弁ボックスの水溜りが新たに2カ所発覚。多核種除去設備ALPSのB系で処理運転再開。地下水バイパスの海洋排出は五巡目に
8月1日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
弁ボックス内水溜りの追加調査を実施。2カ所で新たな水溜りを発見
※7月19日にお知らせした、5号機原子炉建屋5階オペレーティングフロア(以下「オペフロ」という。)の2箇所の弁ボックス内にある燃料プール冷却浄化系の弁付近に水溜まりが発見された件について、
5号機および6号機原子炉建屋オペフロに設置されている類似箇所の調査を7月29日から30日にかけて実施。
調査の結果、以下の2箇所に水溜まりを確認。
・5号機キャスク洗浄ピット
・6号機サービスボックスNo.6B脇のボックス内
このうち、5号機キャスク洗浄ピットの水溜まりについては、放射能の分析結果から、平成23年3月11日の震災当時に原子炉建屋換気空調設備が停止していたことにより、5号機オペフロが湿潤環境下となり、その水が滴下して当該ピット内に流入したものと推定。
また、6号機サービスボックスNo.6B脇のボックス内の水溜まりおよび7月19日に発生した5号機オペフロにある2箇所の燃料プール冷却浄化系の弁ボックス内の水溜まりについては、放射能の分析結果から、使用済燃料プールの水と近い値であることから、震災当時に使用済燃料プール水が流入した可能性が考えられ、さらに震災当時に原子炉建屋換気空調設備が停止していたことにより、オペフロが湿潤環境下となり、その水が滴下して当該ピット内に流入したものと推定した。
なお、他の類似箇所についても、オペフロ湿潤環境下での滴下水や使用済み燃料プール水の流入があったと推定されるが、ピット内に設置してある排水口によってドレンサンプピットに排水されたものと考えている。
多核種除去設備(ALPS)B系の処理運転を再開
微小なすき間腐食の対策として犠牲陽極を設置、またALPS各系のトラブルの原因となっていたクロスフローフィルターの改良型への取り換えを、鉄共沈処理のプロセスにも予防的に展開。これらの対策を終えて、B系の処理運転を再開。
その後、これらの作業が完了したことから、8月1日午後2時24分に多核種除去設備B系の処理運転を再開。処理運転再開後、運転状態に異常がないことを確認。
7月31日、熱中症で救急搬送された協力企業作業員の診断は「持病」
診察の結果、熱中症と診断され、緊急搬送の必要があると判断されたため、同日午前10時45分に救急車を要請。なお、当該作業員に身体汚染はない。その後、午後0時5分に福島労災病院へ到着。(ここまで既報)
同病院で診察を受けた結果、持病と診断された。
7月31日、口周りに汚染が見つかった協力企業作業員のホールボディカウンター検査結果
その後、鼻腔および口腔に汚染はなく内部取込みはないことを確認。なお、念のためホールボディカウンタを受検したが、結果については前回受検時の値と変わらなかった。
地下水バイパスの海洋排出を開始。通算13回目、グループ1のタンク群から(報道一斉メール)
本日(8月1日)午前10時27分、福島第一原子力発電所における地下水バイパス一時貯留タンク(Gr1-1,Gr1-2,Gr1-3)に貯留してある水の海洋への排水を開始いたしました。
排水状況については、同日午前10時35分に漏えい等の異常がないことを確認しております。
なお、当該タンクにおける分析結果については、当社ホームページに掲載しておりますので、ご参照願います。
URL:http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/2014/images/bypastank_140725_01-j.pdf
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆2号機
1号機と同じ4項目
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月16日午後2時42分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動(4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検により、一時中断)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス ~13回目の海洋排出について記載
※1~4号機原子炉建屋等への地下水流入抑制対策として設置した地下水バイパス設備の地下水バイパス揚水井から一時貯留タンクに汲み上げていた地下水について、一時貯留タンクグループ1から採取した水[採取日7月21日]の当社および第三者機関による詳細分析結果は同等の値であり、共に運用目標値を満足していることを確認したことから、8月1日午前10時27分、海洋への排水を開始。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
平成26年7月31日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年8月1日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: