2014年3月12日 今日の東電プレスリリース

iRyota25

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3月12日(水曜日)公開の「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」を、前日からの変化や変更を中心に見ていきます。また、原子炉への窒素注入についても、この記事の最後で資料をもとに点検しています。

 福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月12日
www.tepco.co.jp  
 東北地方太平洋沖地震による当社原子力発電所への影響について|東京電力
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「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」の一覧ページ。過去の「日報」との比較に役立ちます。

各号機の状況についての記載に先立って、冒頭に特記された事項について、それぞれ見出しを立てます。見出しはこの記事の筆者によるものです。

非常用窒素ガス分離装置の本格点検について

まずは新規事項の内容から。
原子炉内に送り込む窒素をつくる装置の本格的な点検を実施するという報告です。

※3月12日午前10時から3月20日にかけて、現在、待機状態となっている非常用窒素ガス分離装置の本格点検について、

特定原子力施設の保安第1編第32条第1項(保全作業を実施する場合)を適用し、点検作業を開始。

点検期間中は、3台ある常用窒素ガス分離装置により1~3号機原子炉圧力容器および原子炉格納容器へ窒素の供給を継続。また、非常用窒素ガス分離装置の起動が必要となった場合には、速やかに起動可能な状態に復帰することとする。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月12日

特定原子力施設の保安第1編第32条第1項という言葉が難しそうですが、その内容は次のとおりです。

各GMは,保全作業(試験を含む)を実施するため計画的に運転上の制限外に移行する場合は,あらかじめ必要な安全措置※1を定め,原子炉主任技術者の確認を得て実施する。

「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画」の変更認可申請ならびに変更認可申請の一部補正について Ⅲ 特定原子力施設の保安 東京電力 平成26年1月24日

GMは現場を担当するグループマネージャーです。
原子炉主任技術者は基本的に各号機ごとに選任されることになっていて、安全確保設備等の運用に関し保安を監督します。発電所の管理責任者である原子力・立地本部長に直属の重要な役職です。
(ちなみに「※1」とあるのは例外規定なので説明しません)

 「福島第一原子力発電所特定原子力施設に係る実施計画」の変更認可申請ならびに変更認可申請の一部補正について|東京電力 平成26年1月24日
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説明が長くなってしまいましたが、保全作業を実施する場合の規則にのっとって、非常用窒素ガス分離装置の本格点検を開始したという報告です。

※東京電力の担当者にとっては当然のことかもしれませんが、なぜ原子炉に窒素ガスを注入するのか、窒素ガス分離装置とは何なのか、非常用と常用で違いがあるのかなど、知りたいポイントがいくつかあるように思いますので、この記事の最後に関連する情報をまとめることにします。

3号機前面のシルトフェンス除去

※3月12日、海側遮水壁工事(港湾内)における遮水壁内側の埋め立てにより、3号機前面に設置したシルトフェンスが不要となることから、撤去を実施。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月12日

1号機~6号機

新規事項なし。

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆2号機
1号機と同じ4項目に加えて、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年3月8日午前10時5分~)

◆3号機
1号機と同じ4項目に加えて、
・3号機タービン建屋地下→プロセス主建屋へ高濃度滞留水を移送中(平成26年3月10日午前9時51分~)

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール

・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

加えて、4号機燃料プールから共用プールへの移送に使う容器(キャスク)の洗浄水を処理貯水するタンクの満水について、新規事項として報告。

※4号機使用済燃料プールから共用プールへの燃料移動作業において発生する構内用輸送容器(キャスク)内包水(4号機使用済燃料プール水)および構内用輸送容器(キャスク)内洗浄水については、

沈降分離処理し、共用プール低電導度廃液受タンクで貯水しているが、

そのタンクが満水レベルに達したことから、平成26年3月12日午前9時30分から午後2時20分にかけて、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)への移送を実施。なお、本移送は今後も適宜実施していく。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月12日

4号機のプールにあった1533体の燃料のうち、462体が共用プールに移送されたとのこと(3月9日時点、昨年11月18日の取り出し作業開始から約4カ月)ですが、移送に付随して発生する課題の解決が必要だという事実を教えてくれる記載です。

