2月17日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
[続報]瓦礫一時保管テントの屋根破損
※2月16日午前11時15分頃、発電所構内北側にある瓦礫一時保管エリアA1のAテントにおいて、屋根の一部が破損していることを当社社員が確認。同日午前11時24分、2月15日朝以降のモニタリングポストおよび構内ダストモニタの指示値に有意な変動がないことを確認。(既出)
その後、状況を確認した結果、屋根(縦:約51m、幅:約35m、面積:約1,785m2)の上部北西側末端部でシートが縦:約3.6m、幅:約15m(面積:約54m2)に亘って破れていることを確認。なお、当該テントには周囲を土のうで遮蔽している高線量金属瓦礫(線量30mSv/h未満)約20m^3と金属容器に封入している高線量金属瓦礫(線量30mSv/h未満)約120m^3を保管している(保管容量は2,400m^3)。また、当該テント外側の空気中放射性物質濃度は屋根破損後も検出限界値未満であることを確認。今後、破損部の修理を実施。
テント内側(採取時刻:2月16日午後0時27分~午後0時47分)
セシウム134:6.7×10^-6Bq/cm^3
セシウム137:2.4×10^-5Bq/cm^3
テント外側(採取時刻:2月16日午後0時1分~午後0時21分)
セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:1.8×10^-6Bq/cm^3)
セシウム137:検出限界値未満(検出限界値:2.8×10^-6Bq/cm^3)
非常用窒素ガス分離装置の本格点検実施
※ 2月17日から3月2日にかけて、原子炉格納容器内窒素封入設備である非常用窒素ガス分離装置の本格点検を実施。
非常用窒素ガス分離装置は、通常待機状態となっており、点検期間中は3台ある常用窒素ガス分離装置(2台運転、1台待機)により窒素封入を継続。当該点検の実施にあたり、点検中は非常用窒素ガス分離装置が動作不能な状態となり、特定原子力施設に係る実施計画「III 特定原子炉施設の保安」(以下、「実施計画」という)第1編第25条の表25-1で定める運転上の制限「窒素ガス分離装置1台が運転中であること及び非常用窒素ガス分離装置(非常用窒素ガス分離装置用ディーゼル発電機を含む)が動作可能であること」を満足出来ない状態となることから、実施計画第1編第32条第1項(保全作業を実施する場合)を適用し、計画的に運転上の制限外に移行し、点検を実施。
なお、点検期間中、非常用窒素ガス分離装置の起動が必要となった場合には、速やかに起動可能な状態に復帰する等の安全措置を定めた上で点検を実施。2月17日午前10時より上記の点検作業を開始。
1号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
2号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水、移送先を変更(移送先は高温焼却炉建屋)
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送実施(平成27年2月15日午前10時14分~2月17日午前9時53分)
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年2月17日午前10時57分~)
※滞留水移送は稼働中
3号機~6号機
新規事項なし
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年2月9日午前10時41分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス ~通算49回目となる海洋への排出を終了。排出量は1,667トン
2月16日午前10時12分、海洋への排水を開始。同日午前10時18分に漏えい等の異常がないことを確認。
同日午後4時49分に排水を停止。排水停止状態において異常のないことを確認。排水量は1,667m3。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
2月16日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年2月17日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: