復興工事の現場作業員の思い

iRyota25

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いまのところ、あまり評価が高くないのだけれど、わたし自身はとてもたいせつなことの「とば口」を見つけたように感じている。というのは、国道45号線沿いの「えびすさま」のこと。

この「えびすさま」、3週間ほど前から国道45号線沿いに、海に向かって立てられている。コンクリート殻の粉砕作業の一環で出てきたものと思っていた。気づいて以来ずっと同じ場所に安置されていた。

とある日、えびすさま背後のコンクリート殻のかさが減ってきた日、現場の担当者と立ち話することができた。

あそこに置かれているえびすさまのこと、聞きたいんだけど。

「ああ、あのえびすさまね。コンクリ殻の中からじゃなくて、そっちの方の沼みたいな所から出てきたんですよ。捨てちゃうわけにも壊しちゃうわけにもいかないからね。作業の邪魔にならないとろこに置いておくなあってね」

えびすさまは、どこかかからコンクリートの廃材に紛れて運ばれてきたのではなくて、この場所から掘り出されたものなのだということ。そして、見つけ出した時にも、「いやあ神様が出てきたよ」ってことで、安置しなければということになったのだということ。

ぱっと見、映画「インデペンデンス・デイ」のジェフ・ゴールドブラムみたいなイケメンの現場監督のお兄さんは、えびすさまが見つかった状況と、その後、わざわざ道に面した場所に設置したいきさつを話してくれた。

「壊すわけにもいかない」とか「邪魔にならない所に置いておく」という個々のワードからは伝わりにくいかもしれないが、現場ならではの言葉の言い回しとして、最大の敬意を払って安置したのだということが伝わってくる話だった。

「沼みたいなところから引っ張り出して、きれいに掃除して、道と海の方に向けてちゃんと安置してくれたんですよね。それって、とってもありがたいと思いますよ」

そう言うとジェフ・ゴールドブラム似の監督さんは笑顔で答えた。

その言葉はここではお伝えしないとして、だけど、この町で工事に携わっている人たちの心意気をグググッと感じた。

被災地では、被災した人たちと復興の工事のために町に入ってきている人たちの間に、微妙な意識の差というか、相容れないところが少なからずあるように感じる。工事業者の人たちと親しくさせていただくことが、これからのもう1つの課題であると感じたワンシーンだった。

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