岩手県下某所の桜

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4月下旬、岩手県某所に見事なまでの桜のトンネルが現れた。

東北三大桜の名所といえば、青森県弘前市の弘前城公園、岩手県北上市の北上展勝地、秋田県仙北市のみちのくの小京都・角館が有名だが(ほかにも諸説あり)、この場所の桜もまた見事だ。

北上展勝地の桜が満開で、周辺には道路規制まで行われて大混雑だった4月末の日曜日、展勝地からもそう遠くないこの地では交通渋滞もなく、のんびりと桜の花盛りを楽しむことができた。

三大桜名所のようにたくさんの露店が出展するわけではない。あちこちでミニコンサートが行われたりするわけでもない。この場所の桜の最大の魅力は静けさと居心地の良さと、そして桜の香り。

桜と言えば見て楽しむものと思い込んで生きてきたが、ここの桜の園に足を踏み入れると先入観が吹っ飛んでしまう。桜のトンネルの中は、甘くてそしてみずみずしい香りに満ちているのだ。香の甘さは桜餅のお餅の香りそのもので、みずみずしさは桜餅の桜葉の香り。そんな風にいうとまるで「花より団子」みたいに聞こえてしまうが、なぜだか本当にこの地の桜は桜餅の香りがする。

緑の下草に腰を下ろしてお弁当を広げたり、子どもたちが走り回ったり、木陰でカップルがしっぽりしていたり。そして土手の上の道路を見ていると、何台ものクルマが停車して土手から桜見物をしていたりする。中にはデイサービスの帰り道なのか、ご老人たちがマイクロバスからしんみりと眺めている姿もある。「隠れ家」という言葉はあまり好きではないが、ここの桜は「花見」の騒々しいイメージとは別種のなごみがある。

そしてもうひとつ、特筆すべきはこの場所では満開の桜の向こうをお馬さんが走る姿まで見られるのである。

とまで言えば隠れ家どころではない。ちょっと調べればここがどこかはすぐに分かってしまうだろう。でも、できればあまり人には教えたくないと思ってしまうような、不思議な香りのする桜のトンネルなのだった。

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