気象庁は07時20分、種子島・屋久島地方、奄美群島・トカラ列島、鹿児島県西部に発表していた津波注意報を解除した。
津波注意報発表の原因となった地震は、14日05時51分頃に鹿児島県の西方沖で発生。九州西部を中心に最大で震度4の揺れがあった。
平成27年11月14日05時59分 気象庁発表
14日05時51分頃地震がありました。
震源地は薩摩半島西方沖(北緯30.9度、東経128.7度、枕崎の西南西160km付近)で、震源の深さは約10km、地震の規模(マグニチュード)は7.0と推定されます。
川内原発の「お向かい」で起きた地震
土曜日の朝の眠りを覚まされた人もいただろう。マグニチュード7.0の地震が枕崎の西南西160km、深さ10kmの場所で起きたのだ。気象庁が発表した薩摩川内市域での震度は最高で4だったが、余震も続いた。おそらく地元の人たちは気が気でなかったのではないだろうか。
1997年3月26日の鹿児島県北西部地震のマグニチュードは6.5、同じく1997年5月13日に発生した第2鹿児島県北西部地震は6.1。直下型で震度震度5強(3月26日)、震度6弱(5月13日)の地震とはタイプは違うものの、今朝の地震のマグニチュード7という規模は、津波を懸念するに十分な大きさのものだ。
気象庁は地震発生の5分後には、津波注意報を発表した。
地震の震源とされたのは枕崎の西南西160km付近。川内原発がある薩摩川内市からの距離も200kmも離れていないということになる。
しかも震源が約10kmと浅い。浅いと海底の地形が破壊されやすくなる。津波は海底地形の急激な変動によって起きるので、マグニチュードが同じ規模でも、海底地形の壊れ方によって津波の規模は変わる。
西日本では南海トラフで大地震が発生した際の巨大津波が懸念されている。川内原発に関しては噴火の影響を懸念する意見は火山の専門家の間でも根強い。97年に相次いだように直下型地震の危険は全国どこにでもある。そしてプレート境界からは離れた海底の浅い場所で発生し、かつ小規模ながらも津波を伴った今回の地震は、これまで心配されてきた他にもリスクが存在することを示している。
今朝の地震が大きな被害を引き起こすものでなかったのは幸いだった。しかし、非科学的との誹りを受けかねないのを承知の上で言わせてもらうが、再稼働の必要性についての十分な説明もなく、近隣住民の避難計画すら十分なものでないまま今年8月11日に1号機、10月15日に2号機を最稼働した川内原発に、誰かが警鐘を鳴らしているように思えてしまうのである。警鐘を鳴らしているのが地球なのか神なのか、あるいはユングの言う人間の集合的無意識なのか、それは分からない。
ひとつ言えるのは「やばい!」という直感はけっこう当たってしまうことが多いということだ。それはおそらく多くの人が経験的に知っていることだろう。動物が何億年もの長いサバイバルの積み重ねの中で身に付けてきた感覚を、非科学的な経験則に過ぎないと退けられるほど人類は偉くはないはずだ。
付記
14日6時26分、震源の南方、トカラ列島の中之島で津波の第一波を観測。押し波タイプの津波だった。観測された最大波は6時45分に観測した0.3メートルだったと気象庁は発表した。(6時55分・7時24分発表)
今回気象庁が津波注意報を発表したのは14日5時56分。注意報解除は7時20分。予報が出されていた時間は84分間だった。
7時50分、気象庁は記者会見を開いた。この地域で発生する通常の地震に比べて規模の大きい地震だったこと、1週間ほどは震度3程度の余震のおそれがあることなどが説明された。発表資料では、発震機構(地震のタイプ)は北西-南東方向に張力軸を持つ横ずれ断層型(速報)であると示している。大きな津波につながりにくい横ずれ断層型の地震だったことが、地震の規模に比べて津波が小さくて済んだ理由との示唆だろう。
9時45分現在、九州電力のホームページトップ「新着情報」に、この地震と津波に関する情報・説明は掲載されていない。
9時45分現在、原子力帰省委員会のホームページトップ「新着情報」に、この地震と津波に関する情報・説明は掲載されていない。
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