【サッカー日本代表】 日本VSフランス・・・本気モードのフランスにひるまないサムライの成長 《欧州遠征》

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日本代表は欧州遠征でフランスとブラジルと対戦できる貴重な機会を得ました。ザックジャパンにとって日本のサッカーが世界にどこまで通用するのかを見極める重要な遠征です。今回は10月12日に行われた日本対フランスの対戦レポートをお届けします!

フランスはワールドカップ予選に向けて本気モード

フランスは16日に行われるワールドカップ予選のスペイン戦に向けて、この試合を前哨戦と位置づけています。コンディションを上げるためにも、ホームの地の利を生かして勝利を収めたいところ。対する日本はFIFAランキングで大きく上回る強豪国を相手に自国のサッカーがどこまで通用するのかを知る絶好の機会です。

日本のシステムは4-2-3-1。DFは左から長友、今野、吉田、酒井宏樹。ボランチは長谷部と遠藤。攻撃的MFは左から香川、中村憲剛、清武。1トップにハーフナーマイクを配置します。対するフランスのシステムは4-3-3。3トップは強力で、左にレアルマドリードに所属するベンゼマ、中央にアーセナル所属のジル―、右にはパリ・サンジェルマンで活躍するメネスを配置して強烈なサイドアタックを仕掛けます。

前半はフランスのスピードと圧力に押される

フランスは試合開始から日本のゴールに向かって一気に圧力をかけます。中盤でシンプルにボールを繋ぎながら両サイドに素早くボールを預け、左右のウイングとサイドバックが早いタイミングでクロスボールを上げてきます。センターフォワードのジルーは192cmで高さと強さを備えますが、その他のオフェンス陣も180cm中盤~後半の高さを持ち、日本のDFはゴール前の競り合いに苦戦します。セカンドボールをことごとく拾われ、ミドルシュートは打たれ放題。前半だけでコーナーキックを10本以上も与えて再三ピンチを迎えます。

しかし、日本はDFの今野と吉田を中心に粘り強いマークでFWに仕事をさせず、決定機を作らせることなくゴールを死守します。フランスの動きはとにかく速く、日本陣内のスペースに次々とアタッカーが入り込んで自在にパスを回します。ドリブルスピードも尋常ではなく、DF2~3人がタックルに入ってようやく止まるほど。ボールポゼッションでも圧倒的にフランスが上回る展開です。TV解説者の清水秀彦さんが「ここから早い!早い!早いんですよ~!」と何度も連呼するシーンには苦笑しました。(けっこう笑えました^^)

後半はスピードにも慣れ、起死回生のカウンターで金星を奪う!

前半の猛攻を凌ぎ切った日本は、後半から少しずつパスが繋がり始めます。前半からフルパワーで圧力をかけてきたフランスの運動量はやや落ちて中盤にスペースに空き始めます。後半17分、左サイドハーフに乾貴士を投入し、トップ下に香川を入ると流れが変わります。日本はゴール前でダイレクトプレーを多用するとフランスのDFはスピードについてこれず、マークが少しずつずれ始めます。左サイドバックの長友はバイタルエリアからトップスピードのドリブルで勝負を仕掛け、鋭いクロスで何度もゴールを脅かします。

後半33分、フランスのFWジルーがクロスを胸でワントラップしてオーバーヘッド。これをファーサイドに詰めていたゴミスがダイビングヘッドでネットを揺らすもオフサイドの判定!これ以後は一進一退の攻防が続き、両チームとも決定機が生まれません。スコアレスドローで終わるかに思われた後半43分、フランスのコーナーキックのこぼれ球を拾った今野がドリブルでゴール前まで独走して右サイドにスルーパス。そこに飛び込んできた長友がダイレクトで中央に折り返し、詰めていた香川がしぶとく決めて先制点を奪います!このまま試合は終了し、日本は対フランス6戦目にして初勝利を挙げる歴史的な1戦になりました。

ハーフナーはポスト役になれず、本田と前田の不在が響いた

歴史的な勝利を挙げたものの、日本はほとんど決定機を作り出すことができませんでした。特にトップのハーフナーにボールが収まらず、MFの攻撃参加を引き出せなかったことが大きな要因です。前田遼一や本田圭佑のようなキープのある選手が中央でポストになっていれば、もう少し味方のサポートも引き出せたはずです。世界トップクラスのDFと対峙した場合、ハーフナーの高さを生かすことは難しいでしょう。センターフォワードのファーストチョイスは前田遼一、次点で本田圭佑という選択がベストではないでしょうか。

乾の登場で香川がトップ下に入ったことの効果

後半から乾貴士が左サイドに入ったことにより、久しぶりに香川真司がトップ下に入りました。前半はフランスの圧力に押されっぱなしで、ほとんど左サイドバックのようなポジションでプレーしていた香川ですが、トップ下というゴールに近い位置でプレーすることで香川の怖さが引き出されたように思います。ペナルティエリアに近いゾーンでボールを受けた場合、一発のプレーでゴールを奪う技術を持っているので、香川が中央にいることは相手にとって最も嫌な存在になるでしょう。

フランス戦のように相手が格上の場合、押し込まれる時間帯が増えるので両サイドハーフは必然的に守備の負担が増えます。本田圭佑の場合、キープ力もあり守備力にも長けるので相手に押し込まれも、自陣の深い位置からゲームメークにも参加できるでしょう。2人の個性を最大限に生かそうと考えた場合、本田をセンターフォワードか左サイドハーフに使い、香川はトップ下で固定するべきではないでしょうか。

11年前のサンドニとは違うサムライの姿

11年前、フランスと日本は同じ会場で国際Aマッチを戦いました。そのときのスコアは0-5。まるで悪夢のような敗戦です。今回の一戦は日本が11年間でどこまで成長してきたかを確かめる指標だと言われています。シュート数は21対6、ボールポゼッションは59%対41%、コーナーキックは15対3。データを見ると11年前と同じような大差ですが、結果は1-0で日本の勝利。賢く守って一発のカウンターを狙った日本の戦術が見事にハマっています。

何度攻め込まれても日本のディフェンスの組織は崩されず、フランスに何度シュートを打たれても枠内に飛ぶ確率は低く、セットプレーでも冷静に対処してフリーでシュートを打たせない。日本の選手が海外でプレーする割合が高くなっている今、選手個々の能力は飛躍的に上がり、強豪国と対戦してもひるまないメンタルの強さを身に着けたことが分かります。日本のサムライが、この11年間でワールドクラスという現場に慣れた成果だと思います。

総括

16日のブラジル戦は欧州遠征の第二戦になりますが、フランス戦と同じように厳しい戦いが予想されます。今回のように日本の特徴を最後まで出し切ることができれば、勝利のチャンスはあると思います。世界レベルの対戦国にも、最大限のパフォーマンスを出し切れる日本の力を見せつけて欲しいと思います!

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