――親が幸せな思考だと、幸せな子どもたちが育ちますね。では、今の子どもたちに思うこと、習い事を考える親たちにメッセージをお願いします。
すべてがコンピュータ化され、インターネットの普及により、何もかもスピード社会の中、子どもがiPadやスマホを持つ時代になりました。そんな時代だからこそ、逆にゆったり時間をかけて作り上げるものに挑戦してほしい。クラシックをはじめ、音楽はその点素晴らしい効果があると思います。子どもが楽しいと思える習い事を勧めてほしいですね。嫌いなことを無理やりやらされてダメ出しされるなら、好きなことをやって褒めてもらう成功体験は、後に自分の自信につながるはずです。
――最後に、ジストニアという病について。克服されて活動再開された今のお気持ちをお聞かせ頂けますか?
ピアニストとして再起不能と言われましたが、「指がまた楽に動くようになる」「好きな曲をまた演奏できるようになる」など箇条書きにした紙を、ベッドの横とトイレに貼って、毎日唱えていました。そして、手をさすりながら「酷使してごめんね。また演奏できるようになろうね」と、自分の手に向かって話かけてきました。頭がオカシイと思われるかもですが、本当に動きだしてくれました。
そして、チャリティーコンサートでの収益金は、全てジストニア財団に寄付し、治療開発費の一部にしてもらいました。まだ完全に両手の指が回復したわけではありませんが、今ではだいぶ演奏できるようになってきました。
一時は、自殺を考える程憎んだジストニア(神経系運動障害)を、今は『天からの贈り物』として受け止めています。不自由があるお陰で、普段だったら気にしなかったであろう些細なことでもありがたく感じますし、この病気によって沢山の素晴らしい方々にも出会えました。これも、「半分空っぽ、半分満タン」の諺の通り、不自由だから不幸だ、と取るか、その逆にありがたく思うかで、僕の人生は、今はとっても幸せなものとなっています。周りの応援にも感謝しています。
編集後記
――ありがとうございました!先月(5月13日)に、小学生の頃から憧れていたマイケルJフォックスさんとお会いして、素晴らしいひとときを過ごす夢が一つ叶ったという悟平さん。不可能を可能に転じられるパワーの源を今回改めて感じることができました。ピアニストになるだけでもスゴイことですが、国際的な舞台で、しかもジストニアという病を持ちながら演奏活動に臨める悟平さん。人を揺さぶる演奏は、技術的に卓越したスキルだけでなく、心に沁みる経験をもつ人が発する波動なのかもしれません。6月中旬のトークショー&ピアノライブを楽しみに伺います!これからも世界を舞台に益々のご活躍を。
取材・文/マザール あべみちこ
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