前回の旅行レポート
ベトナムの古都・フエに到着すると、観光客に最も人気がある阮王朝の王宮を訪れる。
ティエンムー寺
阮朝王宮を見学した後、新市街に戻って自転車をレンタルすると王宮の西、4kmほどの所にあるティエンムー寺へと向かった。お寺は王宮とともに世界遺産を構成する遺跡のひとつで、一番の見所は高さが21mもある七層八角形の塔である。
ちなみにツアーではない個人旅行者にとって、レンタルサイクルは時間短縮や疲労軽減(※坂が少なければ)につながり、ぜひ活用したい移動手段。
けれどもその際に気になるのが交通事情。ベトナムの道路状況は日本人の感覚からすると、一見無秩序で危険なようにも見える。いくら自転車とはいえ、車やバイクなどと一緒になって走ることに不安を感じ、レンタルを迷うかもしれない。
その際に借りるかどうかの判断基準のひとつとして、道路を横断する際、走っているバイクの隙間のタイミングを見計らって歩いて渡ることに怖さを感じるか否かがあると思う。スムーズに横断することができるならば、それはきっと交通のリズムをつかんでいるからであって、自転車に乗ってもそれほど危険を感じることは恐らく少ないかと思う。
ティエンムー寺にはチャンティエン橋の新市街側から20~30分ほどで到着した。
入口付近に7層の塔がそびえ立っている。塔を先に進むと本堂があり、裏のスペースにはいくつもの盆栽が置かれていた。
なかにはガジュマロといった日本では見ることができないような盆栽もあり、ついついひとつひとつ見て周る。
30分ほど境内を見てお寺の入口に戻ると、太陽がかなり傾いていた。少し雲があったものの、古都をゆったりと流れる夕暮れ時の川には風情があった。王宮などを見た後、一日の最後にティエンムー寺を訪れるといいかもしれない。
ティエンムー寺
カイディン帝廟
王宮観光の翌日、フエの郊外にある歴代皇帝の廟を見て周ることにした。
最初に訪れたのはカイディン帝廟。カイディン帝は阮王朝末期の12代皇帝で、廟は亡くなってから6年後の1931年に完成している。他の帝廟が中国風の造りに対して、フランスを訪れたこともあるカイディン帝の廟はきらびやかな西洋風の造りとなっており、他とは大きく異なっている。
カイディン帝廟は山の斜面に作られている。敷地内は5段になっていて入口から階段を上って行く。
2段目には皇帝の偉業を称えた石堂があり、その両脇にはそれぞれ1本ずつ塔が建てられている。
カイディン帝は5段目、敷地の一番奥に建てられた建物で眠っている。内部は他の建築物とは異なり、装飾がとてもきらびやかで目を奪われる。
実は阮王朝の歴代皇帝のうち、埋葬場所が確認されているのはカイディン帝のみで、他の皇帝についてはどこに埋葬されているかが不明とのことである。
カイディン帝廟
ミンマン帝廟
カイディン帝廟の後はミンマン帝の廟へ。ミンマン帝は阮朝2代目の皇帝で、在位は1820~41年。王朝最盛期の皇帝だっただけに皇帝廟の規模は広大である。カイディン帝とは対照的に中国風の落ち着いた造りになっている。
ミンマン帝廟の入口。木立の中の道を歩いて行くと見えてくる。
入口から池を眺めながら1、2分歩くと最初の建物がある。中にはミンマン帝の功績を称えた石碑が立っている。
1つ目の建物の先には道が続いており、顕徳門が見える。門をくぐると皇帝と皇后の位牌がおさめられている崇恩殿がある。
崇恩殿の先には池があり、3本の橋が架かっている。渡るとそこには明楼と呼ばれる建物があり、中には皇帝の魂が戻ってきた際に休むという寝台が置かれている。
明楼の先には池に架かる1本の橋があり、橋を渡った先に古墳のような丘がある。ここにミンマン帝が埋葬されているという説があるものの、定かではないという。
一番奥に位置する丘にたどり着いた後、同じ道を引き返して戻る。
帰りは途中途中で休みながら歩いた。ミンマン帝廟は庭園のような雰囲気が漂っており、のんびりと休憩することができる。
ミンマン帝廟
トゥドゥック帝廟
最後にトゥドゥック帝廟を訪れる。トゥドゥック帝は阮朝4代目の皇帝で、在位は1848~83年。元は別荘だったものを造り変えたこともあり、風光明媚な廟である。
入口を入ると大きな池が配置されている。池には橋が架けられていて、渡った場所には釣殿がある。池にせり出すように作られた建物になんとも言えない風情を感じる。
池の西側には皇帝を祀った寺がある。このお寺、元は皇帝が長期滞在する際に使用した宮殿であったという。
トゥドゥック帝廟
トゥドゥック帝廟を見た後、新市街に戻る。そして、その日のうちにベトナム最大の鍾乳洞と言われるフォンニャ洞窟の近くにある村へバスで移動した。
<【ベトナム旅行レポート】地下に広がる別世界、フォンニャケバン国立公園 ~Vol.8~ に続く>
Text & Photo:sKenji
最終更新: