いまだけの風景「東北復興祭 in 宮古」

yumenoshippo01

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秋の祝日に開催された「東北復興祭 in 宮古」。盛岡さんさ踊り、仙台すずめ踊り、山形花笠踊りと東北を代表する3つのお祭りが宮古市のメインストリートをパレード。ちょっとレトロな雰囲気あふれる宮古の町で繰り広げられた東北の祭り。その模様を写真でご紹介しますね。お祭りの雰囲気が伝わるといいなあ。
(すみません、花笠踊りは写真がほとんどありません)

よろこびがあふれ出す「盛岡さんさ踊り」

笑顔がたまりません。女衆も男衆も、色鮮やかな衣装と太鼓を身につけて、あでやかに踊りながらパレードしていきます。笛の吹き手も唄い手もいっしょに踊って歩きます。さんさというと太鼓を叩きながら踊るイメージがありましたが、楽器を持たない「手踊り」の人たちの踊りがまたまたステキなんです。

「さんささんさ」と手を振りながら笑顔を振りまかれると、つられて踊りたくなっちゃいます。

さんさ踊りの由来は、その昔、盛岡城下で悪さをする鬼に困った里人が、三ツ石神社の神様に悪鬼の退治を祈願。鬼たちをとらえた神様は二度と悪さをしないように誓わせ、その証文として神社の大きな三ツ石に鬼の手形を押させました(これが岩手という地名の由来ともいわれています)。里人たちは鬼が退散したことを感謝して、三ツ石のまわりをおどりました。そのとき「さんささんさ」といいながら踊ったのがさんさ踊りの始まりなのだそうです。

やっぱり、喜びの踊りなんですね。

東北の粋「仙台すずめ踊り」

扇子を手に跳ね踊る仙台すずめ踊り。これでもか、これでもかってくらいに跳ねまわります。しかも溢れ出るような笑顔で。だから昔は「はねこ踊り」とも呼ばれていたそうです。すずめ踊りのルーツは伊達政宗の時代まで遡るそうですが、しばらく途絶えていたのを昭和の時代になってから、仙台市内の中学校の体育の授業で復元。中学で踊っていた子供たちが大人になっても踊りつづけ、やがて次の世代へ、そのまた次の世代へと受け継がれてきた踊りです。跳ねまわりながらも、お囃子に合わせてピシっと決めのポーズをとってくれる、とっても粋な踊りです。

やがて宮古の人たちも一緒に踊り出す

パレードは宮古街道を東に向かって進み、その終点付近はお祭り広場。パレードを終えた皆さんが、再度踊りを披露してくれます。

何曲もの踊りで魅了してくれた後は、輪になって。

どうぞご一緒に! の声に宮古の人たちが飛び入りで一緒に踊り始めました♡

見よう見まねで。だけど大人も子供たちも楽しそうに。ここでも笑顔があふれます♡

すずめ踊りもあでやか。どうしてこんなにカッコいいのかってくらい決まってます。

すずめ踊りにも町の人たちが飛び入りで参加♡
集団でビシっと決めるすずめ踊りですが、ルーツであるはねこ踊りは即興の踊りだったそうです。それも、仙台城の移設工事で働いた石工たちが完成を祝って跳ね踊ったのが始まりだとか。

町の復興を祝って、みんなではね踊る日が早く来てほしいですね。(ちょっとこじつけだけど)

「復興祭」というおまつり

他にも見て回りたいところがあったから、お祭り見物は早めに切り上げようって予定だったのです、ホントはね。でも最後まで見続けてしまいました。すっかり魅了されてしまった。どの踊りもみんなそれぞれステキで、そして圧巻なんです。写真でもおわかりでしょうが、見ている人たちと同じくらいの大人数が、宮古街道を舞台に踊って躍っておどりまくるんです。そしてお祭り広場での踊りが終わると、折り畳み椅子やシルバーカート、シニアカーなんかに座ったおばあさんたちから大きな声で「ありがとー!」って声がかかる。いろんな場所で握手し合って、あちこちで「ありがとう、また来てね」って声が聞こえてくるんです。じわーんとしてしまった。

でもね、ホントのとこ、人出はご覧のとおりのなんです。浅草の三社祭とか青森のねぶた祭みたいに観光客であふれるなんてことはない。地元の、それもご近所の人たちが見に来ているだけ。出店もほとんどないし、お祭りをやったからって商店が儲かるって感じでもない。それなのに数百人の踊り手たちを招いている。どうしてそんなことができると思います? 数百人の踊り手たちの移動や宿泊などを賄うだけでも相当な費用が必要です。商店街が引き受けられるような金額ではありません。他の地域での同じような祭りでもそうですが、たぶんこのお祭りができるのは助成金のおかげなんです。

震災復興の助成金が減額されたり打ち切りになったり地元負担が増えるという話が聞こえてくる昨今のこと。宮古での復興祭がこれからどれくらい続いていくのかということを思わずにはいられません。震災の年に、東北六県の代表的お祭りを一堂に集めて6県持ち回りの予定で始まった東北六魂祭が、宮城、岩手、福島の3県開催で打ち切りの可能性があるという話が、実質的な運営を行っていた広告代理店電通の関連会社から話が出されたことも思い出します(4回目は山形、そして今年は秋田で実施されました)。

せっかくのお祭りなのに、イヤな話をしてごめんなさい。でも、なんであれ宮古の町で東北のお祭りを3つもまとめて見ることができてうれしかった。見に来た人数はそれほどではなかったけれど、踊り手も観衆もみんなが笑顔だったのが素晴らしかった。町の人たちと一緒に大きな大きな声で「ありがとう」を伝えたい。

山形花笠踊り
山形花笠踊り
仙台すずめ踊り
仙台すずめ踊り
そして、盛岡さんさ踊り
そして、盛岡さんさ踊り

同じように、各地のお祭りを一度に楽しめるお祭りは、まだまだ東北各地で開催されるようですよ。秋の連休、ぶらりとお祭り見物に出かけみてはいかがですか?

ここにあったのは、東北の今だけの光景かもしれないけれど、宮古の町の景色の中に、おまつりの光景の中にいられてよかった。明日はどうかわからないけど、明日は今日の次にやってくる。ということで――

どんどはれ

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