【ヤングなでしこ】日本VSニュージーランド・・・若さが出たヤンなで!メンタルに課題も 《U-20女子ワールドカップ》

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皆さんは『なでしこジャパン』の下の世代、『ヤングなでしこ』の存在を知っていますか?U-20代表と呼ばれている20歳以下の若い選手達です。彼女達の最大の目標になっているのが2年に1度開かれるFIFA U-20女子ワールドカップです。

今回で6度目となるこの大会。2012年8月19日から日本で開催されています。世界6大陸から全16カ国が参加して計32試合が行われ、優勝に向けてし烈な争いを繰り広げています。今回は予選グループリーグ第二試合、日本VSニュージーランドの対戦レポートをお届けしたいと思います! 

まさかの2失点!日本のDFはパニック状態に・・・

予選グループリーグ第二戦は最も警戒しなければならない相手、ニュージーランドです。2連勝で勝ち点6を挙げれば決勝トーナメント進出が確実視されるだけに何としても勝利を収めたいところ。日本のシステムは4-2-3-1、メキシコ戦で得点を挙げた田中陽子と横山久美を先発に起用しました。右に横山、左に仲田歩夢、中央に田中陽子という突破力のあるMFを3枚置いて、スピードに弱いニュージーランドのディフェンスをサイドから揺さぶろうという作戦です。

対するニュージーランドのシステムは4-3-3。ドイツワールドカップで活躍したウィルキンソンとホワイトという強力なFWを前線に置き、ロングボールからパワープレーでカウンターを狙います。ゲーム序盤、日本は高さとパワーのあるニュージーランドのFWに苦しめられます。前半11分、左サイドのCKがファーサイドに流れ、中央へ折り返したところにFWウィルキンソンが飛び込みます。混戦からのこぼれ球を仲田がクリアミスしてオウンゴール!いきなり先制点を奪われます。

ニュージーランドのFWは170cmを超える高さを持ち、長いリーチを生かしたスピードあるドリブルから個人の力でディフェンスを突破してきます。前半15分、右サイドを突破したウィルキンソンが中央にクロスを入れ、ホワイトがワントラップから振り向きざまにシュート!これがゴール右隅に決まって2点目をゲット!日本はDF2人でFWを囲みながら簡単にゴールを許してしまいます。

まさかの2失点で動揺したDF陣はパニックに陥りました。センターバックの高木と土光はロングボールの競り合いに勝てず、サイドからドリブルで仕掛けられると簡単に振り切られていました。ディフェンスの人数が足りていてもタックルに行く選手とカバーに入る選手のポジションが重なってしまい、組織的な守備が機能しないことが原因です。

田中陽子が追撃のゴール!粘り強い戦いで2-2のドロー

巻き返しを図りたい日本は前半29分、動きの悪い仲田歩夢を下げてMFに西川明花を投入。中盤でボールが回り始めたことでリズムを取り戻します。引き気味になったニュージーランドのディフェンスに前線から激しいプレッシャーをかけてボールを奪い、西川と横山がサイドからドリブルで仕掛けて攻撃の起点を作ります。前半37分、西川が右サイドでDFを1人かわすと中央にクロスを入れます。クリアミスしたディフェンスに田中陽子が詰めてボールを奪取。田中はそのまま右足を振り抜いて強烈なシュート!ボールはDFの足に当たってゴールに吸い込まれます!

前半を1-2で折り返した日本。後半に入るとサイドから西川と横山が、中央から田中陽子がドリブルで突破を図りますが、前線で選手が孤立してしまうことでボールが繋がらず、ディフェンスを崩し切ることができません。後半26分、右CKを田中陽子がクロスを入れ、ニアサイドに飛び込んだFW道上がヘディングシュート、地面を叩きつけたボールはDFの間をすり抜けてゴール!遂に同点に追いつきます。逆転の3点目を狙いにいく日本は最後まで攻撃の手を緩めませんが、ニュージーランドの粘り強い守りに防がれてタイムアップ。2-2の引き分けで終了しました。

若さが出たヤングなでしこ。2点先取されたことで冷静さを失う

田中陽子や横山久美を始めとして、ヤングなでしこはスピードとテクニックに優れたプレーヤーが多くいます。しかし、日本の選手はフィジカルコンタクトに劣るため、個の突破でシュートまで持ち込む力はありません。1人~2人はかわせても3人目に囲まれたところで潰されてしまいます。バイタルエリアからペナルティエリア内のプレッシャーのかかるエリアでは、選手が組織的に連動しながらボールを回すことが必要です。選手の個性を生かしながら、速いパス回しでディフェンスを崩していく戦術は『なでしこジャパン』と変わりありません。

しかし、2点先取されたことで日本は冷静さを失って周りが見えなくなりました。個人のドリブルや一発のミドルシュートに頼ってしまうことで攻撃が単調になり、守備網に穴を空けられませんでした。FW道上彩花が前線でポストになろうとしても、中央にパスが出ないことでタメが作れず、チーム全体を押し上げる時間が作れませんでした。ボランチの猶本光や藤田のぞみがバイタルエリアまで入ってくるような動きが見られないとゴールまでは遠いでしょう。

その典型が仲田歩夢の交代だったと思います。仲田はキープ力とパスセンスに優れており、左サイドでタメを作りながらサイドバックやボランチのオーバーラップを引き出すプレーが得意です。しかし、この試合では単調なクロスボールを入れてはDFに跳ね返され、サイドから強引に突破を仕掛けは潰されるなど攻撃に工夫が見られませんでした。2点先取されたことで精神的に焦りが出て、縦に急ぎ過ぎてしまった結果でしょう。

好調のFW道上彩花と田中陽子を攻撃の柱に!

コンビネーションプレーが全く機能せず、沈黙する時間が長かった日本ですが、FW道上彩花とMF田中陽子のプレーは90分を通して光るものがありました。道上は前線で孤立してしまい、ボールを触る機会がほとんどありませんでしたが、前線で質の高い動き出しを繰り返してDFの裏を何度も取っていましたし、ポストプレーも非常に安定しています。中央に構える道上にボールが集まれば、味方のサポートも上手く引き出せて攻撃に厚みが出ていたでしょう。

2試合連続ゴールの田中陽子ですが、ドリブルで仕掛けても良し、スルーパスを出しても良し、シュートを打っても良しと、全てのプレーがキレていたように感じます。1点目のシュートも彼女の積極性から生まれた得点ですし、後半30分にワントラップから鋭い切り返しでDF2人をかわして放ったシュートはジャストミートしませんでしたが、シュートまでは完璧なプレーでした。

後半途中から左サイドにポジションを変えた田中陽子。それまで左サイドを努めていた仲田と横山は左サイドにポジションを開き過ぎて孤立していましたが、田中は左サイドから中央に流れてワンツーを狙ったり、選手間の距離を縮めながらコンビネーションをサポートしていました。

キープ力と判断力に優れる道上と田中陽子を攻撃の軸に据えることで、日本の攻撃は有機的に機能し始めると思います。個の能力に優れたヤングなでしこですから、コンビネーションプレーの質を高めれば『なでしこジャパン』にも負けない恐さのある攻撃が見られるでしょう。

総括

予選グループリーグ第二戦を終えて日本の勝ち点は4。次戦のスイス戦では引き分け以上で決勝トーナメントへの進出が確実になります。是非とも勝利で終えて勢いをつけて欲しいと思います!

関連リンク

 【ヤングなでしこ・対戦レポート】 《U-20女子ワールドカップ》 全試合・リンク集
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 【ヤングなでしこ・選手名鑑】 《プレースタイル》 全選手・リンク集
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