霞が関界隈を歩いていると、脱原発や特定秘密保護法反対の主張をする人たちだけではなく、多種多様な考え方の人に出会う。ふつうの市民、マスコミ的な言い方をするなら「庶民」の怒りを買っているもうひとつ同時進行している重大事項が、猪瀬都知事の問題だ。
無名である。ふつうの人である。そんな草莽の志士
東京都民でない自分は、ことの深刻さをいまイチ理解していなかった。ところ変われば関心まで変わってしまうという、よくない例として自戒するところ。
で、そんな自分が霞ヶ関界隈、横断歩道を渡ろうとしたところで、「パソコンとかツィッターとかできんから、これをたくさん広めてほしい」と、初対面のおじさんから渡されたのがこの狂歌。
五千万 トクダトクダと思ったが 今じゃ心はチジに乱れる
ーー乱鬼龍
乱鬼龍さんの狂歌
「うまい!」んだけど、下の句がちょっと弱い。だがそれは乱鬼龍さんのせいではなくて、しどろもどろ答弁でなんとか逃げ延びようとしている猪瀬知事自身の「弱さ」に起因するものだろう。
選挙に出馬しようと思うってだけで5000万円も貰えるなんて、毎日苦しい生活を送る市民感情として許せない。その感情は十分に伝わってくる。
国会議事堂の周辺で声を上げているのは、政治的イデオロギーに洗脳された「ふつうじゃない人たち」というサインを送ろうとしている人がいる(あの幹事長のように)。でも、実際に出会ってみるとそんなことはない。狂歌の主のおじいちゃん(すみません)のような愛すべき人たち、一般人というほかない主婦や学生、高校生たち、自転車でやってきたという地方議員、脱原発テントに「こんちわ~」と顔を出す近所の会社勤めの人。そんな、ある意味「無名の人たち」が、霞ヶ関界隈の人口密度を増加させている。
そんな、いわば草莽の志士たちが声をあげているのだ。
知事の件が「今」ということも含めて戦略だったら?
しかし本音を言うと、いまはポイントを絞ることが大切なのでは、とも思う。特定秘密保護法案が「衆議院」での委員会審議に掛けられた当初、ホテル等のメニュー誤表記問題ばかりが取りざたされて、きわめて重要性の高い法案についての関心が減殺されたことは記憶に新しいところ。
参議院での審議が大詰めを迎えている時、とにかく一本に集中した方がいいのでは。
猪瀬さんのことは、もうあと数日後でもいい。いまは、あれでしょ!
しかしそいつは12月6日の真夜中に多数決をとられてしまったか。
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●TEXT+PHOTO:井上良太
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