かからん団子 - 鹿児島県・種子島、屋久島【島の郷土料理】

tanoshimasan

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郷土料理。素朴で目立たず、だけど、うまい。地域おこしのために誕生する「ご当地グルメ」とはちょっと違う。昔から存在して、どこの家庭でも作られる料理。

かからん団子

名前は聞いたことのない人も多いでしょう。しかし、どこかで食べた覚えがある・・・、そんな味。

柏餅に近い味?

 ちょっと分厚い葉で包まれ、中には緑と黒を足して2で割ったような深緑の団子。かじると甘く、よもぎの香りが鼻腔をくすぐります。 たまたま宿泊していた屋久島の素泊まり宿で、これをご馳走になったことがありました。民宿の奥さんによると、

 「これはかからん団子と言って、屋久島とか種子島で昔から食べてるお菓子です」とのこと。人生経験の浅い筆者ながら「あぁ、昔懐かしい味だ・・・」なんて感じました。「トゲのないほのかな甘さ」、「ほんのり香る素材の香り」この2つの要素があれば、なんとなくそう思ってしまいます。

 そしてこの味、見た目の色合いこそ全然違うのですが、まさに柏餅。柏餅に近い味なのです。  そんなかからん団子。団子を包むサルトリイバラというユリ科の葉を、鹿児島南部の方言で「かからん」と呼ぶため、かからん団子というそうです。これはトゲのあるサルトリイバラの茎が「かからん=さわれない」という意味に由来するんだとか。

柏餅の仲間?

 改めて調べてみると、子供たちが山へ葉を取りに行き、親が家庭で作るお菓子だそう。屋久島、種子島では、端午の節句に食べて「(病気に)かからん」と縁起を担ぐならわしがあると分かりました。  見た目の色こそ全然違いますが、「団子を葉で包む」、「端午の節句に食べる」、「何より味が近い」ことから、どうやら柏餅と同じルーツだと思われます。

 と言うのも、柏餅に使用する柏の木は東日本に多い植物。西日本では柏の葉を使っていないことも多いというのです。では何の葉を使っているかというと・・・、かからん。そう、サルトリイバラの葉だというのです。それでも関西出身の筆者の記憶では、団子は白く、中に餡が詰まっており、それが柏餅だと聞いて育ってきました。 つまり、東日本で親しまれている柏餅が、西日本からはサルトリイバラの葉に変わり、屋久島、種子島ではよもぎ入りの団子を挟むようになり、「かからん団子」という名に変わり・・・。ひも解くと、その土地ごとの親しまれ方があるようです。

かからん団子の作り方

あくまで作り方の一例です。砂糖の分量は人ぞれぞれ好みがあるので、ご自身の許す範囲で増減してみてください。準備するもの (4~5人前)よもぎ

手順

1.重曹をひとつまみ入れた鍋でよもぎを茹で、水で冷やして絞る。
2.よもぎをみじん切りにし、もち米粉、塩、砂糖、黒糖を合わせてよくこねる。
  (こねにくいときは水少々を足す)
3.丸めた団子をかからんの葉で挟み、蒸し器で15~20分蒸して完成。

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