『なでしこジャパン』の下の世代、『ヤングなでしこ』の存在を知っていますか?U-20代表と呼ばれている20歳以下の若い選手達です。2012年8月19日より、FIFA U-20ワールドカップが日本で開催されています。選手はこの大会で自分の力をアピールし、ビッグクラブへの移籍やA代表への選出を目標にしています。今回はヤングなでしこのポストプレイヤーとして攻撃を牽引するフォワードの道上彩花選手のプレーの魅力に迫ります!
将来を嘱望される18歳の女子高校生プレーヤー
道上彩花は常盤木学園高校のエースストライカーとしてチームを牽引する現役女子高生です。同校は日本女子サッカーリーグの2部に相当する『なでしこチャレンジリーグ』東ディビジョンに所属し、初年度から2年連続でリーグ優勝しているサッカーの名門校です。現在、道上選手は31試合で25ゴールを叩き出しており、2位を大きく突き放して断トツの得点王を保持しています。その活躍が認められてU-20日本代表に選出されたわけですが、今回のU-20ワールドカップでは初戦からレギュラーフォワードとしてフル出場し、得点も記録するなどオフェンスの中心的な存在になっています。
日本人離れしたスケールを持つ大型フォワード
身長170cm、体重65kgという大柄な体型であり、体幹の太い屈強な身体を持っています。おそらく対戦相手には数字以上に大きなプレッシャーを与えているでしょう。なでしこジャパンの大型フォワードと言えば大儀見優季選手の姿が思い浮かびますが、それよりも更に一回りか二回りは大きく感じられます。まるで欧州のセンターフォワードを思い起こさせる身体は日本人離れしたスケールの大きさを持っています。
ポスト大儀見としては十分過ぎる能力
ポストプレーヤーとして日本屈指の能力を持つ道上彩花。強靭なフィジカルを生かしたコンタクトプレーの強さは群を抜いており、ペナルティエリア内で背後からタックルを受けても倒れることなくボールキープできる強さがあります。身体の使い方が上手く足元の技術も優れており、ディフェンダーに囲まれても柔らかいタッチから正確なトラップでボールを収めます。
視野が広く優れたパスセンスを持つのも特徴です。プレッシャーの強いバイタルエリアの深い位置でボールを受けた場合でも、ディフェンスを背負いながら顔を上げて周囲を見渡し、サポートに入ってくるフリーの選手に絶妙のタイミングでボールを落として攻撃のリズムを生み出します。
独力突破も可能な破壊力ある個人技
大柄な割にはスピードもあり、前を向いてボールを持てば力強いドリブルで一気にペナルティエリアに侵入。ディフェンダーを振り切って一人でシュートに持ち込む力があります。また、左右両足から放たれるミドルシュートも強烈です。ディフェンスの一瞬の隙を見逃さず、振り向きざまに豪快なミドルを放ってゴールを脅かします。長身を生かした空中戦の強さにも定評があり、特にセットプレーからのヘディングシュートは得点源の一つになっています。
予選グループリーグ第二試合、ニュージーランド戦で見せた同点のヘディングシュートは打点の高さもシュートコースも完璧でした。近い将来、間違いなくA代表に選出される選手だと思いますが、センターフォワードの大儀見優季からレギュラーを奪い取るチャンスは十分にあるでしょう。
代えの利かないセンターフォワード、道上を生かしたチーム戦術を!
U-20代表は4-2-3-1というシステムを採用していますが、1トップとしてセンターフォワードを務める道上の生かし方でチーム戦術の機能の有無が決まると言っても過言ではありません。ヤングなでしこはサイドアタックを攻撃の基本にしていますが、横山久美や田中美南、仲田歩夢などのオフェンス陣がサイドに偏ってしまう傾向があり、両サイドのスペースを消されるとディフェンスを崩し切れない場面が目立ちます。中央に構える道上に一旦ボールを預けることでディフェンスが中央に引き付けられて、サイドに攻撃のスペースが生まれるのですが、予選リーグの戦いを見る限り道上を効果的に使うプレーが少ないように感じます。
総括
道上彩花が累積警告や怪我による出場停止を起こした場合、誰が代わりを務めるのでしょうか。左サイドバックの浜田遥は173cmと長身で、クラブチームではフォワードとしてプレーしていますが、彼女が道上の代わりを務められるのかは未知数です。道上を生かすか殺すかでヤングなでしこの命運は大きく変わるでしょう。彼女のポストプレーから生まれる多彩なコンビネーションに期待したいと思います!
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