ネコヤナギは春を連れて

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遠野のひな祭りに行くバス遠足の帰り道、トイレ休憩に立ち寄った道の駅で、そろそろ出発時間が迫る中、「やっぱり買って行こうか」とふたりのお母さんがネコヤナギを買ってきた。

ふわふわした産毛のようなネコヤナギの芽が、マイクロバスの車中を春めかした。

「わー、もう咲いてるんだ」

「かわいいわねぇ」

だけどきっと、ハウス栽培か、どこか南の方から運ばれてきたものなのだろうと思っていた。口こそ出さなかったが、たぶんみんなもそう思っていただろう。久しぶりに晴の日が続いたとはいえ、山にはまだ雪が残っていたから。

日曜日、ばっけ(ふきのとう)でも出てないかと思い立って散歩に出た。見てかわいくて食べておいしいばっけはみんなに人気。春先には「どこそこにばっけが出てた」「空き地に生えてたのを取ってきた」とあちこちで話に花が咲く。ばっけが出れば次は桜と、みんな春を待ち望んでいるのだ。

あいにくばっけは見つからなかったが、川沿いの国道でネコヤナギを見つけた。生け花に使うアカメのようにシュッと伸びたものではなかったが、その回りだけ、空気が紅に染まっていた。

花は春の中にある。

それでもさくら木を砕く
 それでもさくら木を砕く
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