大阪・危ない街で一夜を過ごす。(実録ドキュメント)

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大阪「ミナミ」、さらに南へ・・・

 関西人であってもなかなか立ち入れない、異世界とも呼ぶべきエリアが大阪にはいくつか存在する。 その中でも最も有名なものとして、大阪府西成区が挙がるだろう。 そもそも、大阪市と言えば大きく分けて「キタ」「ミナミ」と呼ばれるエリアがある。

 「キタ」は、定義は色々あるものの、大阪駅とその周辺地域というのが一般的な認識と言って差し支えないだろう。JR、阪神、阪急、大阪市営地下鉄などの各路線がこの周辺より発着し、地下には日本最大の集客とも言われる地下街が形成されている。また、鉄道路線が集約していることからもわかるように、ビジネス街として多くの高層ビルが立ち並び、数多くの企業がこの地に集まっている。日本第二の大都市・大阪としての機能は、「キタ」が担っていると言っても過言ではない。 一方「ミナミ」は道頓堀や戎橋など、なんば駅~新世界周辺というイメージで良いと思われる。全国的なイメージでの「コテコテの大阪」はこちらに当てはまるだろう。お笑いの聖地として有名な、よしもとの「NGK(なんばグランド花月)」もこちらに属す。Vシネマとして有名な竹内力主演の『難波金融伝・ミナミの帝王』なども、この「ミナミ」が舞台である。

           (「キタ」JR大阪駅、各私鉄梅田駅の様子)                     (「ミナミ」新世界から通天閣を見上げる)

 「キタ」と「ミナミ」は電車では10分前後の距離であるが、それぞれ個性的な「大阪」を演出しているのだ。 そんな「ミナミ」の中でも、とある道路、線路を境にし、更に南方。様子が一変する地域が大阪府西成区界隈である。おそらく関西以外に住んでいる人でも、一度や二度、耳にしたことがあるかも知れない。釜ヶ崎、「あいりん地区」と呼ばれる場所である。 日雇い労働者のまち、日本で唯一暴動が起きたまち、暴力団事務所が多数あるまち等、あまり良いイメージは持たれていない。実際、関西に住んでいると、両親や先生などの大人から「あの辺りには絶対に行くな」なんて教わったりするものだ。

 危険な町としてあまりにも有名なのだが、そんな関西人すら近づかないこの界隈、近頃は外国人観光客が多数押し寄せているという。そこで一度、新世界、あいりん地区付近へ降り立ってみることにした。我々関西人でも躊躇するエリアに、どうどうと足を踏み入れる外国人とは一体何なのか。今回は私を含め、大学時代から良からぬことをする際は常に一緒の友人3人が調査隊を組み、練り歩いた軌跡を、街並みの紹介とともにお伝えする。

(大まかな「あいりん地区」。北方には「ミナミ」がある。本稿で触れるスーパー玉出もある。右下の飛田新地周辺は「料亭」とあるが、料理が出る「料亭」ではない。)

◇参考ページ◇

 大阪の繁華街「キタ」「ミナミ」、名前の由来は・・・?
www.nikkei.com  

(日本経済新聞 2010年12月03日)

新世界

 くいだおれ、串カツ、かに道楽など、目立ちすぎる看板が立ち並ぶのがここ新世界。通天閣に登ると、「ミナミ」が一望できる。同じような食べ物を扱ったお店が多数並ぶが、大きなお店は観光客が、路地裏などこぢんまりしたお店は常連客が楽しそうに食事をしている印象だ。どのお店も目立ちすぎるため、飲食店による客引きも圧巻である。関西人であっても、案外こういうところに来ない限り、あまり串カツは食べない。また、プールや温泉、アミューズメントの複合施設である、「世界の大温泉 スパ・ワールド」も近くにあり、多くの人に親しまれている。 調査隊の3人は串カツ屋では中国人と思しき人たちは見かけたが、あまり外国人観光客は見なかった。温泉はやはり日本人特有の文化らしく、日本人しかいなかった。

              (新世界で串カツを食す・・・)                        (世界の大温泉「スパワールド」)

ジャンジャン横丁~飛田新地

 JR、南海電鉄の新今宮駅、大阪市営地下鉄、阪堺電車の動物園前駅から歩いてほど近く、いわゆる道頓堀などの新世界を「オモテの遊び場」とするなら、「ウラの遊び場」はこのジャンジャン横丁を経由し、飛田新地へ向かう。花街、赤線、遊郭という言葉で察していただきたい。グレーな存在とは裏腹にその建物は文化財レベルである。諸事情には触れないが、無法地帯ゆえに暗黙の了解として存在している。ここで撮影をすると怖い人に連れて行かれるというのは有名な話であり、実際に禁止行為。 我々は人通りの少ない場所や、誰も写らない場所を選んで撮影を敢行。しかし、何かの取引と思われる現場や、飛田新地周辺ではあまりにも恐ろしくなり、カメラそのものを隠してしまった。しかし、外国人観光客はおろか、普通に人を見かけない。地元の人間と思われる人がちらほらいる程度。

(ジャンジャン横丁のよくわからないもの。真実の口?)  (版権モノだが、かくれんぼで顔がよく見えないのでOK)    (とある薬局。水虫がひたすらかゆいらしい。)

釜ヶ崎「あいりん地区」

 ジャンジャン横丁~飛田新地よりも西側、南海電鉄新今宮駅~萩ノ茶屋駅一帯あたりを指す。いわゆる路上生活者が多く見られ、声に出せない物品、薬品の売買も行われていると言われる地域である。一方で、炊き出し、ゴミ拾いなど地域内外でのボランティア活動も盛んであり、24時間で表情を何度も変えていると言って良いだろう。あいりん労働公共職業安定所(ハローワーク)には朝5時より多くの日雇い労働者が並ぶ。筆者の友人はこの職安で実際に仕事を紹介してもらい、そこでの実体験を就職活動のPRに活用。現在は某紙の記者である。 筆者が高校生の頃、興味本位でこの界隈を歩いたことがあるが、服装がわりと小ぎれいにしていたためか、逆に目立ってしまい「なんだオラ、このガキが・・・!」と、おっちゃんに一喝されたことがある。また、このあたりは物価が日本国内でもっとも安い地域と思われる。卵1パック1円、牛肉1グラム1円、袋ラーメン1パック1円など、見た目のインパクトや雰囲気では国内最強と思われる「スーパー玉出」もこの地域を中心に展開されている。

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