東京電力のホームページからのスクリーンショット
東京電力のホームページからのスクリーンショット
 福島第一原子力発電所4号機からの燃料取り出しの進捗状況|東京電力
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「毎週月曜日に更新します(祝日の場合は翌営業日に更新します)」とのことです。

水処理設備および貯蔵設備の状況

新規事項なし。

・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

※サリーは停止したままです。

H4エリアタンクおよび周辺排水路の状況

最新のパトロール結果とサンプリング実績を報告。

<最新のパトロール結果>
3月11日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(トレンドによる監視または警報監視)においても異常がないことを確認。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月12日

※H4エリアIグループNo.5タンクからの漏えいを受け、福島第一南放水口付近、福島第一構内排水路、H4エリアタンク周辺および地下水バイパス揚水井No.5~12のサンプリングを継続実施中。

<最新のサンプリング実績>
H4エリアタンク周辺の地下水観測孔E-9のトリチウムの値(3月10日採取:13,000 Bq/L)において、前回の測定結果(3月7日採取:1,200 Bq/L)と比較して10倍を超過していることを確認。

<地下水観測孔[E-9]の分析結果(3月10日採取分)>
・トリチウム: 13,000 Bq/L
<地下水観測孔[E-9]の分析結果(3月7日採取分)>
・トリチウム: 1,200 Bq/L
(参考)これまでの最高値
<地下水観測孔[E-9]の分析結果(平成25年11月25日採取分)>
・トリチウム: 51,000 Bq/L

原因としては、2月15日の大雨で地下水が上昇するとともに、E-9付近は現在汚染土壌回収のため掘削作業中であり、周囲の汚染が流れ込み易い状況にあったものと想定。

その他の測定結果は、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月12日

 (参考資料)福島第一原子力発電所構内H4エリアのタンクにおける水漏れに関するサンプリング結果(H4エリア周辺)(その2)(PDF 109KB)| 東京電力 平成26年3月11日
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1~4号機タービン建屋東側の状況

最新のサンプリング実績について新規記載。

<最新のサンプリング実績>
3月6日に初採取した、福島第一1~4号機取水口内南側(遮水壁前)のトリチウムの分析結果は以下のとおり。

<福島第一1~4号機取水口内南側(遮水壁前)分析結果:3月6日採取分>
・セシウム134:4.6 Bq/L(お知らせ済)
・セシウム137: 13 Bq/L(お知らせ済)
・全ベータ: 78 Bq/L(お知らせ済)
・トリチウム:110 Bq/L

1~4号機取水口内南側(遮水壁前)のトリチウム濃度は、4号機スクリーン(シルトフェンス内側)の海水のトリチウム濃度とほぼ同等の値であった。

地下水観測孔No.2-6の分析結果において、前回値(3月6日採取分)と比較して10倍を超過していることを確認。

<地下水観測孔No.2-6分析結果:3月11日採取分>
( )内の数値は、3月6日採取分の前回値
・セシウム134: 17 Bq/L(1.4 Bq/L)
・セシウム137: 50 Bq/L(4.3 Bq/L)
・全ベータ :1,800 Bq/L(1,800 Bq/L)

全ベータ放射能濃度については前回値とほぼ同等であることから、観測孔内の水を採取してから分析するまでの過程において、何らかの放射性物質が混入したものと考えられ、3月12日に再度サンプリングを実施予定。

その他の測定結果は、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月12日

 (参考資料)福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(PDF 274KB)| 東京電力 平成26年3月11日
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 (参考資料)福島第一港湾内、放水口付近、護岸の詳細分析結果(その2)(PDF 173KB)| 東京電力 平成26年3月11日
www.tepco.co.jp  

地下貯水槽の状況

最新のサンプリング実績について記載。

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年3月12日

非常用窒素ガス分離装置の本格点検について(2)

◆なぜ原子炉に窒素ガスを入れるのか? ガスを入れることで原子炉の空気はどこへ?

2011年に原発事故が発生した直後、1号機から4号機では相次いで建屋を破壊するような爆発が発生しました(2号機に限っては格納容器の一部が爆発によって破壊されたと考えられているようです)。

水素には、濃度が高くなると酸素と反応して爆発する性質があります。原子炉での水素爆発を防ぐため、反応性の低い窒素ガスを原子炉に注入するという処置がとられているのです。

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