何が飛び出すか分からない!西表島に生きるイカした奴ら【旅レポ】

tanoshimasan

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西表島と自転車
西表島と自転車

「西表島に住み込んで3か月ほど働いたことがある」

そんな話をすると、必ずと言って良いほど聞かれるのが「イリオモテヤマネコは見た?」という質問だ。運よく見ていれば良いのだけど、イリオモテヤマネコなんて、島民でも数年に1度見るか見ないかという存在。簡単に見られるものじゃない。けれど、よくこういった質問をされる以上、西表島=イリオモテヤマネコというイメージがあるのだろう。

しかし、僕が滞在した3か月の間に出会った西表島の生き物たちは、イリオモテヤマネコに負けず劣らずのイカした奴らだと、僕は思っている。今回はそんな奴らを紹介したい。

“髪の毛”をつまみ上げると・・・

これは僕が、宿の風呂掃除をしていた時の話だ。奴はイリオモテヤマネコ以上に身近な存在だと思うのだが、初めて対面した時、僕は驚きのあまり腰を抜かしてしまった。いや、驚きよりも恐怖が勝っていたのかも知れない。

働いていた宿はやたらと部屋の数が多く、少ない人手で効率的な作業が求められていた。もちろん、だからと言って手を抜くことなんて許されない。ただ、単純作業だったため、頭を使って考え込むようなことも少なく、黙々テキパキと仕事をしていれば良かった。排水溝に詰まったゴミを取り、シャンプーボトルの中身を確認し、泡が残らないようにしっかりと水で流す。最後はチェック項目に従って確認だ。

「バスマットよし。蛇口よし。掃除後の換気よし。ゴミ箱の取り換えよし」

―――おっと、小窓のサンに髪の毛が引っかかっていた。

僕はてっきり、髪の毛だと思い込んでいた。が、髪の毛だと思っていたそれをつまみ上げると、そこにはゴキで始まりブリで終わる4文字の虫が・・・!!都会で見るような、カサカサすばしっこいアレとは違う。ヤツはなんだか大ぶりなサイズで、ドタバタと走り回るのだ。洗面器で捕まえ、窓を開けて投げ捨てたが、その後もちらほらと見かけた。

液晶テレビを焦げ臭くした犯人とは!?

事故があったのは、5月にして暑かった夏日の昼。いつものように朝の掃除を済ませ、さてそろそろ昼食かという時、宿のスタッフの女の子の一人がその異変に気付いたのだ。

「“ガガガガガガガガガガガ”って音がする」

急にそんなことを言いだした彼女に合わせて耳を澄ませると、少し離れた宿の食堂の方で、確かに“ガガガガガガガガガガガ”と音がする。まるで工事現場のような、連続した打撃音。僕らは慌てて食堂の方へ向かった。

案の定、食堂は打撃音がさらにうるさく響いていた。食堂には、そんなうるさい音を出しそうなものは無いのだが、音の方向には大型の液晶テレビが置いてある。納得しにくいけれど、どう考えても音の元はこのテレビ。それに何だか焦げ臭いニオイまで漂ってきたのだ。

恐る恐るテレビに近づき、思わぬ形で“犯人”が“救出”されたのは、それから20分後のことだった。アクシデントの原因を探ろうとテレビを傾けた時、テレビのどこからか、焼け焦げたヤモリがポトッと落ちたのだ。

この事故により、ヤモリとテレビが亡くなった。食事中にテレビが見られないということで、宿泊客30数人に影響が出てしまった。なお、原因は今もよくわかっていない。

「必ず20時にやってくる」恐ろしい大群

梅雨の時期、蒸し暑い日の夜は要注意だ!

梅雨の時期、蒸し暑い日の夜は要注意だ!

彼らと初対面だった時は、何が何だか分からなかった。その日は、梅雨の気配を感じる5月下旬の蒸し暑い日。一日の宿の仕事がひと段落し、食堂でお客さんとともに“ゆんたく”をしていた時のことだ。

19時45分。宿のオーナーである奥さんが急に叫びながら、食堂にやってきたのだ。

「今すぐ電気消して!!!!!窓しめて!!!!!」

普段ここまで大声を出さない奥さんだけに、これはちょっとタダゴトではない。訳も分からず、僕らは慌てて電気を消し、窓を閉めたのだ。・・・けれど、ちょっと遅かった。

頭上には無数の羽アリが飛び交っていたのだ。10匹や100匹の世界ではない。もっともっと、おびただしい数。初めての経験に僕はただただ戸惑うばかり。奥さんが暗がりの中で殺虫灯を点けると、あっという間にバチバチバチと音が鳴り始めた。

「この羽アリは、いわゆるシロアリの仲間らしい。沖縄以南で生息しているそうだが、西表島を含む八重山諸島ともなると、爆発的な数で発生するそうだ。西表島では、梅雨時の蒸し暑い日、時刻は必ず20時過ぎ、羽アリは光を求めて飛んでくる」

暗闇の中で、常連客のおじさんから、そんな話を聞いた。羽がもろく体力も無い羽アリは、翌朝になると羽が千切れ、その大半が死んでいた。僕らスタッフは、早起きしてそれを片付ける。家を崩す害虫としても恐れられている羽アリなのに、こうやって見ればなんともあっけない。それでも、西表島が蒸し暑かった日、彼らはかならず大挙してやってきたのだ。

何よりも不思議だったのは、彼らは必ずと言っていいほど、時間厳守でやってきたことである。

何が飛び出す!?西表島はまるでびっくり箱!!

他にも思い出せばキリがない。

電気を消した寝室に飛び込んできて「壁にぶつかる、飛ぶ、壁にぶつかる」を繰り返したカナブン。トイレ掃除用のブラシの柄に、脱皮した皮を脱ぎ捨てていったハブ。車道の上にセマルハコガメという陸ガメが行列を作ったせいで、車が渋滞したこともあった。宿で貸し出している自転車のかごの中にサソリがいたなんてことも・・・。

わずか3か月の日々でもこれだけのことがあったのだ。都会育ちの軟弱な僕にとってはオドロキの毎日。自分で言うのもナンだが、随分とたくましくなったのではないだろうか。

それに悪いことばかりでもない。夜に見かけるホタルはめちゃくちゃ綺麗だったし、ヤモリだってじっと見ていると「キュキュ」と鳴いたりしてなんだか可愛い。段々と愛着も湧いてくる。

イリオモテヤマネコは見られなかったが、ここはイリオモテヤマネコだけの島じゃない。西表島で生きるイカした奴らは他にもいっぱいいるのだ。

こんな看板も
こんな看板も

西表島

本州よりも台湾の方が近い南国!

まだまだ「島記事」あります。

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