4月5日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
モニタリングポストNo.8が故障。バックアップ用の無線式代替測定器も故障(続報)
モニタリングポスト故障の原因は、雨水があふれて電気分が水に浸かったためとの推定が報告されました。
モニタリングポストNo.8の欠測の原因については、4月4日朝方の強い降雨の影響により、モニタリングポストNo.8局舎前の側溝において、排水量以上の雨水が流入したことによりオーバーフローし、当該局舎に流入したことから、電気部品が浸漬し欠測したものと推定。浸漬した機器の点検および部品の交換を実施するとともに、今後、モニタリングポスト局舎周辺の側溝を定期的に清掃していく。
海水の核種分析結果が前回値の10倍以上に上昇
福島第一原子力発電所5・6号機放水口北側、南放水口付近、港湾内の海水の分析結果で、放射性物質の濃度が前回検査の10倍以上に上昇したこと、その原因が降雨により汚染土壌が海に流れ込んだ影響との推定が記載されました。
※海水核種分析結果(沿岸:採取日 4月4日)における福島第一原子力発電所5,6号機放水口北側については、
セシウム134が前回値(4月2日採取)の検出限界値未満(検出限界値0.66 Bq/L)から8.7 Bq/Lに、セシウム137が前回値(4月2日採取)の0.66 Bq/Lから22 Bq/Lに上昇。
また、福島第一南放水口付近については、セシウム137が前回値(4月2日採取)の0.89 Bq/Lから12 Bq/Lに上昇。
また、港湾内海水核種分析結果(採取日 4月4日)における福島第一原子力発電所3号機スクリーン海水のセシウム137が前回値(4月2日採取)の29 Bq/Lから290 Bq/Lに、
4号機スクリーン海水(シルトフェンス内側)のセシウム134が前回値(4月2日採取)の10 Bq/Lから210 Bq/L、セシウム137が前回値(4月2日採取)の25 Bq/Lから560 Bq/Lとなり、
いずれも前回値の10倍以上に上昇。
原因としてはいずれも、4月4日朝方の強い降雨の影響により、福島第一原子力発電所構内外の汚染土壌が海に流れ込んだ影響と推定。
1号機(原子炉格納容器内温度計故障の続報)
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※4月4日午前4時49分から、1号機原子炉格納容器内温度計(PCV温度計:TE―1625T3)の指示値が、17.2℃(午前4時00分時点)から-20.0℃に低下。その他の原子炉格納容器内温度計およびプラントパラメータには、有意な変化なし。(ここまで既報)
現場調査の結果、当該温度計のケーブル接続部(コネクタ)が、保護管(エフレックス)内で水に浸かっていることを確認。また、保護管内の水からケーブル接続部を引き上げたところ、当該温度計の指示値が変動前と同等の値に復帰したことを確認。よって、ケーブル接続部における浸水が指示変動の原因と推定。今後、ケーブル接続部の乾燥を行い、健全性評価を実施予定。
エフレックスとは波付硬質ポリエチレン管(FEP)で、波付構造であるためつぶれにくく、かつ適度なしなやかさを持っている。電線ケーブル用の管路材として広く使われている。
ケーブルを保護するための管路材の中に水がたまり、温度計ケーブルのコネクタが水に浸かったことが故障の原因との見立て。
保護管内部に水がたまった原因については言及なし。
2号機~6号機
新規記載なし
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年3月27日午前9時49分~)
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年3月12日午後3時48分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
サイトバンカ建屋からプロセス主建屋への溜まり水の移送停止を新規記載。
4月4日午前10時15分、集中廃棄物処理施設において、サイトバンカ建屋からプロセス主建屋への溜まり水の移送を開始。同日午後6時10分、移送を停止。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
<最新のパトロール結果>
4月4日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(トレンドによる監視または警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
C排水路のサンプリング結果が、検出限界値未満から360Bq/Lに急上昇。これも降雨により敷地内の汚染土壌が流れ込んだのが原因との見立て。
<最新のサンプリング実績>
4月4日に採取したC排水路35m盤出口(C-2)については、全ベータ値が前回値(4月3日採取)の検出限界値未満(検出限界値15 Bq/L)から360 Bq/Lに上昇。原因として、4月4日朝方の強い降雨の影響により、福島第一原子力発電所構内の汚染土壌がC排水路に流れ込んだ影響と推定。
その他については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
サンプリング結果について記載
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
サンプリング結果について記載
<最新のサンプリング実績>
地下水観測孔No.3-5の全ベータ放射能濃度が300 Bq/L(4月2日採取)と前回値(3月26日採取:22 Bq/L)から10倍以上に上昇した件について、4月4日に採取した値で170 Bq/Lに低下。地下水観測孔No.3-5については、監視を強化していたが、通常の監視に戻す予定。
その他については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
▼3月26日には全ベータ放射能濃度は22Bq/L
▼4月2日に300Bq/L
▼4月4日に170Bq/L
これを受けて「監視を強化していたが、通常の監視に戻す予定」
何を基準にして対応しているのかが、よくわかりません。
1~4号機サブドレン観測井の状況
新規記載なし
※1~4号機建屋に隣接している井戸(サブドレンピット)の浄化試験をした結果、ピット内の溜まり水から放射性物質が検出されており、その流入経路としてフォールアウトの可能性があることから、新たに1~4号機建屋周辺に観測井を設置し、フォールアウトの影響について確認することとしている。
地下貯水槽の状況
サンプリング結果について記載
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年4月5日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: