【次の焦点は?】高浜原発3,4号運転差し止め

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福井県にある関西電力高浜発電所(高浜原発)3,4号機について、滋賀県にある大津地裁が運転差し止めを命じる仮処分を決定した。関西電力は即刻異議の申立てを行うことになるだろう。しかし仮処分は即時効力があるため、高浜3,4号機は運転停止されることになる。地元の福井新聞はWeb版で次のように伝えた。

 関西電力高浜原発3、4号機(高浜町)の運転差し止めを求めて滋賀県の住民が申し立てた仮処分について、大津地裁(山本善彦裁判長)は9日、差し止める命じる決定をした。仮処分は即時効力があるため、関電は不服申し立て手続きなどで決定を覆さない限り、2基を法的に運転できない状態となった。営業運転中の3号機も即時、停止の手続きに入る必要がある。

高浜原発3、4号運転差し止め 福井の速報|福井新聞ONLINE:福井県の総合ニュースサイト

運転中の原発に運転差し止めの処分が出されるのは初めてだ。

仮処分申請したのは滋賀県内の住民29人。申請は昨年1月だったという。

ということは、4号機で一時冷却水が漏れるトラブル(今年2月20日)や、再稼働して発電を始めた直後に緊急停止(今年2月29日)したことを受けての判断ではない。NHKのニュースウェブによると――

決定で大津地裁の山本善彦裁判長は「福島の原発事故を踏まえた事故対策や緊急時の対応方法、基準となる地震の揺れの策定についても危惧する点がある」などと指摘しました。さらに、「想定される地震の最大の揺れを評価する方法のもととなるのは、過去に起きた14の地震で、サンプルの少なさからすると科学的に異論のない方法と考えることはできない」と指摘しました。
そのうえで、「津波対策や避難計画についても疑問が残り、住民の権利が損なわれるおそれが高いにもかかわらず、安全性について電力会社は十分な説明を尽くしたとは言えない」として、3号機と4号機の運転の停止を命じる決定を出しました。

高浜原発3・4号機 運転停止命じる仮処分決定 NHKニュース

つまり、再稼働云々以前に、この原発が抱える根本的な問題点が指摘されたわけだ。

福島の原発事故の総括はおろか、融け落ちた炉心のありかすら分からず、今後の廃炉がどう進められるかも不透明だ。原発事故で破壊された地元の人たちの生活再建も、その道筋すら立っていない。そんな状況の中で原発の再稼働が推し進められること自体、異常というほかないわけだから、今回の大津地裁の判断は、国民の感覚に近いまっとうなものだと言えるだろう。

しかし高浜原発については、福井地裁が昨年4月、運転を禁じる仮処分を決定した後、担当した裁判官が人事異動となり、12月には別の裁判官が仮処分を取り消した経緯がある。3号機,4号機の再稼働が進められてきたのは、この仮処分取り消しがあったからに他ならない。

運転差し止めの仮処分が出されたのを受けて、菅義偉官房長官は記者会見で「再稼働を進める方針に変わりはない」と明言。司法判断に行政府が公然と物言いをつける状況になっている。

関西電力は不服申し立てを行なう方針とのことなので、次の司法判断がどうなるか注目される。この国の在り方が浮き彫りになる重大な判断になるのは間違いないだろう。

 高浜原発3、4号運転差し止め 福井の速報|福井新聞ONLINE:福井県の総合ニュースサイト
www.fukuishimbun.co.jp  
 高浜原発3・4号機 運転停止命じる仮処分決定 NHKニュース
www3.nhk.or.jp  
 官房長官「再稼働の方針変わらず」 高浜差し止め決定で:朝日新聞デジタル
www.asahi.com  

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