11月21日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
水素爆発等を防ぐため原子炉格納容器に窒素を封入する「非常用窒素ガス分離装置」を年次点検で停止。停止中は「特定原子炉施設の保安」の待機除外として取り扱う
※11月24日から12月21日にかけて、原子炉格納容器内窒素封入設備である非常用窒素ガス分離装置(通常は待機状態)の本格点検(年次点検)を実施する。非常用窒素ガス分離装置の点検中は、待機除外となる。
非常用窒素ガス分離装置は、特定原子力施設に係る実施計画「III 特定原子炉施設の保安」(以下、「実施計画」という。)第1編第25条において、運転上の制限*「非常用窒素ガス分離装置(非常用窒素ガス分離装置用ディーゼル発電機を含む)が動作可能であること」が求められており、
点検中はその運転上の制限を満足出来ない状態となることから、実施計画第1編第32条第1項(保全作業を実施する場合)を適用し、計画的に運転上の制限外に移行し、点検を実施する。
なお、点検期間中、非常用窒素ガス分離装置の起動が必要となった場合には、速やかに起動可能な状態に復帰する等の安全措置を定めたうえで点検を実施する。
※:実施計画第1編第25条において、窒素ガス分離装置は以下の運転上の制限が設けられている。
「窒素ガス分離装置1台が運転中であること及び非常用窒素ガス分離装置(非常用窒素ガス分離装置用ディーゼル発電機を含む)が動作可能であること」
【注目点】法令で安全のために指定されている条件から逸脱することになるが、点検のため停止。停止中も「非常用窒素ガス分離装置の起動が必要となった場合には、速やかに起動可能な状態に復帰する等の安全措置」をとると発表されているが、ハードとしての多重防護がない以上、綱渡り対応になるのは否めないだろう。
1~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◎日報に新規事項の記載なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクFから海洋排水を実施。排出量は684トン
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクFの当社および第三者機関による分析結果[採取日11月10日]については同等の値であり、運用目標値を満足していることを確認したことから、11月20日午前10時12分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、午前10時30分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
その後、11月20日午後2時53分に排水を停止。排水停止状態に異常がないことを確認。排水量は684m3。
サブドレン・地下水ドレン 連日の海洋排水。一時貯水タンクGから海洋排水を実施。排出量は742トン
※また、一時貯水タンクGの当社および第三者機関による分析結果[採取日11月12日]については同等の値であり、運用目標値を満足していることを確認したことから、11月21日午前10時より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、午前10時20分に漏えい等の異常がないことを確認。その後、午後3時6分に排水を停止。排水停止状態に異常がないことを確認。排水量は742m3。
地下水バイパス 揚水井No.10のトリチウムが過去最高値
◎日報に新規事項の記載なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
11月20日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H4エリア周辺地下水【E-1】全ベータ濃度(単位:Bq/L)
採取日 11/12 11/13 11/14 11/15 11/16 11/17 11/18 11/19
E-1 3,300 4,100 4,000 3,800 6,100 7,300 5,100 2,500
浪江雨量(mm)0.0 0.0 44.5 4.0 0.0 1.0 38.5 11.0
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H6エリア周辺地下水【G-1】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 11/12 11/13 11/14 11/15 11/16 11/17 11/18 11/19
G-1 ND(110) 200 180 120 160 250 300 510
浪江雨量(mm) 0.0 0.0 44.5 4.0 0.0 1.0 38.5 11.0
H6エリア周辺地下水【G-2】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 11/12 11/13 11/14 11/15 11/16 11/17 11/18 11/19
G-2 1,000 390 370 2,600 2,400 4,600 690 1,200
浪江雨量(mm) 0.0 0.0 44.5 4.0 0.0 1.0 38.5 11.0
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
1~3号機放水路
◎日報に新規事項の記載なし
K排水路
<最新のサンプリング実績>
11月20日採取分の分析結果については、セシウム134、セシウム137、および全ベータの値が、前日の分析結果よりも低下していることを確認。
関連データ(東京電力以外のサイト)
最終更新: