大阪・危ない街で一夜を過ごす。(実録ドキュメント)

ockn1006

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  我々は安すぎる生鮮食品の原材料表示を確認しながら、買い物(きちんとメーカーがわかる商品)を済ませ、あいりん地区を練り歩いた。夜だったので、不気味に感じ、早歩きになる。界隈自体は25分程度で歩き終えた。無論・・・ではあるが、今回も外国人観光客はいなかった。

  (有名メーカーだがスーパーでは見かけない類のジュース、30円~)   (関西では超有名なスーパー玉出。この時勢だが節電という言葉は知らない。)

 

ドヤ街

 さて、ここまで紹介してくると、もはや不思議でもないのだが「一泊1000円~」といった類の看板が多数目につく。通称「ドヤ」と呼ばれる宿泊施設である。「ドヤ」とは宿の逆さ言葉で、日雇い労働者の簡易宿泊施設の意味合いが強い。つまり日銭を稼いだ労働者が寝泊まりすることに用いられる。中には「一泊500円~」なんていうのも見られる。一般的に、あいりん地区の「危ないと考えられている場所」に近づけば近づくほど安くなる傾向がある。値段にもよるが、一泊2000円ほどの高価なドヤになると、無線LANが利用できたりする。しかしどのドヤでも、電子レンジ、コイン洗濯機、冷蔵庫、空調といった設備は基本的に備わっているようだ。各ドヤの見た目の雰囲気で察するに、値段の差は衛生面の差が表れているようにも感じた。 我々は新今宮駅からごく近いドヤに宿泊した。一泊1500円と、ドヤにしてはやや高いか。部屋はせんべい布団一枚が敷けるスペースがあり、テレビも置いてあった。窓からはあいりん地区が一望でき、怒鳴り声をあげるおっちゃんや、足もとがおぼつかない人など、不法駐車、何かの取引と思われる様子など、さまざまな光景を見ることができる。部屋には落書きなどもあり、普通の宿泊施設と比べると決して綺麗ではないが、想像していたものよりははるかにマシだった。一方で建物の個性的な張り紙に驚く。「はだかやパンツ一枚でエレベーターに乗らないで下さい。」と、改めて張り紙にしなければならないのが、ここの土地柄を表している。ここではとても触れられない落書きも見られた。

 こうして様々なカルチャーショックを受けていた、その時・・・。外国人観光客だ!なぜわかるか。USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)の紙袋を持っているからだ。なるほど、世界的にも有名なUSJなら外国人観光客も多いわけだ。新今宮駅はUSJからも近く、「キタ」にも「ミナミ」にも簡単にいくことが出来る。非常に便利な立地である。・・・に、してもドヤに泊まる必要があるのか。安いとはいえ、外国人には「あいりん地区」の情報は及ばないのか。そうだ聞いてみればいい。・・・だが、調査隊には誰一人として英語を話せる奴はいなかった。

   (1500円ドヤ、布団一式とテレビあり)   (ドヤのエレベーター、よろしくない落書きあり)  (エレベーターに貼られた「宿泊客に衣類の着用をお願い」する張り紙)

様子を変えゆく?「あいりん地区」

 ・・・いや、このままでは解決しないのでドヤのスタッフに聞いてみる。どうやら外国人向けのガイド本には「安全で安価な宿」という触れ込みで、ドヤが紹介されているらしいのだ。盗難が多い街ゆえに安全かどうかはわからないが、ドヤ内では自己管理(もしくはフロントへ預ける)をすれば問題ないか。日本人のイメージでは異世界のように捉えていたあいりん地区であるが、外国人からすればどこ吹く風なのだろう。 ただ、現状はドヤに宿泊すること以外に、外国人観光客があいりん地区に関わることはないようだ。ある意味当然か・・・。とは言え、新たなニーズが開拓され、ドヤは日雇い労働者以外の宿泊客を得たためか、少々景気が良いようだ。あいりん地区が雰囲気を変え始めるのも、時間の問題かも知れない。

              (窓が割られた激安自販機)                 (溢れるごみ。分別はされていない。一方外国人はごみを持ち帰っていた。)

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