牛鬼伝説とオリーブ栽培
岡山県瀬戸内市の南東部、瀬戸内海に面した町、牛窓町。海岸沿いにかけて民宿やペンションが立ち並ぶ風景、肌を撫でる潮風や立ち並ぶオリーブの木々が印象的で、「日本のエーゲ海」とも評される美しさを誇ります。 町内最大にして唯一集落を成す前島、古墳や貝塚が発見されている黄島、黒島、無人島の青島など、大小さまざまな島を含む牛窓町。町名の由来や島々の成り立ちを語るに欠かせないのが牛鬼伝説です。牛鬼とは、頭は牛、胴体は鬼(蜘蛛という説もある)の、人を襲う獰猛な妖怪。牛窓町では、「(三韓征伐を指揮したとされる)神功皇后が牛鬼に襲われた」という話があります。また、神功皇后が応戦した際、ちぎれて転がった妖怪の胴体が黄島、前島、青島、黒島だと言われています。最後に、皇后を助けに出た住吉明神が、牛鬼の角を掴んで投げ倒し、そこから「牛転(うしまろび)」と呼ばれるようになり、さらに訛って牛窓という地名になったそうです。
また、牛窓町は小豆島と共に二大オリーブ産地としても有名。1910年(明治43年)に小豆島で成功したオリーブ栽培は、第二次世界大戦中、実業家の服部和一郎によって、彼の地元である牛窓町に持ち込まれました。雨が少なく暖かい瀬戸内海性気候がオリーブの生育にちょうどよく、今では町の名産として産業を支えています。いつの間にか「日本のエーゲ海」や「地中海のような街並み」と言われるようになり、牛窓町の雰囲気もまた、オリーブ産業と共に育ったと言えるでしょう。 唯一の有人島である前島では、陽当たりのよさを活かして、キャベツ、かぼちゃ、スイカ、メロンなど、ふくよかな作物が多く作られています。また、サイクリング、キャンプ、海水浴のほか、釣りにシーカヤックにヨットセーリングなど遊び方もいろいろ。エーゲ海にたとえられる穏やかな景色や、その雰囲気を求めて、休日はよく賑わいます。
牛窓町の島々の見どころ
前島
【名 称】
前島 (まえじま)
【所在地】
岡山県瀬戸内市 (地図)
【面 積】
10.8㎢
【周 囲】2.40km
牛窓町内では唯一の集落を持つ島です。島は東西に広がり細長いひょうたんのような形をしていますが、人口は西側に集中しており、観光業、農業を中心に生活が営まれています。 島の高台からは牛窓の街並みや周辺の島々など、「エーゲ海」とたとえられる海の青の映えた景色が楽しめます。民宿やペンション、対岸にはリゾート施設もあるため、好みに応じた過ごし方ができるのも魅力。のんびり散策やサイクリングを楽しむのも良し、施設やビーチでたくましくキャンプをするのも良し、ヨットやシーカヤックで優雅に過ごすも良し・・・。
前島の見どころ
大阪城築城残石群、前島展望台
瀬戸内海の島々は、いくつかの島が採石場として大坂城の築城に役立てられました。ここ前島でもその跡があり、そこに展望台も建てられています。港から遊歩道を経て30分程度。見晴らしの良い日には小豆島の大観音までくっきり見えるかも・・・??
サンビーチまえしま
砂浜のキャンプ場。テントのレンタルも可能で気軽に泊まれます。炊事場、シャワー、トイレ完備。
前島海水キャンプ場
比較的集落から近く、駐車場、炊事場、シャワー、トイレ、電源も完備されたキャンプ場。しかし周辺には商店も自販機も無いので注意が必要です。
大クジラ供養塔
1884年(明治17年)6月牛窓沖に巨大なクジラが現れました。地元漁民が漁船十数隻で追いかけ、2日間にわたる格闘を繰り広げ、ついには仕留めました。その大きさは30mもあったと記録に残っています。当時はその話題が牛窓を中心に広がり、近隣から多くの人が押し寄せたと言います。この供養塔はその時のクジラの骨を葬ったものです。
黄島
【名 称】黄島
(きじま)
【所在地】岡山県瀬戸内市
(地図)
【面 積】0.41㎢
【周 囲】
4.5km
前島の南東に浮かぶのが黄島。約8000年前の貝塚が発見されています。普段は宗教団体神慈秀明会の施設や協会があり、関係者が暮らしているそうです。
黄島の見どころ
琵琶の首
古くから黄島の聖地として扱われてきた竪穴式古墳があります。
黒島
【名 称】黒島
(くろしま)
【所在地】岡山県瀬戸内市
(地図)
【面 積】0.10㎢
【周 囲】
21.6km
岡山県は瀬戸内海の島々のうち、六口島(倉敷市)、梶子島(笠岡市)、そしてこの黒島を「青少年の島」として整備しています。不便な島々での生活を通じて自然体験に親しむ目的で作られ、黒島は最大利用人員100名。潮干狩りや海水浴、キャンプが楽しめます。
黒島も近隣の島々と同様、古墳や土器が発見されており、古くからの生活の痕跡が垣間見えます。 牛窓港から10分と近く、緑に覆われた穏やかな島です。
黒島の見どころ
黒島古墳(前方後円墳)
5世紀後半ごろに造られたと言われる古墳。対岸にある4つ古墳と黒島で、町内には合計5つの古墳があります。
岡山県青少年の島キャンプ場
岡山県が整備した青少年向けのキャンプ場。青少年の参加が無ければ原則利用不可という決まりがあります。(9歳~30歳まで)しかし、備品はある程度揃っており、利用料も無料。「日本のエーゲ海」をまた違う角度から楽しめます。
(公式HP)
青島
【名 称】青島
(あおしま)
【所在地】岡山県瀬戸内市
(地図)
【面 積】0.12㎢
【周 囲】
12.0km
前島の東端より南へ数3km、笹の木が覆った無人島が青島です。かねてより弥生時代の土器などが発見されており、かつては人が住んでいた形跡がありますが、その後は長らく無人が続きました。近世に入って、人々は一度定住を試みたそうですが、水資源の確保が難しく、結局は失敗に終わっています。
その後1960年(昭和35年)、学校法人関西学院が買い取ったことで私有地化。現在では関西学院によって設備が整えられ、キャンプ場となりました。関西学院中学部および、啓明学院中学校(系列校)が毎年キャンプ活動を行っています。
牛窓町の情報あれこれ
遊 び
散策、海水浴、キャンプ、潮干狩り、釣り、シーカヤック、ヨットセーリング
食べる
牛窓産の魚介類(キス、牡蠣など)、キャベツ、カボチャ、スイカ、メロン
郷土料理
牛窓ミルクかき鍋、水夫のじゃぶじゃぶ、祭ずし
変わりモノ
―
お土産に
オリーブ加工品
マスコット
―
う た
青島の唄
島内のルール
売店・商店は前島にのみ存在し、それ以外の島々にはないので注意。
牛窓町の島々へのアクセス
船を利用する牛窓港~(20分)~前島牛窓町緑の村公社(運航時刻表、公式HP)
牛窓港へはJR邑久駅より【バス20分】、JR岡山駅より【バス70分】※ 他の島は定期航路なし。チャーター便が必要。
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