェーピーツーワン)

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