根絶は世界初
沖縄・久米島からこんなニュースが入りました。
農林水産省那覇植物防疫事務所(田中健治所長)は22日、紅イモなどに寄生する移動規制害虫「アリモドキゾウムシ」の久米島での根絶を宣言した。繁殖能力のない不妊虫を放つなど、18年かけて根絶に取り組んだ。県と国の駆除確認調査で15カ月以上、発生が確認できなかったとして、同日付の植物検疫法の施行規則改正で、久米島をアリモドキゾウムシの発生地域から除外した。県病害虫防除技術センターによると、同害虫の根絶は世界初。
久米島において、病害虫であり、指定外来種の「アリモドキゾウムシ」を根絶したというニュースです。引用にもあるように根絶は世界初とのこと。一見、さらっとした報道になっていますが、これは島々にとってとても大きなニュースなのです!
経済的ダメージの大きいアリモドキゾウムシの食害
南の島々を結ぶフェリー乗り場等では、「植物の持ち出しを禁止する趣旨のポスター」をよく見かけます。
南の島々の船ではほぼ必ず見かけるので、何事かと思ってしまいますが、見ての通り、「島外へ出る際、持ち出してはいけない植物があるので注意してください!」という旨のものです。
どういうことかと言いますと、トカラ列島、奄美群島から沖縄県の島々、それと小笠原諸島において、アリモドキゾウムシという病害虫が生息しています。
このアリモドキゾウムシの餌となるのが、さつまいも類のほか空芯菜などの生茎葉。これらの食物がアリモドキゾウムシに食われると、食用にも加工用にも使えないばかりか、家畜の飼料にも使えなくなるのです。
南の島々においては、しばしばこれらの食害に悩まされており、特にさつまいもやかんきつ類など、島の特産品までやられてしまうこともありました。あまり大きな話題になることはありませんが、経済的な損失はかなりのものだと言われています。
したがって、これら野菜類を島外に持ちだしてしまうと、アリモドキゾウムシによる被害が全国中に拡大する恐れがありました。なので、「知らずに持ち出してしまった」は通用しないのです。「3年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられる」という、厳しめの法律も敷かれています。
そうしたこともあり、南の島々ではこれ以上、アリモドキゾウムシの被害が蔓延することなく、それぞれの島内での根絶を目指していました。その結果「まず久米島が根絶を達成したと」いうのが今回のニュースだったのです。
ただし、南の島々にはこの他にもたくさんの病害虫(外来種)問題があります。誤って持ち出せば一瞬のうちに広がってしまうと言われていますが、今回の久米島において、根絶には18年かかったと報じられています。大変な労力と時間が掛かってしまったのは言うまでもありません。
一方でこんなニュースも
一方でこんなニュースもありました。
発見は19日、午後1時ごろ。宮古島市平良のひらりん公園内で同僚2人と昼食中だった男性会社員(19)が地面ではっていたハブを見つけた。男性は頭を足で押さえて素手で捕獲。空のペットボトルの中に入れて友人に手渡した後、友人が警察に引き渡したという。
鹿児島、沖縄などの島々と言えば、ハブが生息するイメージがありますが、厳密には生息する島、生息しない島があり、はっきり区分されていました。
宮古島と言えば、「ハブは生息しない」と考えられていましたが、今回ハブが見つかったようです。
元県公害衛生研究所長でハブに詳しい吉田朝啓さん(81)は、サキシマハブが宮古島で見つかったことについて「もともと生息していたとは考えられない。農産物や建築資材に紛れたり、ペットやハブ酒の材料として持ち込まれたりしたのではないか」と推測する。
とあるように、こういう生き物がどこから島に入りこんでくるかはわかりません。デリケートな問題だけに、注意したいところですね。
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