【続々・図解】役員全滅!組織ぐるみの東洋ゴム。国会で参考人招致

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出荷停止を決定するも、その日のうちに覆す

2014年9月12日、東洋ゴムの新庄取締役ダイバーテック事業本部長、青木執行役員CSR統括センター長及びN法務部長が、R 法律事務所に、本件の対応を相談します。

そして9月16日に、信木社長、山本専務らが出席する会議が開催されます。本会議は、午前・午後にわたって行われ、午前の会議では、以下の内容が報告されました。
・ R 法律事務所への相談内容
・ 直近の出荷物件の概要
・ 公表時の課題
上記の報告を受けて、以下の内容の方針が決定されます。
・ 出荷停止の準備をすること
・ 国土交通省へ本件の疑いの一報をすること

恐らくR法律事務所からは、データ偽装による大臣認定の不正取得と、出荷を継続していることに対してのダメ出しをされたはずです。

この時に、直ちに(といっても相当時間は経過していますが)出荷を停止していれば、建築物やユーザーに対する被害は、今よりは少なかったはずです。ただ、会社に対する世間の風当たりは、相当強いことには変わりありません。

2007年の防火断熱パネルの不正に続き、またもやデータ偽装による大臣認定の不正取得となれば「7年前の謝罪は何だったのだ!」となるに決まっていますから、経営陣は何とか丸く治めたかったのでしょう。ダイバーテック事業どころか、主力であるタイヤ事業にまで余波がおよぶことは想像に値します。

そして午後の会議で、午前中の決定が覆ってしまいます。

午後の会議で、振動試験を 0.015Hz で行った場合の実測値を用いることに加え、試験機の差異を解消するための補正を行えば、出荷予定の G0.39 の免震性能が大臣認定の性能評価基準に収まる旨の報告がなされたことにより、午前の方針が撤回され、G0.39の出荷を継続することが決定されます。

2015年5月8日の山本現社長が国会への参考人招致で、午前の会議で決定した出荷停止を午後の会議で撤回した理由について「(午後の会議で)別の検査数値が許容されるという間違った解釈がなされた。今思えば間違った報告だった」「明らかに間違ったデータだ、とその場で指摘できなかったのが問題だ」と答え、経営判断の誤りを認めたものの「偽装の隠蔽ではない」と述べました。

部下からの報告は、経営陣にとって『渡りに船』だったのでしょう。

経営判断の誤りは認めたものの、間違っていた部下の報告のせいにしていることは悲しい事実です。最初の謝罪会見でも「担当者が一人でやったこと」と発表したように、責任を部下に擦り付けることが、この会社の文化、組織風土なのでしょうか。

経営判断の問題というより、「メーカーとしてのプライドはないのか」と問い質したいところです。

疑わしい製品を何とかつじつまを合わせて販売するよりも、何故品質を改善して、適正な製品を製造することに時間と労力を注がないのか。同じ会社で製造しているタイヤも似たような感覚で販売しているのではないかと疑われて当然です。

もしそうした疑惑から、主力のタイヤの販売不振につながったとしても、『風評被害』とは言いません。『身からでた錆び』と言います。

八方ふさがりの報告と役員人事の不可解

2014年10月23日、信木社長、山本専務らが出席する会議において、
・ 東洋ゴム化工品のA課長代理、後任のBとCによる補正の方法に技術的根拠が乏しいこと
・ 今後は振動数 0.015Hz の実測値を用いること
・ 振動数 0.015Hz の実測値を用い、かつ試験機の差異を解消するための補正を行ったとしても、出荷済みの G0.39 の一部が大臣認定の基準に適合しないこと
が報告されました。

この時点で、9月16日の午後の会議での決定が裏目に出たことが確定しました。完全に八方ふさがりです。

この会議の1週間前の10月16日に役員人事のプレスリリースが行われ、11月1日付で、信木社長が代表権を持ったまま会長に、山本専務が社長に、久世常務が代表権を持つ専務に就任します。

この時期に、こうした問題を抱えている時期に、この役員人事は一体どういうことなんでしょうか。しかも、信木社長は健康上の理由で社長を退いたのです。健康を害するタイミングが、まるで大臣や国会議員の手口ではないですか。その大臣や国会議員から、後任の山本社長が参考人招致をされ、答弁しているわけです。

東洋ゴム工業株式会社 | プレスリリース (2014年12月4日発行 №1481)より抜粋|
東洋ゴム工業株式会社 | プレスリリース (2014年12月4日発行 №1481)より抜粋|

2014年12月4日、更なる幹部の人事異動が発せられます。就任は2015年1月1日付です。

伊藤常務取締役がダイバーテック技術開発管掌を兼務。
新庄取締役ダイバーテック事業本部長がダイバーテック事業本部から外れます。
市原執行役員ダイバーテック事業本部副本部長が常務執行役員ダイバーテック事業本部長に昇格。
岡崎執行役員化工品ビジネスユニット長が執行役員ダイバーテック事業本部長付新規事業担当に就任します。

新庄取締役ダイバーテック事業本部長は、責任を取らされたのでしょうか?

新庄取締役以外は、昇格人事です。しかも、これまでの経緯の中で、偽装事件に何かしらの関わりを持っています。岡崎執行役員は、2013年に設立した東洋ゴム化工品の初代社長です。偽装の真っ只中の最高責任者だったのではないのでしょうか?

そして1月30日、山本社長、久世専務の出席する会議で
・ 振動試験を 0.015Hz で行うことには技術的根拠がないこと
・ 黒本(大臣認定の取得にあたり、国土交通大臣及び指定性能評価機関に対して提出する性能評価に関する各書類)の記載によれば、振動試験は0.5Hzで行うことが前提とされていると解せざるを得ないこと
・ 出荷された G0.39 の免震性能は、第 1 物件に出荷されたものを除き、大臣認定の性能評価基準に適合しないこと
が報告されました。

この会議の内容をもって、2月2日に今回の社外調査チームとなり中間報告書をまとめた島・大野・常松法律事務所所属の弁護士である小林英明弁護士らに対応を相談し、今後の立会検査と出荷停止が助言されました。

これを受けて、2月6日、信木会長、山本社長、久世専務が出席する会議で、ようやく出荷停止と国土交通省への疑いの第一報の報告が決定します(まだ疑いかよ)。

2月9日、不正を行っていた可能性が強まったことを国土交通省に報告。

そして3月13日・・・

謝罪記者会見が行われました。

週末の謝罪会見でしたから、翌週の株価はストップ安。免震ゴムデータ偽装、大臣認定不正取得の実態が、日を追うごとに明るみになってきました。

3月27日に騒乱の中、株主総会が開催されました。この株主総会をもって取締役8名(常勤5名、非常勤3名)が任期満了でしたが、常勤取締役は、新庄取締役を除き信木会長、山本社長、久世専務、伊藤常務の4名全員が再任です。

はぁ?????

この時点までの記者会見では、「担当者一人がやったこと」と公表してきた役員たちです。経営陣全体で嘘の会見を行っていて、どの顔でまた重任できるのかと思いませんか?

国会では「再発防止策、原因の究明、懲戒や経営責任の明確化を含めたもの等を、(外部調査の)最終報告の受領後、1、2週間で取りまとめたい」と答弁しましたが、すべて社内で起きた、社内の人間が起こした出来事であるのにも関わらず、偽装の疑いの発覚から2年近くも経とうとしているのに、原因の究明がいまだにできていないことのほうが不思議です。

外部調査の最終報告を待たなければ再発防止や処罰すらできない理由は何なのかと考えると、
1)危機意識の欠如
2)担当者レベルの問題ではなく、外部調査の力(証拠)がなければ山本社長が英断をできない(妨害される)組織的或は大物幹部、大物OBが絡んでいる

中間報告書を読む限り、山本社長が常務から代表権を持つ専務に就任した時点では、この事件のことを知らされていなかった可能性すらあります。

隠ぺいとしか思えない理由

国会では、「隠ぺいではない」と発言しましたが、『隠ぺい』としか思えない理由が、中間報告書からうかがえます。

図解のなかでは、会議で出席者が発言しているように描きましたが、実はすべてパワーポイントによる投射での説明が行われていて、一切資料としては配布されず、会議の議事録も作成されていなかったと中間報告書で明かされています。

会長、社長、専務などが出席し、しかもこれだけ重大なことを検討している会議で議事録が作成されていないことが、隠ぺいを前提にことを進めてきた証拠です。

今後最終報告書がまとまるようですが、いい加減にしてもらいたいものです。日本は地震大国なんです。だから高額な免震装置が使われ、マンションの価格だって跳ね上がるのです。

これでは、不安心理を悪用した詐欺商売です。上場企業に値しません。

 【図解】役員全滅!組織ぐるみの東洋ゴム。偽装から親会社報告の経緯
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