ガレキと呼ばないで(クツ)

iRyota25

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長く警戒区域に指定され、自由な立ち入りが制限されてきた富岡町を歩くと、いろいろな場所でクツを見かけた。

震災と原発災害に見舞われるまで、誰かがきっと履いていたクツ。人が歩くためにつかってきた身近なアイテム。

被災地でクツを見かけるたびに持ち主のことが気にかかる。

津波にやられた家の片付けに入った時、片方だけ残ったクツを入れたのか。
植木鉢のようにも、ゴミ箱のようにも見える容器に、このクツを入れる時、その人はどんなことを思ったのだろうか。

ガレキの仮置き場にはゴミ袋に入れられたクツ。
駅前商店街の道端には、靴底だけがぽつんと。
線路そばの水たまりには、何かのスポーツ用らしきクツ。

どれのクツも、もはやクツとは呼ばない姿になってしまったものも、
持ち主がお出かけしたり、走ったり、スポーツしたりするときに履かれていたもの。

いわき市久之浜で見つけたサンダル。

ピコピコ。歩くたびにピコピコ。

音が聞こえてくる。姿が目に浮かぶ。
持ち主の無事を祈った。

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被災地に残された生活の遺物はガレキではありません。ましてゴミなんかではありません。

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●TEXT+PHOTO:井上良太(ライター)

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