冬は寒いのが当たり前。寒ければ水は凍るもの。と、言葉では理解しているつもりでも、目にしてびっくりすることがある。
神社の手水舎の水盤が、凸レンズのように盛り上がって凍りついていた。
ここは陸前高田から車で約1時間、遠野三山のひとつ、六角牛山(ろっこうしさん)のふもとに鎮座する六神石(ろっこうし)神社。雪深く寒さが厳しい遠野ならではの光景かもしれない。
龍の口からの流れは細り、柄杓に水をとるのにも苦労するほど。それでも清水は凍り付くことなく、静かに流れる。それは奈良時代の昔から霊山として尊崇されてきた六角牛山の霊験を示しているのか。
あるいは、この地に住まう生きとし生けるものが、厳しい自然の中でつないできた、太古からの命の流れをあらわすものなのか。
珍しさにびっくりして見つめるうちに、いつしか引き込まれてしまう。
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