【東北の風の道】(6号)さよなら三月、また来て四月

3月に入ると気が早い人たちはもう春だ、春だと語り合うようになった。伊豆の河津桜のニュースを見た人が、「高田にも河津桜があるのよ」と教えてくれた。「下和野の浄土寺の境内よ」というので何度か探してみたのだが見つからない。

それもそのはず、教えてくれた人は、「早く咲いてほしい」と思って「木がある」という事実を教えてくれたのだが、こっちは、河津桜といえば早咲きの桜だからとてっきり咲き始めたのだと早合点して、ピンクの花が枝についている様を想像して探していたからだ。

3月の中旬には福島のいわき市あたりでも河津桜開花のニュースが伝えられていた。しかし同じ東北でも福島と岩手では開花時期にも違いがあるらしい。

陸前高田、浄土寺さんの河津桜は、年度を越えて4月になって、それも中旬近くになってようやく咲いた。

よく言われることだが、北国では春になるといっせいに花が咲く。河津桜の故郷である伊豆半島では、2月に入って咲き始め、花期が長いのが特徴とはいうものの3月中旬頃には散ってしまう。だからソメイヨシノが咲くまでに間が空いてしまう。

その点、咲き始めるのが遅い東北北部では、河津桜が花開いてから数週間のうちにはソメイヨシノも咲き始めるから、河津桜とソメイヨシノを同時期に楽しめる。

とはいえ、春になって一斉に花開く北国は、それだけ寒い期間が長い。春先の気温はとても不安定で、日中の気温が20度近くまで上がった翌日の最高気温が5度前後ということも稀ではない。朝晩の寒暖差も大きい。

年度末の31日深夜にはみぞれが地面を濡らし、翌早朝には氷も張った。

3月から4月にかけて、季節は大きく移り変わる。一気に変わったかと思えば行きつ戻りつしたりしながらも変化が進む。変わっていくのは季節ばかりではない。震災から7回目となる年度越え。3月から4月にかけての変化を集めてみた。