田代島、民宿・海浜館に泊まる。その2【旅レポ】

tanoshimasan

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ふと夕方、トイレに行くと、ばあちゃんが台所で夕飯の支度をしている姿が見えた。鼻を鳴らしていると、

「もうすぐ出来るがら待っどいでねー。」

なんて言う。僕は長旅で洗濯を溜めこんでいたので朝からずっと寝巻のままだ。それ以前に、この悪天候では外出する方が難しく、結局一日中、自分の部屋で本を読んで過ごした。まるでおばあちゃんの家で下宿をしている浪人生のようだ。

船は休みだっでよ。この天気だす全部だめだ。

その日の朝5時。僕は早々に起床した。寝起きは頭が働かないせいか、見覚えの無い部屋に違和感を感じる。そうそう、そう言えば田代島に宿泊してたんだっけか。田代島へ1泊したあと、隣島の網地島(あじしま)へ行こうと思っていたのだ。その網地島行の船が6時40分発。起きるなり眠気まなこをこすりながら荷物を片付けたのだが、外を見るとあいにくの雨である。

段々と頭が冴えてきた。それにしても、この天気じゃ網地島へ行ったところでどうしようもないな・・・。そう思いつつも、チェックアウトの準備をと、がさごそ荷造りしていると、

「あれー、早いんだね。もう起ぎで。」

と、海浜館のばあちゃん。いやいや、早いのはばあちゃんの方でしょう。さすがにご年配だなーと思ったが、民宿のオーナーだし、早起きは当然か。

「船は休みだっでよ。この天気だす全部だめだ。」

あ・・・。

よく見ると、雨どころか土砂降りである。その日は東北圏を前線が通過する影響で天気が不安定。とにかく風が強いと感じていたが、テレビをつけると暴風警報だと報じていた。こうなると網地島はおろか、散歩にも行けない。

「まぁ、ゆっぐりしでけって。」

全体的に生活リズムが前倒しの一日

6時30分。布団から出て、携帯を手に取るも圏外。いつもなら、寝起きはそのままぼーっと携帯をいじったりするのだが、それもできない。いつもなら、朝食も弁当も自分で用意して出社の準備をするが、それもしなくていい。あれ、やることがない。

「ごはん食べましょう!」

ばあちゃんのこの声でやっと起き上がり、顔を洗って朝食。自分が宿泊客という立場であることをすっかり忘れてしまっている。最大でも4人座るのが精いっぱいだろう、こたつの食堂で、ばあちゃんとNHKを見ながらのご飯。『おはよう日本』なんていつぶりに見ただろうか。 そしていちいち料理がうまい。じんわりうまい。お漬物や漬け焼きの魚なんて、一人暮らしを続けていると、意外に食べる機会も無いのだ。もうこの人が作るものはなんでもうまい気がする。



昼、11時45分。夕方、16時45分。食事の都度、部屋で本を読んでいるだけの僕に「ごはんだよ。」と声を掛けてくれた。全体的に食事の時間がいつもより早いのだが、身体もそれに合わせて腹をすかせて待っているもんだから不思議。そして素晴らしいもので、全体的に生活リズムが前倒しの一日を過ごしたものだからか、21時には眠くて仕方なかった。

寝る前に小用を・・・。お手洗いに行く途中ふと見ると、こたつ食堂(?)で、ばあちゃんが気持ちよさそうに寝ていた。雨は止んだようだが、外はすっかり暗い。やはり携帯は圏外。本もたくさん読んだ。もうやることもないし・・・寝ようか。

網地島へ行って動き回るはずだったこの日。何ができたわけでもないけど、なんだか疲れもとれた。うん、こんな日も悪くない。

民宿海浜館

料金:1泊2食付7000円~、アクセス:仁斗田港から徒歩15分、問い合わせ:0225-98-2321 、休み:不定休(要確認)

※ 田代島には食堂が無く、商店もひとつしかありません。商店ではカップ麺なら買えますが、昼食は持参をお勧めします。

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