エヴァの原点は、ウルトラマンと巨神兵

Rinoue125R

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美術館が税金でマンガみたいな絵(ロイ・リキテンスタインの代表作『ヘア・リボンの少女』)を買うのはけしからん!(*1)とか、いくら来場者数が減ったからって、ジブリアニメとタイアップした企画展で集客するのはアコギじゃね?!とか、いろいろ話題を振りまいてきた東京都現代美術館(MOT)。

この夏の企画展は、

館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技

日テレ・氏家齊一郎会長が館長に就任して以来のジブリ企画もついに10回目。継続は力なりで、最近では批判の声を聞くことも減ってきた。そんな区切りの10回目に打ち上げられる花火にふさわしい顔ぶれが並ぶ展覧会になりそうだ。

「エヴァンゲリオン」シリーズなど数々の作品を産み出してきた監督・庵野秀明の原点は、幼少期から愛してきた「特撮」だったという。

円谷英二が始めた日本の特撮は、精巧なミニチュアで作られた町や山や海を舞台に、怪獣やヒーローやスーパーマシンたちが活躍する「実写」によるものだった。

しかしデジタル技術の発展と共に特撮は消滅の危機に瀕している。特撮の語り部であり、二度と取り返すことのできない文化財でもあるミニチュアなどは、破棄され、あるいは散逸しつつある。

この展覧会のコンセプトは、特撮のこうした状況を何とかしたいと考えてきた庵野秀明が「館長」となって「博物館」を立ち上げるというもの。数々の映画・TVで活躍したミニチュアやデザイン画などさまざまな資料約500点を展示し、作り手たちの技と魂を伝え、日本が世界に誇る映像の「粋」、特撮の魅力に迫る。(イタリック部分は、主催者による展覧会紹介を要約)

必見なのは、CGを使わない実写短編映画の制作・上映。タイトルは、

『巨神兵東京に現わる』

アニメファンならずとも、庵野ファンならずとも、現代アートファンならずとも、必見の展覧会になりそう。もしかしたら、“アートってなに?”って疑問の答が見つかるかも。(*2)

館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技会期:2012年7月10日(火)~10月8日(月・祝)

住所:〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1電話:03-5777-8600(ハローダイヤル)

※会場アクセス、会期中の閉館日等は東京都現代美術館ホームページでご確認を

 東京都現代美術館ホームページ
www.mot-art-museum.jp  
 展覧会公式ホームページ
www.ntv.co.jp  

(*1)世界的に見て先進国発の現代アートが低迷気味の中、マンガやアニメこそ次の時代のアートになるという指摘は、1990年代から海外の美術関係者を中心に指摘されてきた。国内でも滋賀県立技術館などで、マンガをアートとして取り上げる“前衛的”な展覧会は1990年代半ばには開催されていた。そんな時代の変わり目に起きた、都議会のマンガアート批判。マンガはアートだという評価と、マンガみたいな絵を買ってケシカランという意見のコントラストが興味深かい事件だった。間違いなく将来の美術史に記載されることになる出来事だ。

(*2)「巨神兵カプセルフィギュア付チケット」が限定3,000セットで発売中だとか。フィギュアは『巨神兵東京に現わる』1シーンをかたどった海洋堂によるもの。会場のショップでも手に入らないレアものというところが、そそられる。そのほか「三鷹の森ジブリ美術館セット券」「音声ガイド付チケット」も発売中だという。いろんなアートを見つけてほしい。

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