2014年3月26日 今日の東電プレスリリース

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3月26日(水曜日)公開の「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」を、前日からの変化や変更を中心に見ていきます。

 福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月26日
www.tepco.co.jp  
 東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について|東京電力
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「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」の一覧ページ。過去の「日報」との比較に役立ちます。

燃料取出し作業中の4号機原子炉建屋で、天井クレーンが走行不能

報道各社のニュースでも大きく取り上げられた「天井クレーン停止」。東京電力では、次のように記載していました。

※3月26日午前9時30分頃、4号機使用済燃料プールからの構内用輸送容器の取り出し準備作業を行っていたところ、原子炉建屋天井クレーンにて故障ランプが点灯し、走行不能となった。なお、故障発生時は、原子炉建屋天井クレーンによる構内用輸送容器の吊り上げは行っていない。プラントパラメータ等については、異常は確認されていない。

<参考>
 ・使用済燃料プール水位:有意な変化なし
 ・使用済燃料プール代替冷却系運転状態:異常なし
 ・使用済燃料プール水温度:18.6℃(午前11時現在)
 ・エリアモニタ:有意な変化なし
 ・モニタリングポスト:有意な変化なし

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月26日

4号機での燃料取出しは次のような手順で行われています。

▼まず、燃料取扱機で核燃料をキャスクと呼ばれる容器に移動する(水中での作業)。

▼天井クレーンでキャスクを水中から引き揚げ、蓋をする作業や水を抜く作業を行う。

▼天井クレーンでキャスクを1階のトレーラーに吊り下ろす。

▼トレーラーで別のプールへ輸送する。

<天井クレーン全体(オペレーションフロアより見上げたもの>東京電力のホームページより

<天井クレーン全体(オペレーションフロアより見上げたもの>東京電力のホームページより

天井クレーンが持ち上げるキャスクの重量は91トンと言われています。
天井クレーンとはいうものの、4号機原子炉建屋のもともとの天井は爆発で壊れたあと撤去され、燃料取り出し用カバーという名で増築された巨大な鉄骨構造物に新たに取り付けられたものです。
その天井クレーンで故障ランプが点灯し、走行不能となったのです。

理由は分かっていません。

増設された燃料取出しカバーは、L字を引っくり返した形で原子炉建屋本体に覆いかぶさるように建造されていますが、爆発した原子炉建屋に取り出し設備の荷重がかからない構造になっています。とはいえ、取り出し作業が行われているのは、燃料取出し用カバーがオーバーハングしている部分。地面に固定されている部分の横方向のスパンが2で、オーバーハングのスパンも2。そこで約100トンの重量物を吊り上げたり移動したりが繰り返されているわけです。鉄骨構造物に何らかの歪みが生じたなど、今後の工程に大きな影響を及ぼすトラブルが発生していないことを切に祈ります。

キャスクを吊り下げている時の停止でなかったことは本当に幸いでした。

 (参考資料)福島第一原子力発電所 4号機使用済燃料プールからの 燃料取り出しについて | 東京電力 2013年11月
www.tepco.co.jp  

3号機海側モバイル処理装置での漏えいについて続報

漏れ出した水の分析結果と、事故原因の想定が新規事項として記載されました。

ドレンパン内に漏えいした水の分析結果は以下のとおり。
 ・セシウム-134  1.2×103 Bq/L
 ・セシウム-137  3.5×103 Bq/L
 ・コバルト-60  1.2×102 Bq/L
 ・マンガン-54  9.7×101 Bq/L
 ・全ガンマ 4.94×103 Bq/L
 ・全ベータ 7.3×106 Bq/L
 〔参考:モバイル処理装置処理前の水(吸着塔入口):3月24日採取分〕
 ・セシウム-134 1.1×105 Bq/L
 ・セシウム-137 2.9×105 Bq/L

以上から、ドレンパン内に漏えいした水のガンマ核種の全放射能量は約5.0×105Bq、ベータ核種の全放射能量は、約7.4×108Bqと推定。今後、水の回収を行う。

現場調査として、吸着塔をろ過水により加圧したところ、吸着塔出口空気抜きラインから水が流れ出てくることを確認。

漏えいした原因は、吸着塔出口空気抜きラインの弁シート面からの漏えい*2により、処理水が吸着塔出口空気抜きラインからの水を受けるために接続されているポリタンクに流入し、溢れ出たものと推定。

