日本海側でも発生する巨大津波災害
太平洋側で発生するプレート境界地震と巨大津波のメカニズムについては、知っている人、ほかの人に説明できるくらい詳しく理解している人も多いでしょう。しかし、日本海側で発生する津波地震のメカニズムは、あまり知られていないのでは?
たしかに日本海溝や南海トラフのようなはっきりしたプレート境界はないらしい。でもこれまでに日本海で発生した津波で大きな被害が出ています。
1983年5月26日の日本海中部地震では100人の方がたが犠牲となりました。遠足で海辺を訪れていた小学生13人が亡くなるという痛ましい出来事もありました。
1993年7月12日には北海道南西沖地震が発生しました。奥尻島では地震から約5分後の津波で死者・不明200人以上という大きな被害を出しました。この地震による津波は最大波高16.8m、遡上高が30mに達したということです。
日本海の地震・津波のメカニズムは『調査中』
たとえば、平成25年8月26日に開催された「第4回 日本海における大規模地震に関する調査検討会」の議事要旨に、こんな表現が出てきます。
○ 日本海の地震・津波は、発生頻度が低いため、地震・津波の発生履歴や規模等が明らかでない。そのため、本検討会では、海域の活断層に関する独立行政法人産業技術総合研究所等の最新の知見を活用して検討を進める。
太平洋側を震源とする巨大地震については、プレート境界の動きとか、アスペリティとかスロースリップとか詳細な話が出てくるのに、日本海側の地震・津波についてはずいぶん歯切れが悪い。何しろこれから「最新の知見を活用して検討を進める」ということなのです。
現状を見て、危機感をもって、減災アクションを!
この検討会は2014年2月20日の第6回まで開催されています。日本海側の海沿いにお住いの皆さんには、ぜひ調査検討会の配布資料をご覧いただきたいのです。
•海岸から100〜200km以上離れた海域では、反射探査測線が少なくなるが、断層の密度も低下するように見える。
•断層の活動時期及び頻度に関しては、十分なデータが得られていない。
•火山噴火及び海底地滑りによって発生する津波については検討できていない。
防災計画に活用するために、また災害による被害をできるだけ減らすために、作業が急がれていることはよくわかります。しかし、調査検討会の資料の言い回しやニュアンスを目にすれば、自主的に防災・減災のアクションを起こさなければと、身につまされて感じることと思います。
3月です。東日本大震災から三年となる3月です。
皆さんそれぞれがお住いの土地の防災について危機感を持つことが、きっと防災・減災の第一歩なのだと考えます。
文●井上良太
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