キャンドルを灯しました。
自分が今日も生きていて、ご飯を食べたり友人と話したり、新しい友人に出会えたりすることができた幸せを感謝します。
東北の被災地の町の多くでは災害復興公営住宅の建設が急ピッチで進められています。陸前高田では9階建て2棟の巨大な集合住宅の引き渡しも間もなくです。かさ上げが進められてきた大槌町では、住宅地の道路舗装や電柱の敷設が進められています。漁港近くでは水産加工場の工事現場があちこちで見られます。地鎮祭をしたばかりという土地もけっこう見かけます。
被災した町はどんどん変化を続け、数カ月の間に雰囲気が一変してしまうこともあります。しかし、すべてがまるで整列して前に向かって行進しているような状況でないことは確かです。もしもそんな印象があるとしたら、それは幻想に過ぎません。たとえば人的被害が非常に少なかったことから「奇跡の~」と呼ばれる町が東北にはいくつかありますが、地元の人たちは自分たちのことを「奇跡」なんて呼ぶことはありません。
生き残った人、死を免れた人のその後にこそ震災のもうひとつの現実があります。あまりにも当たり前のことですが、災害の当初を生き延びた後に、長い長い現実が進行していくのです。
東日本大震災の発生から5年3カ月。熊本地震から14日で2カ月。阪神淡路大震災の発生からもうすぐ21年と5カ月。明治三陸津波地震から間もなくまる120年。数えることができる時間の区切りとは違う、時間の流れというものを思わずにいられません。
2016年6月11日、キャンドルを灯しました。いまは灯すことしかできなくても、灯すことで少しは近づけるように感じています。
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