3号機原子炉建屋オペレーティングフロアへに遮蔽体を設置するわけ

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3号機オペフロA工区に架台

3号機オペレーティングフロアへの遮蔽体設置用架台設置の様子 撮影日:2016年4月12日 撮影:東京電力ホールディングス株式会社
3号機オペレーティングフロアへの遮蔽体設置用架台設置の様子 撮影日:2016年4月12日 撮影:東京電力ホールディングス株式会社

photo.tepco.co.jp

4月12日に東京電力が発表した報道資料の中に「3号機原子炉建屋オペレーションフロアへの遮蔽体の設置について」というのがある。

 福島第一原子力発電所 3号機原子炉建屋オペレーションフロアへの遮蔽体の設置について|東京電力ホールディングス株式会社 2016年4月12日
www.tepco.co.jp  
福島第一原子力発電所 3号機原子炉建屋オペレーションフロアへの遮蔽体の設置について|東京電力ホールディングス株式会社 2016年4月12日
福島第一原子力発電所 3号機原子炉建屋オペレーションフロアへの遮蔽体の設置について|東京電力ホールディングス株式会社 2016年4月12日

ペラ1枚の簡単な資料で、海をバックに遮蔽体の枠となる架台がクレーンで吊り下げられた写真が掲載されている。A工区での工事ということだが、そもそもそれがどこなのかもよく分からないので、過去の他の資料に当たってみた。

A工区はすごい場所だった

検索すると非常に詳細な資料が簡単にヒットした。3号機オペレーティングフロアの詳細な写真と、工区の区切り、これまでの線量、遮蔽体設置の概要や遮蔽体そのものについての解説など、知りたいことがほぼ分かる。

 福島第一原子力発電所 3号機原子炉建屋オペレーティングフロアの線量低減状況について|東京電力株式会社 2016年4月12日
www.meti.go.jp  

このペーパーは、東京電力ホールディングスがまだ東京電力だった最後の日の日付で、経産省の廃炉・汚染水対策チーム会合/事務局会議(第28回)の参考資料として東京電力から提出されたものだ。

ただ、残念ながら「無断複製・転載禁止」と但し書きがされているので、写真やイラストなどは直接資料にアクセスしてご覧頂きたい。オペフロのイラストと工区割の図は、2015年6月8日に公開された「3号機原子炉建屋オペレーティングフロア線量低減各エリアの除染進捗と見通しについて」から引用する。

 3号機原子炉建屋オペレーティングフロア線量低減各エリアの除染進捗と見通しについて|東京電力株式会社 2015年6月8日
www.nsr.go.jp  

図の中心、円形が透けて見える水色のエリアがA工区。透けて見える円形は原子炉圧力容器、格納容器の上蓋のさらに上にあるシールドプラグを示している。つまり、この円の真下に原子炉があり、そしておそらくメルトダウン(あるいはメルトスルー)した核燃料が、象の足(高温の核燃料が周辺の金属等を融かし一塊になった物体の俗称)のように鎮座しているわけだ。シールドプラグの辺りからは、2013年になってからも何度か水蒸気のようなものが確認されている。その正体が何だったのかは謎のままだが。

この資料には遮蔽体の厚みも示されている。原子炉の真上の工区Aでは「250mm」。別の資料によると大型の遮蔽体は鉄板を使うということだったので、3号機オペフロ原子炉直上は厚さ25cmという、戦艦大和の甲板の装甲を上回る鉄板が敷かれるわけだ。

今後燃料の取り出しが行われる使用済み燃料プールは原子炉の右側。何の遮蔽も行われない白い四角の部分だ。それでもプール周辺の遮蔽は、東側で10cm、南側は20cmだ。原子炉の左側、黄色いエリア工区Eは、燃料取り換えや点検で原子炉を開けた際に、蓋や原子炉内の機器を水に漬けて保管するためのDSピット(機器プール)だが、ここはすでに15cm厚の鉄板で遮蔽されている。

水素爆発が発生したとされる3号機で、これほどまで分厚い鉄板で遮蔽を行わなければならない汚染が今も残っていることの理由は、いずれしっかり考察しなければならない時が来るだろう。地震発生時5号機は運転中だったのだから、機器プールには圧力容器の蓋も汽水分離器など原子炉内の機器もあったはずない。にも関わらず15cmもの遮蔽が必要なのはなぜなのか――。

1年4カ月前のオペフロ

それはさておき、資料には3号機オペレーティングフロアの写真も掲載されていたので引用する。

オペフロのガレキ撤去や除染が進められている過程での写真と思われるが、建屋の鉄筋がまるで糸くずのように丸まって見える。写真の左下、建屋の北西角はオペフロよりも下の階まで破壊が進んでいる。そしてそんな状況の中、機器プールはすでに遮蔽が行われている。

ここに来て工区A、つまり原子炉直上の遮蔽工事が始まったのは、使用済み燃料プールからの燃料取り出しを進めたいという思惑があるからだ。3号機の燃料取り出しも4号機の場合と同様に、壊れかけた建屋の上に作業用のカバーを設置して行う予定で、燃料取り出し用のカバーはすでに建造済み。いつでも現場に運び込める状態だ。

茶筒を横にしたようなものが燃料取り出し用のカバーだが、上の写真で見たように北西角の崩壊が酷いため、カバーを設置する前に北西角(G工区)の補強工事が欠かせない。その工事を行うためには生身の人間がオペフロで作業する場面も出てくるだろう。となると、線量の高い工区Aを遮蔽するのが先決だ。

工区Aには空間線量で220mシーベルト/時、つまり0.22シーベルト/時という極めて過酷な環境だ。数時間いるだけでほとんどの人がガンなどの被害を受けることになる。5時間いれば死者も出る。そんな場所での工事がどのように進められるのか。今後も調べていきたい。

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