町に残されたクルマを見ながら、
もしも、自分が運転している時にクルマが津波に巻き込まれたら…。
エンジン部分を下にして、車体後部が浮き上がったクルマの窓の向こうに、
押し寄せてくる2波、3波の巨大な水の壁が迫ってきたら…。
浮かんで流されていくクルマの前方に、大きな家が流れてきて、
ぶつかりそうになったとき、自分はどうするだろう…。
いよいよクルマが転倒して、割れた窓から濁流がなだれ込んで来たら。
もしもその時、クルマに大切な人を乗せていたら…。
津波の想像を振り払うことができなかった。
あれから2年4カ月ほどの時間が流れ、
富岡町に残されたクルマたちは、植物に埋もれそうになっている。
でも、
震災の記憶を埋没させてはならない。
●TEXT+PHOTO:井上良太(ライター)
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