高校生にとって夏の大会といえばインターハイ。野球なら甲子園(全国高校野球選手権大会)が有名ですが、サッカーではそれとは別にもう一つ重要な大会があります。
それは、日本クラブユースサッカー選手権(U-18)。学校の部活動としてではなく、Jリーグや地域クラブの下部組織に所属している高校生年代の全国大会です。秋から冬にかけて開催されるJユースカップ。1シーズンを通しリーグ形式で行われるの高円宮杯と並び、クラブユースの選手における3大タイトルの一つとされています。各地域での予選が春に行われ、夏に本大会が始まります。
この大会の特徴はとにかく日程がハードなこと。グループリーグから決勝トーナメントの途中までは群馬県で行われ、その後は横浜へ移動し準決勝、決勝と続きます。今大会でいえば、仮に決勝まで勝ち進むと7試合を12日間でこなすという“超”過密日程です。
今大会の決勝は横浜FMユースvs大宮ユース
今大会の決勝に進出したのは2チームはともに攻撃が自慢。超高校級のFW和田昌士を擁する横浜FMユース。そして、この年代ではトップクラスの攻撃陣がそろう大宮ユース。この試合ではお互いが“矛”の良さを出し合う展開になりました。
前半は横浜FMの鋭い攻撃で先制点を奪います。トップ昇格が期待される7番・MF遠藤が圧巻のスピードで左サイドをぶっちぎり、アシストを記録しました。一方で、大宮も負けじと同点弾をゲット。こちらもすでに2種登録済みで来年はトップでの活躍が見込まれる黒川→藤沼のコンビで中央を崩しました。追いつかれはしたものの、素早い攻守の切り替えから横浜FMが2点目を奪い、前半を折り返します。
後半に入ると横浜は立ち上がりから果敢に前線からプレス。すると高い位置で奪って見事にショートカウンターが決まり3点目。試合は決まったと思われましたが、その後は大宮ペース。するとわずか3分間で2点を決めて勝負は振り出しに。
流れを変えたのはプレミアリーグも注目するあのFW
後半25分あたりからは再び横浜FMがペースを取り戻し、見事なサイド攻撃から4点目をゲット。終盤にもカウンターから個人技で5点目を決めて勝負あり。横浜FMが5-3で大宮を下し、優勝を決めました。
3-3で両チーム拮抗した展開の中、流れを変えたのは横浜FMの和田。今大会はけがもあり中々出番がありませんでしたが、同点で迎えた後半から途中出場しました。
和田は、あのマンチェスター・シティも注目するほどの才能の持ち主です。けが明けとはいえど、この日もクオリティーの高さを魅せてくれました。ボールの収め方、ゴール前の落ち着き。シュートのうまさ。特に自らが決めた5点目は圧巻の一言です。ペナルティーエリアに侵入し、独特の間合いからフェイントを入れてシュート。見事ゴール右隅に決まりました。
この先は2020年東京オリンピック!
現在の高校3年生を中心に構成されるU-18。ゆくゆくは2020年の東京オリンピックにU-23日本代表として活躍が期待される年代です。和田以外にも今大会でMVP&得点王を獲得した遠藤渓太や大宮の攻撃を司る黒川淳史も素晴らしい才能を持っています。
さらにこの世代には、大分の坂井大将、名古屋の杉森考起、神戸の藤谷壮、G大阪の堂安律など、すでにそれぞれのクラブでトップチーム出場を果たしている選手もいます。お互い切磋琢磨しながら、このまま個の能力を伸ばしていってほしいですね。
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