3号機からの使用済み燃料取出し計画

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「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画」の変更認可申請について | 東京電力 平成26年6月25日より引用
「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画」の変更認可申請について | 東京電力 平成26年6月25日より引用

東京電力は6月25日付の参考資料で、3号機使用済み燃料プールからの燃料取出しについての現時点での計画を公表した。これまで申請・認可済みの実施計画に変更・追加する形で認可申請するのは、燃料を取出す設備、構内用の輸送容器、燃料取り出し用カバーなどとなっている。

 「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画」の変更認可申請について | 東京電力 平成26年6月25日より
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4号機よりも小ぶりなカバー建造物

福島県のデータによると、3号機には現在、使用済み燃料と新燃料合わせて566体が燃料プールにある。

福島県のホームページのデータから作成
福島県のホームページのデータから作成

現在、燃料の取り出しが進められている4号機に比べると、プールに収められている燃料体の数は少ない。また、建屋の健全性についても、水素爆発がプールより下のフロアで発生した4号機よりも状態がよいとされている。

そのような条件の違いからか、3号機プールからの燃料取出しは、4号機と比べていくつもの相違点がある。まず燃料取出し用カバーが小さい。

「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画」の変更認可申請について | 東京電力 平成26年6月25日より引用
「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画」の変更認可申請について | 東京電力 平成26年6月25日より引用

建屋そのものの健全性が不安視されていた4号機では、爆発で破損した建屋に覆い被さるような形だが、建屋には直接荷重をかけない形の燃料取出し用カバーが建設された。それに対して3号機では、使用済み燃料プール(上の図では「SFP」と表記)とクレーン等の設備が移動する部分のみにカバーは建設され、基礎の一部として建屋が使われることになっている。

輸送用キャスクもクレーンも小ぶり

4号機の燃料取出しでは100トンまで吊れるクレーンが設置されたが、3号機用に新設されるのは50トン吊り。それに合わせて取り出した燃料を共用プールに移送するための容器(キャスク)も、新規に設計製造されるという。

「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画」の変更認可申請について | 東京電力 平成26年6月25日より引用
「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画」の変更認可申請について | 東京電力 平成26年6月25日より引用

1つのキャスクに収納できる燃料集合体の数は7体。4号機で使われている移送用キャスクの収納体数が22体に比べてかなり小さい。単純計算すると、燃料集合体の数が少ない3号機の方が、キャスクでの輸送回数では4号機を上回ることになる。

プール内でかなりの数の燃料が破損しているのではと心配されている3号機だから、より慎重に作業を進めるということなのだろうか?

4号機では新しく製造中のキャスクが規格適用しないかもしれないという理由で、取り出した燃料の移送先を変更する計画が打ち出されている。そんな状況で3号機でも新設計のキャスクを製造……。

理由は不明。

東京電力では、破損燃料用輸送容器(安全機能及び構造強度)については今後の申請予定としている。3号機プール内に落下した燃料取扱機などの撤去のためプール冷却を停止していた措置は、中断したままでその後の進捗も分からないまま。

計画は出てくるものの、3号機プールの実態は依然として判然としないままだ。

文●井上良太

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