昨日11月9日から11月15日までの期間で「秋の全国火災予防運動」が始まりました。全国火災予防運動は年2回、春と秋に行われ、火災予防の普及を図ることにより、被害を小さくすることを目的としています。
秋から冬は空気が乾燥し、特に火災が発生しやすい季節です。「秋の全国火災予防運動」にあたり、前後編の2つに別けて火災の「予防」と「対処」について、調べたいと思います。
火災の出火原因
消防庁によると、昨年の出火件数は48,095件あり、亡くなった方が1,625人もいるそうです。これは約11分に1件の割合で出火していることになります。
気になる出火原因の第1位は意外?にも「放火」だそうです。昨年1年間で放火による出火が5,093件あり、出火原因の10.6%を占めています。第2位以降は「タバコ(9.3%)」、「たき火(7.8%)」、「コンロ(7.7%)」と続いています。「放火の疑い」も7.7%あり、約5件に1件は「放火」及び「放火の疑い」ということになります。
出火原因別の予防法
次に出火原因の第1~4位について、予防方法などを調べてみました。
第1位:放火
まず、出火原因第1位の放火。他人が放つ火は防ぎようがないだろうと思いつつ調べてみると、どうやら放火されやすい家があるそうです。長野県の「北アルプス広域消防本部」のWEBサイトによると、次のような住宅が狙われやすいそうです。
■戸建住宅はここが危ない!
・夜間でも洗濯物を屋外に出している。
・家の周囲にダンボールや雑誌束など燃えやすいものを置いてある。
・夜間は門灯や玄関灯を消していて周囲が暗い。
・塀や垣根で死角になる部分が多い。
・新聞紙や郵便物が玄関ポストなどにたまっている。
・自動車やバイクなどのカバーに難燃性のものを使用していない。
・物置や車庫の施錠がされていない。
■戸建住宅の危険ポイントに加え・・・共同住宅はここが危ない!
・空き部屋が適切に管理されていない。
・ごみ集積場に指定日前からゴミが置かれている。
・郵便受けに新聞などがたまっている。
・階段や廊下など誰でも入れる場所にダンボールや雑誌束などが置かれている。
消防庁のWEBサイトに「放火に対する危険度の評価シート」があるので、一度確認されてみるのもいいかと思います。
第2位:たばこ
次に第2位のたばこ。たばこが元になって発生する火災の特徴として、「無炎燃焼」と呼ばれるものがあるそうです。無炎燃焼とは、線香のように炎を出さずに燃える燃焼のことです。始めは炎がないものの、数十分から数時間後に発火して火災を引き起こすことがあるそうです。
たばこによる出火の予防として、
・たばこの投げ捨ては絶対にしない。
・たばこの灰皿はいつもきれいにしておく。
・火のついたままのたばこを放置しない。
・寝たばこは絶対にしない。
・灰皿にはいつも水を入れておく。
・灰皿は置く場所を決めておき、その場所で吸う。
などがあります。横浜市消防局のWEBサイトによると、たばこによる火災の着火物の第1位は「ふとん・座ぶとん・寝具類」で全体の約20%だそうです。お酒を飲み、酔った状態で寝たばこをするケースが特に危険と言われています。寝たばこを絶対にしないようにすると同時に、万が一に備えて、酔って寝たばこをする恐れがある方は防炎製品の寝具を使用するのもいいかもしれません。
たばこによる火災の着火物の第2位は「ごみ類(12%)」です。消えたと思ってたばこをごみ箱などに捨てた後に出火するそうです。着火物の第3位以降は下記のリンクで確認することができます。
第3位:たき火
たき火による火災発生原因として、「たき火の延焼拡大」、「火の粉の飛び火」、「火元の消し残し」などがあるそうです。特に秋から冬は空気が乾燥し、強い風の吹く日も増えるので、火災が発生しやすくなります。
以前私が住んでいた近所で実際にあった話ですが、夏に伸びた雑草を刈って燃やしている際に、風にあおられて火が燃え広がり、消防車が出動する騒ぎが2、3度ありました。
たき火をする際は、乾燥している時や風が強い日を避け、まわりに燃えやすいものがない場所で、水をいれたバケツや消火器などを用意することが推奨されています。
また、火種は考えている以上に残っている場合が多いので、離れる際は水をしっかりかけて完全に消す必要があります。特にバーベキューなどで使う炭火は要注意で、水を少しかけたくらいでは火種が残っている場合があります。
ちなみに火災と誤解されそうなたき火をする場合、市町村によっては届出が必要なケースもあるようです。
第4位:コンロ
コンロによる出火は、天ぷら油の過熱によるものが多いそうです。しかし、平成20年以降に販売されたガスコンロには、調理油過熱防止装置や立ち消え安全装置、消し忘れ消化機能などの搭載が義務付けられており、出火が減っているそうです。古いガスコンロを使っている方は、この機会に新しいものに変えて安全を買うのもいいかもしれません。
ちなみにIHクッキングヒーターは炎がでないので安全と思われがちですが、必ずしもそうとは言えず火災事故が発生しています。
コンロによる出火の予防は、ガスコンロ、IHクッキングヒーターともに安全装置を活用しつつ、調理中は現場から離れないことが大切なようです。
火災対策について
火災に対する備えとして、
・防炎製品を使用する。
・消火器等を設置する。
・火災報知器を設置する。
などがあげられます。
一般家庭で使われる主な防炎製品は、カーテン、絨毯、寝具、パジャマなどがあります。防炎製品ではないものの、埃防止シャッターや絶縁キャップが付いたコンセントのタップなど、火災を予防する製品を積極的に使用するのもいいかもしれません。
消火器は映画館、地下街、重要文化財などでは設置が義務付けられているものの、一般の住宅においては設置義務がないそうです。けれども、効果的に素早く火を消すことができるのに加え、水での消化ができないケースもあるので、一般の家庭にも消火器の設置が推奨されています。
ちなみに延べ面積150平方メートルの集合住宅については、消火器の設置が義務付けられているので、アパートなどにお住まいの方は設置場所を一度確認されておくといいかと思います。
なお、古い消火器については破裂する恐れなどの危険性があるので、使用期限が過ぎた物については廃棄処分する必要があります。廃棄方法がわからない場合は、居住している自治体や消防署などへ問い合わせれば教えてもらえます。
火災報知機については、平成18年6月より設置が義務付けられています。既に建てられている住宅においても、自治体によって順次義務付けられており、現在では多くの家庭に設置されていると思います。
<「秋の全国火災予防運動が始まりました! ~後編・対処について~」 へ
続く>
参考WEBサイト
Text:sKenji
最終更新: