秘境駅へ行こう!
●僕は「秘境駅へ行こう!」というサイトを見ていました。
■そもそも【秘境駅】とは
秘境駅(ひきょうえき)とは山奥や原野など、人里から離れた箇所に所在する鉄道駅を指した日本の鉄道ファンによる呼称である。
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【 ボク 】近所に友達がいない静岡県在住の26歳。何かを求めて出かけようとするが、お金もあまりない。
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----------------------------------------------------------------------------------------■登場人物
【iphone5】ボクの数少ない友達。2013年1月に購入。au。
休日を持て余す寂しい独男だって癒すことができる。
そう、iPhoneならね。
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●この「秘境駅へ行こう!」では、全国の秘境駅ランキングが見ごたえあるのですが、なんと2位にランクインしていたのが、「静岡県・小和田駅(こわだえき)」。僕も静岡県在住なだけに、思わず目を引きました。
●家にいてもやることがないので、出かけることにした。
目指すは小和田駅!早速予定を立てる
小和田駅・JR/飯田線
■なんとギリギリ静岡県内らしい。(静岡、愛知、長野の県境付近) ■ちなみにボクの自宅は三島市(沼津市の右となり)
●小和田駅は静岡県、愛知県、長野県の3県の県境付近にあるらしく、一応、静岡県といった程度。静岡県東部の三島から訪れるにも、一度豊橋(愛知)まで行き、そこから飯田線に乗り換える必要があるらしいのです。
これは、けっこう面倒だ。
乗る電車は、「始発であり、終電」
●目的地は小和田駅。しかし「秘境駅へ行こう!」によれば、小和田駅を含む【飯田線は、秘境駅の宝庫】だとか。小和田駅より先にも、上位にランクインしている秘境駅がいくつかありました。
そこで、大まかに予定を立てみることに。
【よくわかる行動予定】
07時33分 三島
↓
静岡
↓
浜松
↓
10時42分 豊橋
↓
小和田(秘境駅ランキング2位)
↓
中井侍(秘境駅ランキング25位)
↓
為栗 (秘境駅ランキング26位)
↓
田本 (秘境駅ランキング4位)
↓
金野 (秘境駅ランキング12位)
↓
千代 (秘境駅ランキング42位)
↓
17時30分 岡谷
↓
19時10分 甲府
↓
22時39分 富士
↓
23時07分 三島
●なんとこれ、始発であり、終電!
飯田線の一部は列車の本数が極端に少ないみたいで、しかも「10時42分豊橋駅発」の電車は、そのまま7時間近くも乗り続けることになるそうです。
7時間ですよ。時給750円のバイトなら5,000円以上稼いでしまいます。
そんなんだから、もし仮に電車を1本でも乗り間違えると、予定がすべてダメになってしまいます。
数えてみたところ、通過駅数は……188。
「勝手にやってろ」ってカンジですね。
友達なら、付き合いきれないだろうなぁ。と思います。
駆け込み乗車はおやめください
●ということで、三島駅を出発し、豊橋駅へ到着。
この時点ですでに3時間もかかっているが、特にドラマもなかったので割愛。
豊橋駅はそこそこ大きな駅で、ここから飯田線に乗り換えることができるようです。
乗車時間は約7時間。
6つの秘境駅を一気に通ってくれます。
●朝寝坊した僕はろくに朝食もとらず豊橋まで来たので、まずは食事を買うことに。乗車時間は7時間もあるので、豊橋駅で食べ物を買っておかないと、最悪、電車内で死ぬかもしれません。
(3分経過)
「間もなく2番線から列車が発車します」
プルルルルルルルルルルルルルルルr
(ガッ……)
(…………)
(…………)
●年甲斐も無く、鮮やかにズッ転んでしまいました……。ひざは擦りむけ、サンダルの鼻緒はブチッと切れています。もっと言えば、普段は安物を着まわす僕なのに、この時に限ってどちらもちょっと高価なヤツです。
しかし、派手に転ぶのがこんなにも恥ずかしいことだったとは。
電車は何とか待ってくれたのですが……。
さぁ、秘境駅をめぐろう!(仮)
●先ほどの時刻表でおさらいすると、最初の秘境駅である小和田駅に着くのはおよそ3時間後!
序盤から車窓からの景色は綺麗なのですが、さすがに3時間も見てられません。
ということで、現代人っぽくスマホを使いながら過ごします。
やはり、この世は情報社会ですからね。
空いた時間はスマホを活用して、ニュースを拾います。
●そうこうしている間に眠くなり、僕はうたた寝をしてしまいました。
(数時間後)
すっかり眠ってしまい、目が覚めるといきなり「次は小和田駅」のアナウンス!
なんだかんだ2時間近く寝てしまいました。
むしろ、小和田駅直前でよく起きたものです。
●慌ててiphone5を構えます。
●なんて、くだらないやりとりをしつつ、カメラを起動。
小和田駅(こわだえき)(秘境駅ランキング2位)
●さて、改めて確認すると、
小和田駅は秘境駅ランキング全国2位。静岡県、愛知県、長野県の県境に位置する駅で、調べた限り、レトロな駅舎と駅名標がめちゃくちゃ味わい深くて印象的でした。周囲は山に囲まれ、その木々の向こうには天竜川が見えます。
●そう、電車が停車するや否や、カメラを構えたのですが、駅舎や線路の様子、天竜川など、撮る要素が色々と多すぎました!
しかもドアは押ボタン式。電車の停車時間もせいぜい数十秒です。
いくら秘境駅めぐりと言えど、電車は動きっぱなしなのです。悠長に途中下車して写真を撮っている暇はありません。こんな当たり前のことを、僕はここで初めて気づいたのでした……。
そうして撮った写真がこちら。
●車内を見わたしてみると、おそらく僕の何十倍もディープな鉄道マニアな方々がたくさんいるものの、誰ひとり慌てて写真を撮るまねはしていません。
時刻表の冊子を持ち、動きやすいジャージ、一眼レフを首からかけ、どっしり座っています。
一方僕は、相棒はiphone5のみ。鼻緒の切れたサンダルに、両ひざが破れたカジュアルな(?)パンツ。
この状況で、駅の写真を必死に撮るのは根本的に間違っていたのかも知れません。
「秘境駅へ行こう!」の管理人・牛山さんは、わざわざ訪れたこの駅で野宿したそうです。有名なサイトとなると、ここまで突き抜けているんですね。にわかな気分で訪れた僕は甘ちゃんでした。じぇじぇ……
中井侍駅(なかいさむらいえき)(秘境駅ランキング25位)
●秘境駅めぐりは続きます。
中井侍駅
小和田駅の隣。ここからしばらくは秘境駅ゾーン。
為栗駅(してぐりえき)(秘境駅ランキング26位)
為栗駅
一発では読めないだろう「してぐりえき」。天竜川沿いをさらに北上します。
田本駅(秘境駅ランキング4位)
田本駅
秘境駅ランキングは堂々4位の田本駅。誰が使うんだろう?と思ってしまう秘境駅です。
金野駅(きんのえき)(秘境駅ランキング12位)、千代駅(ちよえき)(秘境駅ランキング42位)は、写真がうまく撮れなかったので割愛します。ぜひ「秘境駅へ行こう!」を見てください。
秘境駅めぐりのハードルは想像以上に高かった
●うーん。正直写真が微妙すぎます。
秘境駅感がまるで伝わりませんね。
しかし、ゆっくり写真を撮ろうと途中下車でもしてしまえば、次にやってくる電車は数時間後。そうなると色々大変です。車内からパシャパシャ撮るほかないのです。
ただ、駅の写真こそ微妙でしたが、車窓からの景色はなかなかのもの。飯田線、けっこうオススメです。
長野県へ突入!飯田線はまだまだ続く
●電車は長野県飯田市に突入。
秘境駅区間を終えたものの、まだまだ良い景色です。
活気に満ちた景色ではないのですが、どこか古びた味わい深い景色がたまりません。……かと思えば、高原のような景色のなか、新築のカラフルな住宅もちらほら見えます。
便利の良い土地では無いかも知れません。けれどそのぶん、建ち並ぶ民家は広々と大きく、綺麗なのです。将来は、都会よりもこういった場所でのんびり暮らしたいですね。
●時刻は15時30分ごろ。
この電車に乗り、実に5時間が経過しようとしていました。
●さすが長野県。
土地柄でしょうか。雲が低く、目の前にぶわーっと掛かっています。
●たまにリンゴ農園も見かけました。
●それを眺める旅行夫婦。
●急な土砂降りもなんだか絵になります。
●人けのない、緑に囲まれた小さな駅。
そこで彼女?を見送る若い男性。
なんだか良い感じでした。
飯田線終了~!
●17時30分。
乗車時間7時間に及ぶ飯田線が終了!
岡谷駅(長野県)で乗り換えですが、ここで次の電車が20分待ち!ようやく外の空気が吸えます。
●と、その時
●長旅のバッテリー消費には注意しましょう。
岡谷駅
ここで飯田線から中央本線へ乗り換え。
ラストスパート!
●17時50分。次の電車が到着しました!ながらくJR東海でしたが、ここから甲府駅まではJR東日本になるそうです。
さて、このあたりから乗客が増え始めました。日は沈み、景色も見えません。iphone5は使えないし、乗客が多いので立つハメに。
目の前でカップルが過剰にいちゃついています。
●工藤静香と石橋貴明のCDのジャケットくらいの顔の距離感で会話していました。
うら……けしからんですね。
一方僕は、動き出した電車に揺られてよろめいた重量級のオバちゃんに足を踏まれました。
世の中不公平です。
●20時。山梨県・甲府駅。
本日4県目です。
ここで身延線(みのぶせん)に乗り換え、富士駅へ。身延線も2時間30分くらい乗車しましたが、何とも思わなくなりました。ずっと本を読んでいたと思います。
甲府駅
中央本線から身延線へ乗り換え、富士駅を目指します。ここまで長旅だと2時間30分すら短く思えます……。
●そして富士駅で東海道線に乗り換え、30分。
23時15分ごろ、三島駅到着です。
一日中電車に乗りっぱなし。
当初の目的は秘境駅めぐりでしたが、それが遠い昔に思えました。
あまり何もしていないものの、振り返れば盛りだくさんの旅。
大きな疲労感と、中途半端な写真、それにひざの痛々しい傷だけが残りました。
それでもまぁ、なんだかんだで悪くなかったような気がします。
ただ、日帰りでは二度とやりません。
完
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