*2 弁のシート面(液体などの流れを遮る部分)に隙間が生じて、流れを止めることが出来なくなった状態

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月26日

弁(バルブ)の構造がよく分かりませんが、弁のシートは弁の本体の中、実際の流路の中にあって、弁座と密着することで流れそのものを止める部分を言います。弁には弁を動作するためのハンドルなどが外部につながっているので、その部分の隙間はパッキンなどでふさがれます。

記載から想像できる状況としては、

塞ぐべきシート面に隙間が生じ(異物が挟まったのか変形したのかなど理由は不明)、塞げなくなったためエア抜き用のラインに水が流れた。パッキンやガスケットなど、ほかの部品の不具合ではなく、水は直接エア抜きの管路に流れ、通常の操作でも漏れる水を受け止めるためのポリタンクをあふれさせた、ということのようです。

多核種除去設備(ALPS)不具合の続報

3系統あるうちのB系処理停止時に、正常に処理しきれていない汚染水が系外に流れ出て、サンプルタンク、流路、貯蔵タンクを汚染したことから始まった今回のインシデントですが、原因解明や正常な運用はまだ先のことになりそうです。

B系不具合の理由についての調査結果公表、汚染されたタンクや流路を健全性が確認されているA,Cの2系統の処理水を使って浄化という作戦が開始されたその日のうちにサンプルタンクから漏水。A,Cの2系統は処理を停止し循環運転に。

今日はその後についての続報です。

その後、サンプルタンク(C)の水位を下げるため、3月25日午前1時28分から水中ポンプにてサンプルタンク(A)への移送を開始し、同日午前1時50分に当該マンホール部の漏えいの停止を確認。漏えい量は約8Lと推定しており、外部への漏えいはない。その後、当該タンクのマンホールを開けて、フランジパッキンを交換した後、マンホールを復旧し、多核種除去設備(ALPS)A系については同日午後4時3分に運転を再開し、C系については同日午後4時5分に運転を再開。今後、マンホール部の漏えい等の確認を行う予定。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月26日

うまく行くように祈りましょう。

1号機~4号機

新規事項の記載なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆2号機
1号機と同じ4項目

◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年3月12日午後3時48分~)

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

5号機

・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

加えて、非常用ディーゼル発電機の回路確認作業のため、原子炉の冷却を91分間停止したことを新規記載。

※5号機原子炉水冷却は残留熱除去系原子炉停止時モード(SHC)により行っているが、非常用ディーゼル発電機B系の論理回路確認試験を行うため、3月26日午後1時23分にSHCを停止。その後、作業が終了したことから、同日午後2時54分にSHCを起動。なお、原子炉水温度は30.7℃から31.0℃まで上昇したが、運転上の制限値100℃に対して十分余裕があり、原子炉水温度の管理上問題はない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月26日

6号機

新規事項なし

・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況

◆共用プール
新規事項なし

・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

◇多核種除去設備(ALPS)はB系停止中。A,Cの2系統は上記のとおり再開

2月に発生したタンク天板からの漏えい事故に対応し、淡水化装置のソフトウエア改善のために淡水化装置、第二セシウム吸着装置を停止したことを記載。

※H6エリアタンク上部天板部からの漏えい(平成26年2月19日発生)の対策として、淡水化装置制御盤の制御系(ソフトウェア)改善を行うため、淡水化装置を3月25日午後4時35分~3月26日午後2時15分、第二セシウム吸着装置を3月26日午前8時16分~午後2時に停止。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月26日

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

<最新のパトロール結果>
3月25日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(トレンドによる監視または警報監視)においても異常がないことを確認。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月26日

◆H4エリア

※H4エリアIグループNo.5タンクからの漏えいを受け、福島第一南放水口付近、福島第一構内排水路、H4エリアタンク周辺および地下水バイパス揚水井No.5~12のサンプリングを継続実施中。

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月26日

◆H6エリア

※H6エリアC1タンクからの漏えいを受け、H6エリアタンク周辺のサンプリングを継続実施中。

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月26日

1~4号機タービン建屋東側の状況

冒頭でモバイル処理装置についてふれているためか、ここではサンプリングのみの記載

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月26日

地下貯水槽の状況

最新のサンプリングについて記載

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月26日

 福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月26日
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以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年3月26日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太

 【ぽたるページ】今日の東電プレスリリース「ここがポイント」
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