先日NHKで東日本大震災を振り返る番組を観ていたら、大学の同級生が映りました。
いまは転勤で別の県にいる彼ですが、震災当時は石巻工場に勤務していました。当日はたまたま東京出張だったそうですが、震災後まもなく石巻に入り、地域のため、工場再建のために奔走していた、ぐらいのことだけは知っていました。
しかし番組の中でインタビューに答えていた彼は、わたしが想像していたよりもずっと過酷な任務にあたっていました。
あの津波で彼の会社の従業員さんも何人か亡くなっており、彼はそのご家族と一緒に遺体の確認へ行っていたそうなのです。どんなにつらい時間だったでしょう。
震災後初めて彼に会えたのは昨年の夏。十数年ぶりに酒を酌み交わしながら震災当時の話もぽつぽつ出ましたが、彼はそんなつらい仕事をしていたなんてひとことも言いませんでした。
テレビを見終わって彼にLINEでメッセージを送りました。わたしはなんと書いていいかわからず「たくさん映ってたね」なんてどうでもいいことを書いてしまいました。
彼の返事は「見てくれてありがとう」でした。
きょうはあの日からまる5年。あいつ今夜は何してるかな、なんて考えながらロウソクに火を灯しました。
ウチの近所にはこの時期満開になる桜の木があります。夏に彼と飲んだ帰りにも歩いたこの道で、その桜はとてもきれいに咲いていました。
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