夏に友人数名と北海道の天売島を訪れることになった。その旅において、なんといってもひそか~に一番の期待を寄せていたのが、天売島の炭火海鮮「番屋」での食事である!
なんでも漁師を本業とするオーナーさん一家が獲ってきた海産物を、そのまま炭火であぶって食べるという、とにかく贅沢で豪快な店らしい。さすが漁師!期待が高まってくる。
漁師だけが出せる味がある!
その天売島の観光シーズンは4~9月の半年間。島内は飲食店の数自体が少なく、どの店も季節営業だ。だからこそ、そんな小さな出会いにテンションが上がってしまったのかも知れない。
ホームページに載っていたうたい文句は
「漁師だけが出せる 味がある!」
「海のものは 炭火で あぶって食せ!」
北の海と漁師船の画像が、力強さをさらに際立たせていた。
「雰囲気で既に食わせてくれるね。」
「海鳥の楽園」と呼ばれる天売島は、1周を2時間30分程度で歩くことができる小さな島。標高はそれほど高くないが、なだらかな坂が続くため、少し登るだけで見晴らしが抜群で、隣島の焼尻島やたくさんの海鳥を眺めることができる。港から徒歩3分の炭火海鮮「番屋」は、そんな絶好のロケーションにあった。
やはり店の外観は木造の番屋風。店内も少し変わっていて、一般的なレストランや食堂みたいなものではない。長テーブル、長椅子、足元は砂利と、キャンプをしているかのような雰囲気。長テーブル構造で、炭火で焼いてすぐ食べられるよう囲炉裏風に改造されていた。すべてオーナーの手づくりだという。
ほかにも例えば、「木の板に力強くメニューが書かれている」、「ビールケースを台にしてバケツが置かれてあり、その中には獲れて間もないのだろうホタテやウニがいっぱいいる」、「棚には有名人のサインがずらっと並んでいるが、色紙がずれないように貝を置いて支えている」・・・などなど。手作り感満載ながら、ひとつひとつにどこかこだわりを感じてしまうから素敵なのだ。
いやー、雰囲気で既に食わせてくれるじゃないの!
すっかり、食べる前から気に入ってしまった。
僕らはそれぞれ好きなものを頼んだ。中でも圧巻は海鮮定食。店員さんが、さっきのバケツの中に沈んでるウニやホタテをひょいひょいと取り出して並べた・・・だけ!
「そのまま、炭火で焼いてもらったら良いですよ」
と説明される。
「うにって焼いて食うのか。」
「これってそのままいけるん?」
「このホタテってまだ生きてる?」
あーだこーだ言いながらも、僕らは網の上に “海鮮” を並べていった。
うにを焼いて食べるのも珍しくない・・・?
「うわっ、ホタテ開いた!」
開いたホタテの下の部分が器となり、ホタテの汁がふつふつと煮えている。ウニも焼けた個所から穴が開き、香ばしい香りが漂いはじめた。
「やばい。これめっちゃやばい。」
「写真撮らな写真!」
高ぶるテンションが止まらない。口に入れるとじんわりと塩味が広がった。
「おいしい」という言葉以外が見当たらない。天売島万歳。
伺ったところによると、北海道でも、海鮮料理を炭火で焼いて食べる店はほとんど無いという。たしかに、ホタテもウニもオシャレな調理法はたくさんある。それでいて安い食べ物ではないのだから、色々な味付けで調理するのも楽しみかたのひとつだ。しかし、そこをシンプルに豪快に炭火焼!
「俺ァ細かいことはよくわからんけど、これだって間違いなくうめぇーんだ。」
誰が言った台詞でもないのだが、そんな漁師の声が聞こえてきそうな気がした。
炭火海鮮「番屋」
◆電話番号:01648-3-5714 ◆営業時間:要確認◆休み:不定休
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